「年金」だけで「生活」できる人はどのくらいいる? 統計データから見えてくる「老後資金」の実態

配信日: 2025.03.26

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「年金」だけで「生活」できる人はどのくらいいる? 統計データから見えてくる「老後資金」の実態
日本では公的年金制度が整備されているものの、「年金だけで生活していけるのか? 」と不安を感じる人は少なくありません。高齢化が進むなか、年金のみで生活を維持している世帯はどのくらい存在するのでしょうか。また、年金収入だけで生活できない場合、どのような対策をとるべきかも気になるところです。
 
そこでこの記事では、厚生労働省の統計データをもとに、年金のみで生活している世帯の割合や実際の生活水準を解説し、足りない老後資金を補うための選択肢について考えていきます。
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年金のみで生活している世帯の割合

厚生労働省の「 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、日本の高齢者世帯のうち、公的年金のみを収入源としている世帯の割合は41.7%でした。つまり、約6割の高齢者世帯は、年金以外にも収入を得て生活していることが分かります。
 
なお、年金以外に収入がない世帯でも、年金だけで生活費のすべてをまかなっているとは限りません。現役時代の貯蓄を切り崩して生活していることも考えられます。
 

年金収入だけで生活できるのか?

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」による65歳以上の高齢者世帯における年金の平均受給額は、以下の表1の通りです。
 
表1

世帯構成 実収入 支出 不足分
夫婦世帯 24万4580円
(うち社会保障給付 21万8441円)
28万2497円 3万7917円
単身世帯 12万6905円
(うち社会保障給付 11万8230円)
15万7673円 3万768円

※総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 
このデータから、年金収入のみでは生活費をまかなえない可能性があることが分かります。
 

老後に不足しやすい費用

年金だけで生活する場合、不足しやすい可能性があるのが医療費や介護費用です。加齢にともない病院にかかる頻度が増え、健康保険でカバーされない自己負担が発生することもあります。
 
また、介護が必要になった場合、介護保険を利用しても自己負担が発生するため、これらの費用を年金だけでまかなうのは難しい状況だと考えられます。
 

老後資金を補うための対策

老後資金を補うため、現役時代からできる対策にはどのようなものがあるのかご紹介します。
 

貯蓄・資産運用を活用する

年金だけで生活できない場合、現役時代から貯蓄や資産運用を進めておくことが重要です。例えば、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用すると、税制優遇を受けながら老後資金を積み立てられる可能性があります。
 
iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となるため、現在の収入にかかる所得税を節税しながら、資産形成を進められる可能性があります。少額から始められるNISAも、長期的な資産形成に向いている投資方法だとされているようです。ただし、どちらも元本割れのリスクがある点に注意しましょう。
 

退職後の収入を確保する

老後も安定した生活を送るためには、年金以外の収入源を確保することが大切です。再雇用制度やシニア向けの仕事を活用することで、生活費の不足分を補える場合があります。
 
最近では、短時間勤務や週2〜3日程度の勤務など、高齢者でも働きやすい環境が整備されつつあります。月に5~10万円の収入を得られれば、年金不足分も補える可能性があります。
 

生活コストを見直す

生活費を抑えることも重要なポイントです。例えば、子育て時期から変わらずファミリー向けの住宅に住み続けている場合、小さな家に住み替えることで、住居費を抑えられるかもしれません。
 
また、家賃が高い都市部に住んでいる場合は郊外へ引っ越す方法もあります。ただし、交通の便が悪い地域ではマイカーが手放せなくなることも考えられるため、注意してください。
 
このほか、固定費の削減(携帯料金の見直し、不要な保険の解約など)も効果的だと考えられます。
 

老後に向けて今からできる準備

厚生労働省の統計データをもとに分析した結果、年金のみで生活している世帯は多いものの、実際には生活費が不足しているケースが多いことが分かりました。特に、医療費や介護費用を考慮すると、年金収入だけでは十分とはいえない可能性があります。
 
そこで、現役世代のうちから貯蓄や資産運用を進めることが重要です。iDeCoやNISAを活用し、少しずつでも老後資金を準備しておけば、将来の不安を軽減できる可能性があります。また、退職後の働き方を考え、生活費を見直すことで、より安定した老後を迎えられるかもしれません。
 

出典

厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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