定年後の「再雇用」で給料が「10万円以上」減ってしまいました…。「60歳以降の給料」はいくらくらいが平均的なのでしょうか?
本記事では、定年後に再雇用で働き続けた場合の給与や労働条件、再雇用・再就職後の収入減を補う制度を解説します。
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定年を迎えると給料は現役時代の「8割以下」になる恐れ
定年前後で給料がどの程度変化するのか、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に、年代別の平均年収(企業規模計)を表1にまとめました。
表1
| 年代 | 年収(きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額) |
|---|---|
| 55~59歳 | 629万3300円 |
| 60~64歳 | 484万2000円 |
| 65~69歳 | 387万7500円 |
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成
55~59歳の年収を100%とした場合、60~64歳は約77%、65~69歳は約62%となっており、60歳代前半の時点ですでに現役時の8割を下回る可能性が高いことが分かります。
再雇用時の基本給は定年退職時の「50%以上80%未満」とする企業が「6割超」
厚生労働省中央労働委員会の「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、再雇用時の雇用・就業形態を「嘱託社員」としている企業は集計162社中、85社(52.5%)でした。労働条件を比較すると、所定労働時間は「定年退職時と同じ」にするケースが160社中125社(78.1%)となっています。
また、基本給の時間単価を50%以上80%未満としている企業は160社中100社(62.5%)でした。再雇用労働者に対する定期昇給をなしとする企業は159社中135社(84.9%)、一時金(賞与)が低い水準となっている企業は161社中109社(67.7%)となっています。
この調査は、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業を対象としたものではありますが、再雇用制度を採用している企業においては、定年退職時と労働時間は同じでも、基本給や賞与は下がるケースが多く、定期昇給も行われないケースが多いようです。
再雇用・再就職後の収入減を補う制度
厚生労働省によれば、再雇用・再就職後の収入減を補う制度として、以下が挙げられます。
・高年齢雇用継続基本給付金
みなし賃金を含む60歳以後の賃金が、60歳時点の賃金の75%未満となっている場合に支給される給付金です。60歳以上65歳未満の一般被保険者で、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間が5年以上ある人を対象としています。
ただし、雇用保険の基本手当を受給している場合は対象となりません。
・高年齢再就職給付金
雇用保険の基本手当を受給しており、再就職している人を対象に支給される給付金です。基本手当の受給後、60歳以後に再就職し、毎月支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満になった人を対象としています。
ただし、60歳以上65歳未満の一般被保険者であり、基本手当の算定基礎期間が5年以上なければなりません。
また、再就職日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること、1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められる安定した職業に就いていることも必要です。さらに、同じ就職において再就職手当の支給を受けている場合は対象になりません。
まとめ
再雇用後の労働条件は、労働時間は定年前と同様でも、基本給や一時金、昇給などについては水準が低下してしまうケースが多いようです。収入の減少により生活に支障が出ている人は、高年齢雇用継続基本給付金や高年齢再就職給付金などの制度を活用しましょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類 表番号1 学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額
厚生労働省中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(確報) 調査結果の概要 5 継続雇用制度(10~12ページ)
厚生労働省 雇用保険制度 Q&A~高年齢雇用継続給付~ Q1 高年齢雇用継続給付の受給資格を教えてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー