夫と「賃貸」で2人暮らし。両親から「老後のためにも家を買ったほうがいい」と言われてるけど、持ち家のほうがメリットは多いの? 老後の生活費を「家賃8万円」のケースで検証

配信日: 2025.03.06

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夫と「賃貸」で2人暮らし。両親から「老後のためにも家を買ったほうがいい」と言われてるけど、持ち家のほうがメリットは多いの? 老後の生活費を「家賃8万円」のケースで検証
ひと昔前の世代では、結婚したあとで、住宅ローンを組んで家を建てるというパターンが一般的だったかもしれません。今、賃貸に住んでいる人の中には、そんな世代だった親から「家は借りるより買ったほうがいい」と言われることもあるでしょう。
 
本記事では、持ち家と賃貸にはそれぞれどんなメリット・デメリットがあるのかを解説します。さらに、老後の住まいを賃貸にする場合、夫婦2人でどれくらいの生活費が必要になるのかも試算しますので、参考にしてください。

住まいを持ち家にするメリット・デメリットは

持ち家の大きなメリットは、不動産である持ち家が自分の資産になることでしょう。自分で所有しているため、いざとなれば売却して現金化することも可能です。建物の経年劣化などで、購入時点からは資産価値が低下するかもしれませんが、立地がいい物件などは、価値が下がりにくいこともあります。
 
また、住み続ける場合も、住宅ローンを完済した後は、住居にかかる費用が固定資産税や修繕費ぐらいで済むため、賃貸の家賃に比べれば負担は少ないのが一般的です。比較する物件によっても違うため、一概には言えませんが、生涯にかかるコストも持ち家のほうが賃貸より安くなると考えられます。
 
さらに、住宅の設備や内装は賃貸よりも持ち家のほうがグレードは高いことも多いです。老後を視野に入れれば、自分の家があり、住む場所に困らないのは安心感にもつながるでしょう。
 
デメリットとしては、一度持ち家を構えてしまうと、引っ越しは難しいことが挙げられます。例えば、住んでみたら思っていたより交通の便が悪かったり、隣人と相性が合わなかったりしても簡単には売却できず、すぐに引っ越すわけにはいかないでしょう。
 
自己所有である以上、メンテナンスは自分で費用をかけてやらなければなりませんし、固定資産税などの税金もかかります。マンションであれば共有部分は管理組合で対応しますが、管理費や修繕積立金などが必要です。
 
また、老後を考えると、自分たちがいなくなったあとの持ち家をどうするのか、処分や相続の手続きなどを考えておかなければなりません。
 

住まいを賃貸にするメリット・デメリットは

持ち家と比較した場合の賃貸のメリットは、何と言っても簡単に引っ越せることでしょう。年齢を重ね、住んでみたい場所や興味のある地域が変わっても、住み替えのハードルは高くありません。
 
また、持ち家では必要なメンテナンス作業や費用負担がないのは気楽ですし、固定資産税などの支払いも不要です。収入が減るなどの事態になっても、収入にあわせて家賃の安い物件に住み替えるといった手法も取りやすくなります。
 
デメリットは、一生涯家賃の支払いが続く上に、決して自分の資産にはならないことです。また、設備などに不満があっても、自分でリフォームすることはできません。
 
さらに、老後の住まいとして考えた場合、別のデメリットも考えられます。それは高齢になると入居が制限されて、若い人に比べ入居しにくくなることです。また、老後は収入が年金などに限られることが多くなり、家賃の支払いが生活を圧迫することも想定しておかなければなりません。
 

夫婦2人で賃貸に住んだ場合の生活費シミュレーション

もし、老後に家賃8万円の賃貸に住むと、生活費はどうなるでしょう。総務省統計局の2023年の家計調査報告によると、図表1のとおり、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均的な生活費は、消費支出が月25万959円、非消費支出は月3万1538円です。
 
ただ、この調査の対象者は94%以上が持ち家であるため、住居にかかる費用は25万959円の6.7%で約1万7000円に過ぎません。この金額は持ち家の修繕費などが中心と想定されるため、賃貸で家賃が8万円なら、この金額と家賃を置き換えて考える必要があります。
 
図表1


総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
 
そのため、家賃8万円の賃貸の場合、8万円-1万7000円=6万3000円を生活費にプラスして想定しておかなければなりません。つまり、持ち家と比較すると、65歳から90歳までの25年間存命した場合で、6万3000円×12ヶ月×25年=1890万円となり、2000万円近い生活費が余計に必要です。
 

まとめ

持ち家は、住宅ローンを支払い終えたあとであれば、生活費が少なく済むことに加え、自分の資産であるため、売却する選択肢もあります。賃貸には、自由に住み替えできるメリットなどがあり、どちらがいいのかは個人のライフスタイルなどによっても変わるでしょう。
 
老後の住まいとして考えた場合は、賃貸は持ち家よりも多くの貯蓄が必要となり、高齢になると入居が制限される可能性もあります。
 
ただ、持ち家にも「実家じまい」という言葉があるとおり、その後の処分や相続をどうするかという問題が残ります。今、持ち家がある親の意見は貴重な体験談ですので、参考にしながら持ち家を買うかどうか検討してはいかがでしょうか。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者:松尾知真
FP2級

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