定年後は「嘱託」になるので働いても給与4割下がるって本当? 給与減を避ける方法はないの?

配信日: 2025.03.26

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定年後は「嘱託」になるので働いても給与4割下がるって本当? 給与減を避ける方法はないの?
定年退職後も働き続けることは、老後の生活資金を得るために重要ですが、収入はどれくらい下がるのでしょうか。大幅に収入が下がる場合は、事前に対策を考えておく必要があります。
 
本記事では定年退職後の収入減の実態、再就職後の雇用形態や制度による違いを踏まえ、収入減をできるだけ抑える方法を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年後再就職の実態

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)には高齢者を雇用する際のルールが定められており、定年を定める場合には60歳以上とする必要があります。また、企業には「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかを実施する義務があります。
 
しかし、給与に関する明確なルールはなく各企業に委ねられています。では、定年後の再就職で収入はどのように変化するのでしょうか。以下で見てみましょう。
 

定年後再就職の収入は4割減

株式会社パーソル総合研究所(東京都江東区)が2021年5月に実施した「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」(企業規模100人以上のシニア従業員・若年従業員の計6000人を対象)によると、定年後再雇用者の収入の変化は以下のとおりです。

●定年前より上がった……2.2%
●定年前とほとんど変わらない……8.0%
●10%程度下がった……4.4%
●20%程度下がった……6.3%
●30%程度下がった……14.0%
●40%程度下がった……12.9%
●50%程度下がった……22.5%
●50%より下がった……27.6%
●答えたくない……2.2%

同調査の結果を見ると、定年後再雇用者の収入は平均44.3%下がっており、再就職後の収入減は避けられない厳しい現実があるといえるでしょう。
  

勤務延長と再雇用の違い

定年退職後の再雇用制度には、「勤務延長制度」と「再雇用制度」の2種類があります。厚生労働省の「令和6年 高年齢者雇用状況等報告」によると、定年年齢が60~64歳の事業所では、継続雇用制度のある事業所は99.9%に上ります(大企業では100%)。
 
高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳は、勤務延長制度の導入により実施している企業が67.4%、定年の引き上げにより実施している企業が28.7%となっています。
 
勤務延長と再雇用の違いは、以下のとおりです。

●勤務延長制度……退職前と同じ労働条件で働けるため、収入もほぼ変わらない。
●再雇用制度……新たに雇用契約を結ぶため、非正規雇用となるケースが多く、収入も下がることが多い。

なお、厚生年金は定年退職をすると任意継続制度がありませんが、再雇用や再就職で会社に勤めている場合は70歳まで加入することが可能です。
 

嘱託社員と正社員の違い

定年退職後の再雇用では雇用形態に関する法的な規制はなく、必ずしも正社員として再就職できるわけではありません。再就職や再雇用時には、嘱託社員や契約社員、パート・アルバイトで雇用されるケースが多くあります。
 
嘱託社員に明確な法律による定義はありませんが、期間を定めて雇用契約をする契約社員の一種とされています。一般的には1年契約で毎年更新する形態が多く、正社員と比べると雇用の安定性が低く、収入も下がる傾向にあります。
 

定年後再就職の給与減を避ける方法

定年退職後の再就職で、給与の減少をなるべく抑えるための方法があります。ここでは、主な2つのポイントについて説明します。
 
1. 給付金をもらう
60歳以上65歳未満で雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下している場合、「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」の支給を受けられる可能性があります。
 
2. 在職老齢年金に注意する
在職老齢年金は、働きながら年金をもらうことができる制度です。ただし、老齢厚生年金の月額と月給・賞与(直近1年間の賞与の12分の1)の合計が51万円(令和7年度)を超えると年金額が減らされるため注意が必要です。なお、老齢基礎年金は全額受給できます。
 

定年後の収入減は各種制度の活用などで補おう

定年後でも働くことができる企業は増えていますが、ほとんどの場合で定年前の給与よりも下がるのが現実です。そのため少しでも収入減を補う工夫が必要で、「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」を活用するのも一つの方法です。また、スキルアップや資格取得に努めることで、再雇用後の待遇改善交渉に活用できる可能性があります。
 
また、働きながら厚生年金を受け取る場合は、収入が一定以上になると年金が減額されることがあるため、月額収入にも注意しましょう。特に、70歳まで厚生年金に加入することが可能なため、年金受給と収入のバランスを考慮することが重要です。
 

出典

デジタル庁 e-GOV 法令検索 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
厚生労働省 高年齢者の雇用
株式会社パーソル総合研究所 シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査
厚生労働省 令和6年 高年齢者雇用状況等報告
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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