35歳で貯金が「700万円」、結婚の予定はありません。このまま独身でもこれくらいの貯蓄があれば老後は心配ないですか?
配信日: 2025.04.13

今回のケースでは30代で貯金700万円の人が老後について考えています。700万円が老後資金として十分であるかどうかは、年金や退職金を含む今後の収支や健康状態など、さまざまな要素によって左右されるでしょう。
本記事では、30代の平均的な貯蓄額や老後に必要な資金などを解説し、貯蓄の考え方について取り上げます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
30代単身世帯の平均貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、世帯主が30代で「金融資産」を有している世帯割合は66.0%でした。
また金融資産を保有している世帯のうち、資産保有状況は表1の通りです。
表1
金融資産保有額 | 全体に対する割合(%) |
---|---|
100万円未満 | 22.0 |
100~200万円未満 | 9.3 |
200~300万円未満 | 11.2 |
300~400万円未満 | 9.3 |
400~500万円未満 | 6.1 |
500~700万円未満 | 8.4 |
700~1000万円未満 | 5.1 |
1000~1500万円未満 | 11.2 |
1500~2000万円未満 | 2.8 |
2000~3000万円未満 | 4.7 |
3000万円以上 | 6.1 |
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成
平均値は「912万円」です。今回のケースでは700万円であるため平均値から大きな差があります。
とはいえ中央値は「300万円」です。中央値はデータの値を大小順にしたときに中央にくる値であり、平均値よりも実態に近い値を知ることができます。こちらと比較すると700万円は決して少額ではないと思われます。
老後に必要な資金はどれくらい?
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の平均消費支出は以下の通りです。
・平均消費支出:14万5430円
仮に毎月14万5430円の支出がある場合、1年で174万5160円の支出となります。90歳まで人生が続く場合、65歳からの25年間の支出は4362万9000円です。
貯金700万円で老後資金は賄える?
前述の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の実収入の平均値は「12万6905円」です。ここから消費支出に税金などの非消費支出を加えた総支出額を差し引くと、毎月の収支バランスは「マイナス3万768円」です。
仮に毎月同額のマイナスが続く場合、1年では36万9216円、25年間では923万400円の不足が生まれます。もし今回のケースがこの収支バランスのようになるとしたら、貯金700万円のみでは65歳以降の生活費をカバーしきれない可能性があります。
ただし上記はあくまで平均値を基にしたシミュレーションに過ぎません。実際には以下のような状況を考慮する必要があります。
収入や貯蓄に関する要素
・収入アップにより貯蓄額が増える
・退職金により金融資産が増える
・年金額が上記の平均収入額よりも多いもしくは少ない
支出に関する要素
・病気や事故など不測の事態によりまとまった支出が発生する
・物価高騰により消費支出が増えて収支バランスが悪くなる
700万円で老後資金が賄えるかどうかは、今後の貯蓄や収支のバランスにより左右されます。
貯金700万円で十分かどうかは個々のケースによる
総務省統計局の家計調査の平均値を基にしたシミュレーションでは、貯金700万円のみで老後資金をカバーすることは難しいかもしれません。もちろん何歳まで生きられるかによって必要な資金が異なるため、一概にはいえません。
今後貯金額が増えたり退職金などの金融資産が加わったりすれば、老後の生活資金に余裕が出るかもしれません。一方不測の事態により支出が増えれば、逆に生活費の工面がたいへんになるおそれもあります。受給できる年金額も状況を左右するでしょう。
いずれにしても、貯金額を増やしたり支出を減らしたりするなど、より資金面で余裕が生まれるように心がける方が無難といえます。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)各種分類別データ(令和5年)統計表の番号2 金融資産の有無、金融資産非保有世帯の預貯金口座または証券会社等の口座の有無および現在の預貯金残高、統計表の番号3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2023年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー