高齢の親が家の中でつまずいて転倒しないか心配です。家をリフォームしたいのですが費用が800万円! なにか助成制度はありますか?

配信日: 2025.01.24

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高齢の親が家の中でつまずいて転倒しないか心配です。家をリフォームしたいのですが費用が800万円! なにか助成制度はありますか?
高齢者は、足腰が弱り転倒しやすくなります。転んで骨折し入院すると介護が必要になったり、介護度が重症化したりする場合があります。転倒防止に、手すりの取り付けや段差解消などの工事を検討しましょう。住宅リフォームにおける自治体独自の高齢者向けサービス、介護保険の助成制度や減税制度を調べてみましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

高齢者の転倒事故の多くは、住み慣れた自宅で発生しています

厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、高齢者の介護が必要となった主な原因は、認知症(16.6%)、脳血管疾患(脳卒中)(16.1%)に続き、「骨折・転倒」が13.9%を占め、高齢による衰弱が多くなっています。
 
高齢者の転倒事故の多くは、住み慣れた自宅で発生しています。具体的には居間・寝室、玄関、階段・廊下、浴室などです。
 
東京消防庁の「救急搬送データからみる日常生活の事故(令和4年)」によれば、種別ごとの事故で「ころぶ」は72.3%と、全年代で最も多くの割合を占めています。加齢に伴い事故割合は増え、50代から全体の6割以上を占め、70代からは8割を超えます。
 
自宅内では整理整頓を心掛け、手すりの取り付けや段差を解消するなど転倒を予防しましょう。
 

住宅改修予防給付

ある自治体では、65歳以上で、日常生活の動作に困難がある高齢者(介護認定不要)が、転倒予防、介護の軽減のため床の段差解消等の住宅改修をするときに、その費用の一部(限度額20万円)を助成しています。対象工事は、手すりの取り付け、段差解消、床材変更、扉の改修、トイレ洋式化等です。
 
工事後に申請しても助成できませんので、必ず事前にお住まいの市区町村の高齢福祉課担当に相談してください。
 

介護保険の住宅改修費支給

要介護・要支援の認定を受けている方は、介護保険から住宅改修費の支給を受けることができます。
 
対象工事は、手すりの取り付け、床段差の解消、滑り防止および移動の円滑化等のための床材変更、引き戸等への扉の取り換え、洋式便器等への便器の取り換え、これらの工事に付帯として必要と認められる工事です(限定列挙)。
 
支給対象となる工事費の上限額は20万円で、介護保険より所得に応じて14~18万円が支給されます。工事費が上限額を超えてしまう場合は、超えた分の全額が自己負担となります。
 
なお、要介護度が3段階以上重度になった場合は、新たに20万円の給付枠が発生しますので覚えておきましょう。
 
支給の方法は、「償還払い」と「受領委任払い」があります。
 
償還払いは、費用の全額を施工業者に支払い、後から申請により、保険給付分を市区町村から申請者に支給する方法です。
 
受領委任払いは、工事費用(保険対象部分)の1~3割を市区町村が受領委任払い契約をしている施工業者に支払い、市区町村が施工業者に保険給付分(7~9割)を支給する方法です。
 
住宅改修工事を希望する場合は、ケアマネジャーに相談してください。施工業者を選定して、施工業者に(1)住宅改修に係る見積書、(2)工事内訳書、(3)図面、(4)改修予定箇所の写真等の関係書類、以上を依頼して工事前に申請します。
 
事前申請をせず工事を行ってしまった場合は、対象外となりますので注意しましょう。また、老朽化のための工事や新築、増改築工事、住所地以外で行った工事も対象外です。
 

住宅リフォームにおける減税制度

住宅に特定のリフォームを行った場合、一定の要件の下で、リフォームをした方の所得税が一部控除できたり、リフォームを行った住宅の固定資産税が減額されたりする制度があります。
 
例えば、バリアフリー工事限度額200万円の範囲内では標準的な費用相当額の10%を所得税額から控除できます。この控除は、住宅ローン等の利用がなくても適用できます。
 
また、固定資産税は、新築後10年以上を経過した家屋に対して、一定のバリアフリー改修工事を行った場合について、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額されますので、ぜひ活用しましょう。
 

出典

国土交通省 住宅リフォームの支援制度 ※令和6年5月2日時点
厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査
東京消防庁 救急搬送データからみる日常生活の事故(令和4年)
国土交通省 バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置(適用期限:~令和8(2026)年3月31日)
国土交通省 バリアフリー改修に係る所得税額の特別控除(適用期限:~令和7(2025)年12月31日)
国税庁 No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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