「要支援1」のままだと損?介護保険を申請しない場合の負担額を比較してみた

配信日: 2025.03.06

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「要支援1」のままだと損?介護保険を申請しない場合の負担額を比較してみた
「要支援1」と認定されても、「まだ軽度だから」と介護保険の申請をためらっていませんか?実は、申請しないと毎月の介護費用が大幅に増える可能性があります。
 
本記事では、介護保険を申請しない場合と申請した場合の費用の違いを具体的に比較し、要支援1でも利用できるサービスを解説します。「まだ大丈夫」と思っている方こそ、今のうちに知っておきたい介護保険の仕組み。この機会にぜひチェックしてみてください。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

要支援1で受けられるサービスも多い

要支援1は、要介護認定の中では比較的軽度の状態とされますが、それでも十分に支援を受けられる制度です。まず具体的にどのようなサービスがあるのかを以下に挙げてみます。
 

1.介護予防サービス

デイサービスや訪問介護で、リハビリや家事のサポートを受けられます。これにより、お父さまが今の生活を維持しながら、状態の悪化を予防できます。
 

2.福祉用具のレンタル

歩行器や手すりなど、移動をサポートするための用具が利用できる場合があります。
 

3.家族の負担軽減

お母さまの介護負担を軽くするための支援が期待できます。
 

具体例での費用比較

例えば、以下のようなサービスを利用したとします。
 
要支援1を取得した場合(1割負担)
デイサービス(月8回利用)
7000円 × 8回 = 5万6000円(総費用)
自己負担額(1割): 5600円
 
訪問介護(月8時間利用)
4500円 × 8時間 = 3万6000円(総費用)
自己負担額(1割): 3600円
 
合計(要支援1の場合の自己負担):
5600円 + 3600円 = 9200円/月
 
これに対して、同じサービスを利用した場合で見てみると、
 
要支援1を取得しない場合(全額自己負担)
デイサービス(月8回利用)
7000円 × 8回 = 5万6000円
 
訪問介護(月8時間利用)
4500円 × 8時間 = 3万6000円
 
合計(全額自己負担):
5万6000円 + 3万6000円 = 9万2000円/月
 
上記のように、大きな費用負担の差が出ます。
 

介護保険の申請をお勧めする理由

仮に、現時点で「要支援1」だとしても、介護保険を申請する意義があるといえる理由は主に3つあります。
 

1.早期のサポートで予防を重視

足が悪い状況や物忘れが進行する前に適切なケアを受けることで、状態の悪化を防ぎ、できるだけ長く自立した生活を維持できます。
 

2.介護の入り口としての制度利用

介護保険を利用することで、ご家族が外部の支援を受けるハードルが下がり、今後必要になった際にもスムーズに対応できます。
 

3.申請しないリスク

申請しなければ何も始まりませんし、今後状態が悪化した際には、最初から手続きをするのに時間がかかることもあります。
 

具体的な手続き

具体的に、Aさんがどのような手続きをするのかについて、概要は以下の3つです。
 

1.市区町村の窓口に相談

お住まいの自治体の高齢福祉課や地域包括支援センターに相談して、必要書類を確認しましょう。
 

2.申請手続きの進行

お父さまの状況に基づき、要支援または要介護認定を受ける申請を行います。
 

3.ケアプランの作成

認定結果に基づいてケアマネジャーと相談し、お父さまに合ったサービスを選びましょう。
 

お母さまへの理解促進

これらを踏まえて、お母さまに介護申請をすることの意義について説明されることをお勧めします。
 
介護保険の申請は、今すぐ大きな支援を受けるためだけでなく、これからの生活の準備にもつながります。要支援1でも利用できるサービスがあります。
 
そもそも要支援1になるのか要支援2になるのか、または要介護1になるのかは、市区町村等の認定調査員による認定調査、お父さまの主治医の意見書などに基づいて決定されます。
 
介護度が低いほうが望ましいのですが、場合によっては、介護認定が「もっと重症」という判定になる可能性もあります。そうなった場合には、より多くのサービスを受けることもできるでしょう。
 
いずれにしても、今後さらに支援が必要になったときにもスムーズに移行できます。まずは第一歩を踏み出してみましょう。
 

出典

厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービス利用までの流れ
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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