「退職金」にも社会保険料ってかかるの? 来月末「定年退職」するので気になります。

配信日: 2025.04.01

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「退職金」にも社会保険料ってかかるの? 来月末「定年退職」するので気になります。
定年退職を控え、これまでの勤労の集大成として支給される退職金。長年の勤務に対する感謝の意を表す大切な資金ですが、「退職金にも社会保険料がかかるのだろうか」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、退職金に対する社会保険料の取り扱いについて見ていきます。
吉野裕一

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

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退職金に社会保険料はかからない

結論からいうと、退職金に関して社会保険料はかかりません。これは退職金の捉え方が「賃金」ではなく、長年の勤労に対する「功労金」という意味合いが強い面もあります。
 
退職金には所得税や住民税はかかりますが、このような見方から、退職所得控除や公的年金等雑所得控除の対象となり、給与や賞与よりも優遇された税率が課せられます。


・勤続年数が20年以上の場合

退職所得=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

・勤続年数が20年未満の場合
退職所得=40万円×勤続年数(最低80万円)

なお、退職金を年金として受け取るケースもあるでしょう。年金として受け取る場合、雑所得として課税されることになりますが、一般的な雑所得とは別に「公的年金等雑所得」とされて、所得税法上優遇されて受け取ることができます。
 


※国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」より筆者作成
 

受け取り方によっては社会保険料がかかるケースも

前項では「退職金には社会保険料がかからない」と記載しましたが、これは退職金を一時金として受け取った場合です。退職金は一時金だけではなく、年金形式で毎月受け取る・一時金と年金形式を併用して受け取るというケースもあります。
 
年金形式で受け取った場合は、前項のように所得税の優遇は受けられますが、所得の捉え方が「退職所得」ではなく「雑所得」になるため、社会保険料の計算上「所得」に含まれることになります。
 
定年退職後の社会保険料の負担には、国民健康保険料と介護保険料があります。公的年金だけをもらう場合と比べ、収入が増えることで、所得税や住民税、社会保険料が上がる可能性もあることに注意しましょう。
 
また、退職金を年金形式で受け取り始める年齢が65歳未満であれば、65歳以上に比べて、控除が少なくなる点にも注意が必要です。
 

退職のタイミングによって社会保険料が変わる

退職金には社会保険料はかかりませんが、退職するまでの給与には社会保険料がかかります。社会保険料は月単位で徴収されているので、月の途中で退職した場合でも、前月分の社会保険料を徴収したうえで給与が支払われます。この方法では、資格を喪失した日の前月分までを徴収することとなっています。
 
例えば、3月31日に退職した場合、資格を喪失するのは翌日の4月1日になります。このとき、4月1日の前月分である3月分の社会保険料が徴収されることになります。しかし、3月30日に退職した場合には、翌日の3月31日が基準日となり、2月分は徴収されますが、3月分は徴収されないことになります。
 
「1ヶ月分払うのは損だ」と思う人もいるかもしれませんが、1ヶ月分多く払うことで、年金額がその分増えるというメリットもあります。
 

まとめ

退職金は「長年の勤労に対する功労金」と捉えられているので、社会保険料を徴収されることはありません。
 
ただし一括ではなく年金形式で受け取った場合には、退職所得ではなく雑所得として扱われるため、社会保険料が徴収されることになります。
 
また退職のタイミングによっては、給与に対する社会保険料の徴収が1ヶ月分多くなるケースもあります。退職金の受け取り方法や受け取る時期で工夫ができるのであれば、検討するのもよいかもしれません。
 

出典

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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