更新日: 2024.11.27 セカンドライフ
65歳から年金を「月12万円」受け取る予定です。「週3日のアルバイト」で同額稼ぐ予定ですが、友人から「年金もらえなくなるかもしれないよ」と言われました。本当なのでしょうか?
定年時に受け取る退職金や預貯金などの資産規模、今後もらえる年金額によって老後の資金繰り計画は変化しますが「年金だけに頼るのは危ない」と考える人もいるでしょう。
一方、「働きすぎると年金を減らされる」と言われたことがある人もいるのではないでしょうか。
本記事では、老後に年金を月額12万円受け取り、アルバイトもして同額稼ぐケースを想定します。老後も働くのは損なのか、どの程度までなら年金を満額もらえるのか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後に働くと年金を減らされる?
老後に働いて給料などの報酬を得ると、直ちに年金を減額されたり全額もらえなくなったりするわけではありません。
ただし、現役時代と同様に働いて報酬を得ると、金額の規模によっては年金を減額または全額支給停止されることがあります。これを在職老齢年金といい、「定年後も働くと年金をもらえなくなる」と言われるのは、このためだと思われます。
なお、全ての年金が減額や支給停止の対象となるわけではありません。国民年金保険料を納付することで受け取れる老齢基礎年金や経過的加算額は全額支給されます。
在職老齢年金の計算方法
在職老齢年金による調整後の年金支給月額は、下記の計算式で求められます。
・基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円※)÷2
※支給停止調整額「50万円」は2024年度の額で、今後変わる可能性もあります。
基本月額は、原則加給年金額を除いた老齢厚生年金の報酬比例部分の金額、総報酬月額相当額は、標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額を12ヶ月で割ったものです。
65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を合わせて月額12万円受け取ると仮定しましょう。保険料は満額納付しており未納や滞納などの期間はないものとします。老齢基礎年金は月額6万8000円(2024年度)もらえるため、老齢厚生年金は月額5万2000円もらえる計算です。
「週3日のアルバイト」で月額12万円稼いでボーナスはない場合、上記計算式の基本月額と総報酬月額相当額を合わせた金額は17万2000円です。合計額が50万円以下となるため、年金は全額支給されます。
老齢基礎年金とは別で老齢厚生年金を月額12万円受け取る場合も、基本月額と総報酬月額相当額の合計額は24万円となり、年金の減額や支給停止の対象となりません。
年金だけでは生活が厳しい
老齢厚生年金と給料をあわせて50万円を超えなければ、年金は全額支給されます。そのため、今回のようにパートやアルバイトとして短時間働く場合は、基本的に気にする必要はないと思われます。
年金は老後の生活を支える貴重な収入源であることは変わりませんが、それだけに依存するのはリスクが高いです。総務省統計局が公表している2023年のデータによると、65歳以上で単身無職世帯の場合で消費支出と非消費支出を合わせた実支出は15万7673円かかります。65歳以上で夫婦のみの無職世帯の場合は28万2497円です。
年金とアルバイト代の合計24万円で生活する場合、一人暮らしであれば黒字家計ですが、大きな病気やけがなどで想定外の大きな出費が重なると、資金繰りが厳しくなる可能性もあります。
退職金や預貯金などの有無や規模によってライフプランは変化しますが、どのような状況でも「年金だけでは生活が厳しくなる可能性が高い」と考えて対策したほうがいいかもしれません。
まとめ
本記事では、65歳以降も働いて給料を得ると年金を減らされてしまうのか解説しました。定年後も働くからといって直ちに年金をカットされるわけではありません。
今回の場合は給料が20万円や30万円程度だと気にする必要はないでしょう。自身の世帯や生活環境、家計状況などをみながら老後のライフプランを作っていきましょう。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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