年金暮らしになる父から「扶養に入りたい」と連絡が! 実家を離れて暮らしてるけど“同居”する必要はありますか? 何か条件はあるのでしょうか?
配信日: 2025.05.20

そこで本記事では、年金生活となる親が子の扶養に入るためにはどのような条件が必要なのか解説していきます。別居の場合についても触れるので参考にしてください。

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扶養の種類について
扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあります。
税制上での扶養は、扶養控除の対象とすることで納税者が控除を受けられるようになる、というものです。親が子の扶養に入ることで、子が扶養控除を受けられるようになります。69歳までの親が扶養に入る場合は38万円、70歳以上の親の場合は同居だと58万円、別居だと48万円の所得税控除を受けることが可能です。
社会保険上の扶養は、扶養に入ることで健康保険料や介護保険料といった社会保険料の負担をせずに保険を利用できるようになります。
税制上の扶養に入る要件
税制上の扶養の対象となる要件は、64歳までは「納税者と生計を一にしている」「年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は給与収入が103万円以下)」であることです。また、65歳以上は「納税者と生計を一にしている」「年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみの場合は給与収入が158万円以下)」となっています。
例えば、年間の収入が厚生年金の令和7年度からの標準的な年金額・月16万3476円だった場合、年196万1712円となるので扶養の対象となりません。しかし、年間の収入が国民年金のみの標準的な年金額・月6万9308円だった場合は、年83万1696円なので扶養の対象となります。
また、「生計を一にしている」という要件は、必ずしも同居であることが条件ではありません。別居であっても、生活費や療養費といった資金の送金をしていると認定されると、生計を一にしていると認められる場合があります。
社会保険上の扶養に入る要件
社会保険上の扶養の対象となる要件は、対象者が被保険者と同一世帯である場合と同一世帯ではない場合で異なります。
まず、対象者が被保険者と同一世帯である場合の要件は、「対象者の年間収入が130万円未満かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であること」もしくは「対象者の年間収入が130万円未満かつ保険者の年間収入を上回らないこと」です。
例えば、年収500万円の会社員の場合、親が扶養に入るためには年間収入が130万円未満であることが必要です。
また、対象者が被保険者と同一世帯でない場合の要件は、「対象者の年間収入が130万円未満かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合」です。つまり、仕送りといった援助の金額が年間収入よりも多いことが要件となります。
例えば、年金額が標準的な国民年金の年金額・月6万9308円だった場合は、仕送りの金額が約7万円以上必要です。
扶養に入れるのか確認を
税制上と社会保険上の扶養は、それぞれ要件がありますが、別居中の親を扶養対象者にすることができます。年間の収入額や生計が同一であるか、といった項目が扶養対象者に認定されるために必要なので、しっかりと覚えておいてください。
親が扶養に入ることで、子も扶養控除といった控除を受けられるメリットがあります。年金暮らしになると生活環境が変わるので、家族で相談することも重要です。扶養に入るべきなのか、入ることができるのかについて話し合ってみてください。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー