あと10年で定年退職ですが、定年後にかかる大きな出費はどの程度ありますか? あと10年でどれくらい貯蓄すればいいか知りたいです。

配信日: 2025.03.12

この記事は約 3 分で読めます。
あと10年で定年退職ですが、定年後にかかる大きな出費はどの程度ありますか? あと10年でどれくらい貯蓄すればいいか知りたいです。
2019年に金融庁が公表した報告書で、老後30年間で約2000万円が不足するとした、いわゆる「老後2000万円問題」が話題になったことは記憶に新しいかと思います。定年後は、現役時と違って収入が減ることは間違いないので、定年後の収入と定年後にかかる費用を見積もった上で必要な資産を準備する必要があります。
 
本記事では、定年後にかかる大きな費用を確認し、老後いくら必要か解説します。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

定年後にかかる大きな費用(イベント費用)

定年後には、日々の生活費に加えて以下のようなイベント費用がかかるといわれています。ただし、これらに費用をかけるのかどうかは、それぞれの生活スタイルや家族構成などによって変わってくるので、ご自身の状況に合わせて資産準備を行うことが大切です。
 
1.子どもへの援助費用
お子さんがいらっしゃるご家庭では、お子さんの結婚費用の援助や住宅を購入する際の資金援助が大きな出費として考えられます。そのほか、お孫さんが生まれた場合には、お孫さんへのお小遣いなど、いわゆる「孫消費」にかかる費用も配慮する必要があるでしょう。
 
2.住宅のリフォーム費用
住宅の老朽化への対応や階段に手すりを付けたり、バリアフリー化するなどの老化のための費用を想定する必要があります。また、お子さんと同居を検討されている方は、同居費用の準備も必要でしょう。
 
3.旅行の費用
定年後の楽しみとして、国内旅行や海外旅行をする方が多くいらっしゃいます。どれくらいの頻度で、どこの地域に旅行をするのかをあらかじめ想定し、そのための費用も準備するとよいでしょう。
 
4. やりがいのための費用
定年後、好きなことで起業するための費用や、再就職へ向けてセカンドキャリア形成としても「学び直し」でスキルを身につけるなど、いわゆる「第二の人生」でいままでと違った働き方を考えている人は、そうした準備に必要な費用を想定しておく必要があります。
 
人生100年時代といわれて久しいですが、隠居をするのではなく、社会との接点を持って生き生きと働くのもよいと思います。
 
5. 葬儀費用
亡くなった際にかかる葬儀費用やお墓などにかかる費用も、残された方への配慮としても準備をしておくとよいでしょう。
 

老後のためにいくら必要か?

これまで見てきたように、定年後にかかる費用は人それぞれですが、自分がどのような老後を送りたいかを考えることがスタートラインとなると考えます。それが明確になったら、以下の式を使って、定年後に必要な金額を算出します。
 
1年間に不足する金額×必要年数+定年後のイベント費用=定年後に必要な金額
 
ここで、1年間に不足する金額は、年間の手取り額(公的年金や個人年金などの手取り額)から年間支出(毎月の生活費や年払いの固定資産税など)を差し引いた費用から算出します。
 
必要年数は、令和5年度の平均余命は60歳時点で男性約24年、女性約29年なので、「84歳(男性)または、89歳(女性)-退職時の年齢」で算出します。そして、上記で見てきた定年後のイベント費用を加算して、定年後に必要な金額を算出します。
 

まとめ

定年後にかかる費用は、それぞれの生活スタイルや家族構成などで変わってきます。もっとも重要なのは、定年後にどのような生活を送りたいかを明確にすることだと考えます。その上で、定年後に必要な費用を算出することをお勧めします。なお、不足分があれば、定年前から計画的に準備をする必要があります。
 

出典

厚生労働省 令和5年簡易生命表の概要 1 主な年齢の平均余命
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

【PR】
夫の家事への不安に関するアンケート
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集