【年金暮らし】「夫婦2人暮らし」と「単身生活」で生活費はどのくらい違いますか?
配信日: 2025.04.01 更新日: 2025.04.02

そこで本記事では、国の統計データをもとに、夫婦高齢者世帯と単身高齢者世帯の平均生活費の違いや収支の状況と、老後資金の備えに対する考え方をまとめました。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高齢者夫婦2人暮らしの平均生活費は単身世帯の1.7倍以上
高齢夫婦2人暮らし世帯と高齢単身世帯の生活費には、どのくらいの差があるのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均生活費(消費支出)は25万959円です。一方、65歳以上の単身無職世帯の平均生活費は14万5430円という結果が出ています。比較すると、夫婦世帯のほうが単身世帯と比べて、1.7倍以上の生活費がかかる計算です。
それぞれの内訳を、図表1にまとめました。
【図表1】
費目 | 高齢夫婦無職世帯 | 高齢単身無職世帯 |
---|---|---|
食料 | 7万2930円 29.1% |
4万103円 27.6% |
住居 | 1万6827円 6.7% |
1万2564円 8.6% |
光熱・水道 | 2万2422円 8.9% |
1万4436円 9.9% |
家具・家事用品 | 1万477円 4.2% |
5923円 4.1% |
被服・履物 | 5159円 2.1% |
3241円 2.2% |
保健医療 | 1万6879円 6.7% |
7981円 5.5% |
交通・通信 | 3万729円 12.2% |
1万5086円 10.4% |
教養娯楽 | 2万4690円 9.8% |
1万5277円 10.5% |
その他 | 5万839円 20.3% |
3万821円 21.2% |
※総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」をもとに筆者作成
各費目の金額を比較してみると、食料費や住居費、光熱・水道費、教養娯楽など、人数が単身だからといって夫婦世帯と比べて金額が半分になるわけではないものが目につきます。結果、1人当たりの生活費は、単身世帯のほうが2万円程度高い計算になります。
夫婦世帯も単身世帯も老後の収入だけで生活するのは難しい可能性がある
同調査によると、夫婦高齢者無職世帯の可処分所得は21万3042円、単身高齢者無職世帯の可処分所得は11万4663円です。1人当たりの可処分所得を比較すると、夫婦世帯のほうが単身世帯よりも少ない計算となります。
収入と支出だけを見た場合、単身世帯のほうが夫婦世帯よりも、平均してゆとりのある生活を送っているということもできるでしょう。ただし、夫婦世帯、単身世帯ともに、平均可処分所得を消費支出が上回っています。
夫婦世帯は3万7917円、単身世帯は3万767円の赤字です。つまり、夫婦世帯か単身世帯かにかかわらず、年金をはじめとする老後の収入が、生活を維持するのに十分ではない可能性が高いということです。
老後の生活費を確保するためにできる対策は?
毎月3万円強の老後生活費の赤字を補てんするには、年間36万円以上、30年間では少なくとも1000万円以上を何らかの方法で用意しなければなりません。
老後の資金に十分備えるためにすぐに取り組めることとして、生活費の収支の見直しが挙げられます。保険に必要のない保障をつけていないか、使っていない有料サービスにお金を払い続けていないかなど、固定費を見直すことから始めるとよいでしょう。
また、貯蓄と年金や退職金など老後の収入や自宅のリフォーム資金など大きな支出を試算してみて、いくら足りないのかを把握することが大切です。そのうえで、iDeCoやNISA、民間の保険商品などを利用した資産運用、土地活用などの不動産運用といった対策を講じましょう。
夫婦世帯も単身世帯も早めに年金暮らしに向けた準備をしよう
高齢者世帯の平均的な生活費は、人数が多い夫婦世帯のほうが単身世帯よりも多くかかりますが、一人当たりの生活費は単身世帯のほうが高額です。
また、家計調査報告によると、夫婦・単身世帯のいずれも収支が赤字であることから、老後の収入以外にも老後資金を確保しておく必要性がうかがえます。老後の収支の見通しを立て、早めに老後資金の準備に取りかかることが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー