転職して3ヶ月、別居している親の介護保険の手続きをするために「介護休暇」を取得できますか?

配信日: 2025.04.10

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転職して3ヶ月、別居している親の介護保険の手続きをするために「介護休暇」を取得できますか?
家族の介護をしながら働く人が増えています。仕事と介護の両立を支援するため、介護保険サービス等や、介護休業、介護休暇、残業免除などの制度があります。
 
2025年4月より介護休暇を取得できる労働者の要件が緩和されましたので紹介します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

介護休暇とは

介護休暇とは、要介護状態にある配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫(対象家族)を介護する場合、1年間に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護その他の世話を行うために休暇の取得ができる(1日または時間単位の取得可能)制度です。
 
介護休暇中は無給です。介護休業給付金のような公的支援はありません。
 
対象家族の介護や介護保険の手続き、通院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせ等に利用できます。介護休暇を取得したい場合、書面の提出に限定されておらず、口頭での申し出も可能です。
 

「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」が見直された!

「要介護状態」とは、対象家族が負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、「2週間以上にわたり、常時介護を必要とする状態」のことをいいます。対象家族は同居の有無を問いません。
 
「常時介護を必要とする状態」とは、以下の1または2のいずれかに該当する場合をいいます。


1.判断基準表の項目1~12うち、状態について「2」が2つ以上または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること
2.介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること

介護休暇を取得するには、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出は必要ありません。
 
また、判断基準にとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されることのないよう、労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが求められています。
 
*現行の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」は、主に高齢者介護を念頭に作成されており、子に障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考えられることから、見直されました。
 
これにより、障害児・者や医療的ケア児・者を介護するケース でも適用しやすくなりました。「常時介護を必要とする状態に関する判断基準表」は、厚生労働省の資料(※)より確認いただけます。
 

介護休暇を取得できる労働者の要件が緩和された!

2025年(令和7年)4月以降、労使協定によって、継続雇用期間6ヶ月未満の労働者は介護休暇の対象者から除外できなくなり、労使協定によって除外できるのは、週の所定労働日数が2日以下の労働者だけとなりました。これにより入社6ヶ月未満の社員も介護休暇が取得できるようになりました。
 
なお、介護休業(対象家族1人につき通算93日、3回に分割して取得可能)の場合は、労使協定により、「入社1年未満の労働者」「申出の日から93日以内に雇用関係が終了する労働者」「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」を除外することが可能です。
 
仕事をしながら介護をしている方は、介護休暇をうまく活用しましょう。
 

出典

厚生労働省 育児・介護休業法について
厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
厚生労働省 介護休暇とは
厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要(令和6年法律第42号、令和6年5月31日公布)
厚生労働省 令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年1月23日時点)
厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について(令和7年2月5日職発0205第4号、雇均発0205第2号)
厚生労働省 「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の見直しの方向性について(案)
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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