60歳になり「終の棲家」を探しています。「住宅型有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」の違いって何ですか?

配信日: 2025.02.08

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60歳になり「終の棲家」を探しています。「住宅型有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」の違いって何ですか?
高齢になると配偶者に先立たれ独居になったり、介護が必要になったりします。そのとき、子どもがいても頼れない場合があります。子どもがいない場合や子どもがいても頼れない場合、最後まで安心して暮らす終の棲家を考えることが大切です。
 
この記事では、終の棲家として 「住宅型有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」について解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サ高住は、日常生活や介護に不安を持つ60歳以上の高齢者のために、居室の広さ(1戸あたりの床面積は原則25平方メートル以上)や設備(台所・水洗便所・収納設備・洗面設備および浴室)の設置、バリアフリーといったハード面の条件を備えるとともに、ケアの専門家による「安否確認」と「生活相談」サービスを提供する高齢者向け住宅です。
 
法が定める「安否確認」や「生活相談」以外に、食事・家事支援のサービスや介護サービス事業所の併設など、さまざまなサービスを任意に提供するタイプのサ高住もあります。サ高住の登録件数は、2024年10月末で8318件(28万8647戸)あります。
 
入居者が要支援や要介護になった際は外部の事業者の介護サービスを利用します。利用料金総額(家賃+共益費+基本サービス相当費+食費+光水熱費)の目安は平均約14万円(そのうち家賃分は約6万円)です。
 

有料老人ホームとは

有料老人ホームは、食事の提供、洗濯・掃除等の家事の供与、介護(入浴・排せつなど)の提供、健康管理のうち、いずれかのサービスを提供している施設をいいます。1戸あたりの床面積は原則13㎡以上です。
 
有料老人ホームには「介護付」「住宅型」「健康型」の3つががありますが、そのほとんどが「介護付き」と「住宅型」です。
 
「介護付き」は、都道府県から「特定施設入所者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームをいいます。特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、24時間態勢で、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことをいいます。
 
ホームのスタッフがサービスを行う「一般型」と、外部の事業者の介護サービスを使う「外部型」があります。「外部型」ではケアプラン作成や安否確認などの基本部分だけを行います。
 
「住宅型」ホームは、食事や生活援助サービスを提供する比較的自立した高齢者向けの施設です。介護が必要になったときは外部の事業者の介護サービスを利用します。居宅介護の場合と同様に、必要なサービスを自由に組み合わせて利用できます。
 
有料老人ホームの契約形態には、「利用権方式」「建物賃貸方式」「終身建物賃貸借方式」がありますが、大半が「利用権方式」です。
 
有料老人ホームの利用者の負担は、入居金一時金(前払金)と月額費用(主に家賃、食費、管理費)があります。入居金一時金には償却期間が定められており、償却期間が終了する前に退去した場合は、未償却部分が返還されます。また、入居して3ヶ月以内に退去する場合は、前払金の全額が返還されます。
 
入居者が要支援や要介護になった際、「住宅型」は外部の事業者の介護サービスを利用します。「介護付き」は特定施設入居者生活介護を利用します。
 
あくまで目安ですが、「介護付」の場合、入居一時金が平均約3700万円、月額約17万8000円、「住宅型」の場合、入居一時金が平均約3350万円、月額約20万2000円となっています。
 

その他、住宅型有料老人ホームとサ高住の違い

住宅型有料老人ホームの根拠法が老人福祉法、サ高住の根拠法が高齢者住まい法です。多くの「住宅型」が利用権方式を採用しているのに対して、サ高住は賃貸借方式なので高額な入居一時金は不要です。そのため「住宅型」に比べ初期費用を低く抑えることが可能です。
 
また、サ高住のほうが外泊、外出など生活の自由度が高いです。
 
居住の権利形態による違いもあります。利用権方式では、居住部分と介護や生活支援等のサービス部分の契約が一体となっているものですが、建物賃貸借方式では別々に契約します。また、入居者が死亡した場合、利用権方式は契約が終了し利用権の相続はできません。一方、建物賃貸借方式では居住権を相続できます。
 
元気なうちに、サ高住や有料老人ホームを時間をかけて見学し、納得のいく施設を選びましょう。
 

出典

国土交通省 サービス付き高齢者向け住宅
公益社団法人全国有料老人ホーム協会
東京都福祉局 あんしん なっとく 高齢者向け住宅の選び方
厚生労働省 平成26年度老人保健健康増進等事業 当初募集採択事業/株式会社 野村総合研究所 高齢者向け住まいが果たしている機能・役割等に関する実態調査
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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