更新日: 2024.11.15 セカンドライフ

現在55歳で貯蓄が「3500万円」あります。早期退職したときの退職金は「500万円」なのですが、今後働かずに妻と二人で生活はできるでしょうか?

現在55歳で貯蓄が「3500万円」あります。早期退職したときの退職金は「500万円」なのですが、今後働かずに妻と二人で生活はできるでしょうか?
55歳というタイミングで、早期退職を考える方もいるでしょう。退職金が500万円で、貯蓄が3500万円ある場合、退職後に働かなくても夫婦2人で生活ができるか気になる方もいるかもしれません。
 
本記事では、老後の生活費、資産運用、年金などの観点から、早期退職後の生活の実現可能性について考えていきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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65歳以上の夫婦のみ無職世帯の生活費

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における1ヶ月の平均消費支出の金額は、項目別に表1の通りです。
 
表1

食料 7万2930円
住居 1万6827円
光熱・水道 2万2422円
家具・家事用品 1万477円
被服・履物 5159円
保健医療 1万6879円
交通・通信 3万729円
教育 5円
教養・娯楽 2万4690円
その他の消費支出 5万839円

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 
平均消費支出の合計は1ヶ月あたり25万円ほどであることが分かりました。年間で考えると300万円ほどの出費です。
 
一方、収入面では、基本的に65歳以降は年金を受給できます。厚生労働省年金局の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度末時点における厚生年金保険(第1号)の受給者平均年金月額は、約14万5000円です。
 
今回の事例において、仮に妻が専業主婦の場合、国民年金の受給者平均年金月額の約5万6000円をあわせて20万円ほどの年金を受給できるでしょう。
 
家計収支を平均額で考えた場合、早期退職する55歳から65歳までは毎月25万円程度の出費が必要であるため、10年間では合計3000万円ほど必要になります。65歳以降は夫婦の年金以外に収入がないとすると、年金受給額から生活費を引いたおよそ5万円が毎月の不足額になります。
 
仮に85歳まで生きるとすると、20年間で1200万円ほど必要です。55歳から85歳までおよそ4200万円必要となるため、貯蓄と退職金だけでは足りない可能性があるでしょう。
 

貯蓄の3500万円を運用して有効活用する方法もある

55歳で3500万円の貯蓄と500万円の退職金をどう活用するかで、今後の生活は大きく変化する可能性があります。
 
金融資産の運用方法にはさまざまな選択肢があり、それぞれのリスクを理解した上で安定した資産形成を目指すことが大切です。ここでは、投資信託と不動産投資を取り上げて、それぞれの運用方法の特徴を紹介します。
 

投資信託

投資信託では、投資の専門家が株式や債券、不動産などに分散して投資を行います。知識や経験が豊富な専門家が運用を代行してリスク分散をしてくれるため、投資に慣れていない方でも始めやすいといえます。ただし、元本保証がないため、リスクを理解した上で投資を行う必要があります。
 

不動産投資

不動産投資は、購入した物件を貸し出して家賃収入を得たり、売却により利益を得たりする投資です。不動産は相続時に現金よりも税額が軽減される場合があり、節税対策としての効果も期待できるでしょう。ただし、初期投資にかかる費用が大きいことに注意して運用を行う必要があります。
 

長期的な資産管理を見直すポイント

55歳で早期退職を考えるにあたって、今後の生活を安定させるためには、今ある貯蓄だけに頼るのではなく、長期的な視点で資産管理を見直すことが大切です。
 
貯蓄の運用や収入源を確保する方法を検討し、安心して退職後の生活を送るための備えをしておく必要があります。ここでは、生活費の見直しや退職後の収入確保について紹介します。
 

家計の収支を見直す

長期的な資産形成を計画するにあたって、まずは家計の収支を見直しましょう。家計の支出は固定費と変動費に分けられます。優先的に固定費を削減すれば、長期的な負担を軽減できます。
 
ライフスタイルの変化にあわせて、生命保険の契約内容を見直すことも有効な方法です。保障内容を必要なものだけに見直すことで、保険料の削減が可能です。長期的にコストを減らせるため、将来の家計にも余裕が生まれるでしょう。
 

退職後の収入源を検討する

早期退職後にパートやアルバイトなどで収入を得ることも、生活を安定させるための手段のひとつです。収入は少なくても、生活費を補えれば貯蓄の減少を防げます。
 
また、退職後に再就職をして働き続けるのもひとつの手です。ただし、退職前と比べて収入や業務内容が異なる可能性もあるため、事前に雇用条件を確認しておきましょう。
 

81歳ごろまでなら貯蓄と退職金だけで生活できる可能性がある

早期退職後に貯蓄と退職金をあわせて資産が4000万円あり、年金受給額が夫婦あわせて毎月約20万円あるとすると、夫婦2人暮らしの平均生活費が1ヶ月約25万円であることを考えた場合、55歳から約26年間は暮らせる計算です。
 
しかし、今回参考にしたのはあくまでも平均値であり、家計収支は各家庭の状況によって異なります。また、実際には通常の生活費に加えて医療費や介護費などがかさむことも考えられます。資産管理を見直して長期的に運用することで、退職後の生活にゆとりを持てるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2023年-(19ページ)
厚生労働省年金局 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 II 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III 国民年金 2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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