【老後貧乏の恐怖】ゆとりある老後生活の為の対策

配信日: 2019.03.11 更新日: 2019.07.17

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【老後貧乏の恐怖】ゆとりある老後生活の為の対策
以前は60歳から受け取れた老齢年金も65歳からと後倒しになっている現在。70歳受給になるのは時間の問題では、と不安要素の多い年金。受給されている方から「年金額は本当にわずか」「足りない。貯金を切り崩している」とお聞きすることも多々あります。
 
迫りくる現実を避けて通ることはできませんが、対策を講じることはできます。その対策についてお伝えします。
 
高野具子

執筆者:高野具子(たかのともこ)

ファイナンシャルプランナー

40社扱う保険会社を扱う来店型保険相談ショップの元店長。保険だけに留まらず、より広い視野で顧客へ金融アドバイスをするため長年勤めた保険ショップを退職。
 
「出会ったすべての人の懐を温め、心豊かにすること」をテーマに、将来の資金作りのプランナーとして現在活動中。特に自身の経験に基いたコンサルティングは30代40代の女性に「話しやすく何でも相談でき安心できる」と定評あり。
 

そもそも年金額はいくらもらえるの?

老齢年金はよく2階建てと言われます。1階部分は「国民年金」、すべての国民が加入を義務付けられているため「基礎年金」とも呼ばれます。2階部分は会社員や公務員等が加入する「厚生年金」があります。
 
1階部分である「国民年金」は、保険料の納付期間20歳から60歳までの40年間を満たすと満額77万9300円/年(約80万円)が受給できます。月換算すると6万4941円(約6万5000円)です。未納期間がある場合の受給額は次のように計算します。
 
77万9300円÷480(40年間の月数)×保険料を支払った期間の月数
つまり約1600円×保険料を支払った月数で計算すればよいということです。
 
次に2階建て部分の「厚生年金」について見ていきましょう。
 
厚生年金は年収によって金額が変わります。そのため正確に試算することは難しいですが、簡単な計算式があります。
 
年収×0.0055×年数
 
例えば年収500万円で20歳から60歳までの40年を満たした場合
500万円×0.0055×40年=110万円/年となります。
 
月換算すると9万1666円(約9万2000円)となり、先ほどの国民年金(基礎年金)と合算すると、9万2000円+6万5000円=15万7000円/月となります。
 

対策その1.年金の受け取り時期を遅くする

現在、年金の受け取り開始は65歳からです。少し前までは60歳でしたが、段階的に引き上げられました。受給開始時期は1ヶ月ごと遅らせることができます。例えば、66歳と3ヶ月目からというイメージです。最大は70歳まで遅らせることができ、そうすることで受給額を増やすことが可能です。
 
増額率を見ていきましょう。
 
繰り下げ1ヶ月ごと×0.007
最大は70歳まで。つまり66歳~70歳の5年間の60ヶ月ですから、
0.007×60ヶ月=0.42となります。
 
先ほどの15万7000円を70歳から受け取った場合、最大増額率42%(0.42)となり、22万2940円が毎月受け取れる老齢年金額となります。
 

対策その2.現在の収入をUPし厚生年金額を増やす

すでに国民年金(基礎年金)は満額が決まっておりますので、増やすことはできません。これから増やせる可能性があるのは、厚生年金額となります。厚生年金額を増やすには、出世等で給与を増やす他、副業し副収入を得る、専業主婦の方が社会保険に加入して働きに出るといった方法があります。
 
ここで年金の考え方をお伝えします。年金は「もらう」ものではなく「作る」ものです。多くの方が「もらえない」と認識していますが、年金は前述のように保険料の払込期間とその額で決まります。自ら年金額を増やす努力が必要です。
 

対策その3.iDeCo・つみたてNISAを活用し効果的に積み立てる

2017年1月より、iDeCoの加入資格者が拡大しました。従来は自営業の方や企業年金を導入していない会社の会社員まででしたが、公務員や専業主婦の方、企業年金を導入している会社の会社員へと拡がっています。
 
しかし「iDeCoって聞いたことがあるけれど、よく分からない」「興味はあるけど、調べようと思いつつ手が回らない」「どこでできるのか」「商品はどれを選べば良いのか」という声をまだ多く聞きます。
 
iDeCoやつみたてNISAを簡単にお伝えすると「政府が用意した、老後に向けて自身で資金準備するためのお得な制度」です。
 
60歳まで毎月積み立てを行います。積み立てる金融商品は主に投資信託です。そのため運用次第では支払ってきた金額(元本)よりも大きく受け取れることもあれば、元本を割るケースもありますので、随時自身で運用状態を確認していく必要があります。
 
iDeCoの場合、積立金額が課税される所得金額から全額引かれます。よって確定申告や年末調整の際、税金が戻ってきます。ちなみに民間の生命保険の場合は、いくら保険料を支払っていても上限がありますが、iDeCoは積立金額全額です。
 
また受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除が使えますので、もうけが出ても課税されないケースがあります。
ただし積立できる金額に上限があるのと、60歳までは積立金額を引き出すことができません。今の自分の現状に合った積立金額を考えてから始める必要があります。
 
一方つみたてNISAは、積立金額が所得税・住民税の控除の対象にはなりません。しかし受け取り時の効果が抜群で、全額非課税となります。
 
通常、株や運用商品を購入し、売却した場合にもうけが出ると、そのもうけに対し源泉徴収で20%(復興特別所得税除く)が引かれます。例えば10万円もうかっても2万円は税金で引かれてしまい、手元に残るのは8万円になってしまいますが、つみたてNISAの口座で積み立てを行うと、これが非課税となるのです。ただし積立金額は毎年40万円までと上限があります
 
またつみたてNISAの金融商品は、金融庁が許可した商品のみのラインナップになっています。つまり金融庁のお墨付き商品ということです。金融機関や商品の選び方についてはぜひファイナンシャルプランナーにご相談ください。
 
もはや年金は「もらう」のではなく自ら「作り出す」時代です。今から少しずつでもまずは始めてみることが大切です。
 
執筆者:高野具子(たかのともこ)
ファイナンシャルプランナー
 
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