60代で持ち家はなく、ずっと「賃貸」で暮らしてきました。老後も家賃を払い続けるのは「リスク」が高いのでしょうか?

配信日: 2025.04.04

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60代で持ち家はなく、ずっと「賃貸」で暮らしてきました。老後も家賃を払い続けるのは「リスク」が高いのでしょうか?
60代を迎え、これまでずっと賃貸住宅で暮らしてきた方のなかには、「この先も家賃を払い続けられるのか」「老後に賃貸で住み続けるのは危険ではないか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
 
定年後は収入が減る一方、家賃という固定費は変わらずかかり続けます。本記事では、老後の賃貸暮らしに潜むリスクや持ち家との違い、安心して老後を迎えるための住まいの選び方について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後も賃貸で暮らすことの経済的リスクとは?

老後において賃貸住宅で暮らし続ける最大のリスクは、やはり「家賃負担」です。定年退職後は、年金を主な収入源とする生活に変わります。
 
総務省の「家計調査 家計収支編 2023年」によれば、夫婦2人の高齢者無職世帯の平均年金収入は月21万8441円です。一方、東京都市部や主要都市の平均的な家賃は7〜10万円台ともいわれており、生活費に占める割合が非常に大きくなる可能性があります。
 
さらに、賃貸住宅では家賃が固定された支出であるうえに、市場動向や物価上昇などの影響を受けることもあります。持ち家とは違い、ローン完済後でも住居費が抑えられることができないため、長生きするほど住居費の負担が累積し、老後資金が尽きてしまうリスクもあります。
 
また、高齢になるほど医療費や介護費用などの支出が増加する傾向があります。それらと固定支出である家賃が重なることで、生活を圧迫する可能性は十分にあるといえるでしょう。
 

高齢者が賃貸物件を借り続ける際の課題と対策

賃貸に住み続けるには、家賃負担以外にもいくつかの課題が存在します。
 
年齢を重ねるにつれ賃貸の契約が難しくなる傾向で、その背景には大家や不動産会社が抱える懸念があります。具体的には、高齢者の孤独死や家賃滞納への不安が挙げられます。特に単身高齢者の場合は、こうした懸念が審査時に不利に働くことも少なくありません。
 
また、契約時に必要な連帯保証人の確保も課題です。高齢者になると頼れる家族や親族が少なくなり、保証人を立てられない人も増えます。最近では保証会社を利用する選択肢もありますが、その分の費用が上乗せされるため、家賃以外の負担が増える可能性もあります。
 
加えて、身体の衰えに対応できる住まいかどうかも重要です。賃貸物件では、手すりの設置や段差の解消といったリフォームが自由にできない場合が多く、将来的に「住みにくくなってしまう」リスクがあります。
 
こうした課題に備えるには、「早めに高齢者歓迎の賃貸物件を探しておく」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を検討する」「自治体の高齢者住宅支援制度を活用する」といった対策方法が考えられます。
 
高齢者の入居を積極的に受け入れている物件や地域を探すことで、安心して賃貸暮らしを続ける道が開けるでしょう。
 

持ち家と賃貸、老後の住まい選びのポイント

「老後は持ち家のほうが安心」とよくいわれますが、実際には持ち家にも賃貸にもそれぞれのメリット・デメリットがあります。
 
持ち家で住宅ローンを完済している場合は、住居費が抑えられ、将来的に家賃の心配がなくなります。また、リフォームによるバリアフリー化も自分の判断で行えるため、高齢者には安心です。
 
ただし、建物の老朽化や固定資産税、修繕費といった維持コストは避けられません。また、売却や住み替えには手間と時間がかかり、不動産市場などの状況次第では売却価格が期待通りにならない場合もあります。そのため、身軽な生活を求める方には負担になる可能性もあります。
 
一方、賃貸は住み替えの自由度が高く、身軽な暮らしが実現できます。近年はシニア向けの賃貸住宅も増えており、医療機関に近い立地や見守りサービス付きの物件など、高齢者に配慮した選択肢も広がっています。
 
ただし、前述のとおり、家賃支払いが一生続く点や保証人問題など、高齢者特有の課題も考慮する必要があります。持ち家と賃貸のどちらが正解かということではなく、自分の経済状況や健康状態、ライフスタイルに応じた選択が必要です。
 

老後の住まいを安心・安全にするために

老後に賃貸住宅で暮らす場合、家賃負担や契約面での不安が生じることがあります。しかし、決して悲観的になる必要はありません。大切なのは、将来の生活設計を見据えて、住まいや資金の準備を早めに行うことです。
 
例えば、退職前から家賃の安い物件に引っ越す、自治体の支援制度を調べる、高齢者向けの住宅情報を集めておくなど、小さな準備が将来の安心につながります。
 
「ずっと賃貸だったから老後が不安」という声もよく聞きますが、今からでもできる対策は数多くあります。自分に合った住まい方を見つけることで、不安を解消しながら安心して老後を迎える準備を進めていきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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