更新日: 2019.06.14 定年・退職

定年後「給与が下がっても働きたい」人」が多数 ただ、準備していない人が多数の事実

執筆者 : 藤木俊明

定年後「給与が下がっても働きたい」人」が多数 ただ、準備していない人が多数の事実
定年(60歳)が近づいてきた人には、大きく分けて4つの選択肢があります。恵まれた人は「天下り」みたいに声がかかったり、ヘッドハンティングされたりということもあるでしょうが、多くの人は次のどれかではないでしょうか?
 
(1)65歳まで雇用延長を選択(多くは給与ダウン)
(2)再就職・アルバイト(多くは給与ダウン)
(3)自分で独立・起業(まったく読めない・リスクあり)
(4)60歳を過ぎたらもう何もしない(しばらくは雇用保険で食いつなぎその後はどうにかなるさ)
 
それでは、これらに向かって準備しているかというと、実際は60歳が見えてきても、何もしない人が多いということがあるようです。
 
藤木俊明

執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

全体の約7割の人が「給料が下がっても働きたい」と回答

ファイナンシャルアカデミーが、その実態を把握するため「定年後のキャリアに関する意識調査」を実施し、その結果を報道発表しました。その内容を見てみましょう。
 
「定年後も働きたいですか?」という質問に対し、全体の約7割の人が「給料が下がっても働きたい」と回答しました。
 
その理由では「老後資金の確保のため」「生きがいだから」「社会とのつながりを持ちたい」といった声が上位に上がったようです。ファイナンシャルアカデミーでは、『働きたいという意向の裏には、大きく分けて「必要に迫られて」と「生きる上でのモチベーションを維持」という異なる2つの気持ちが存在する』と分析しています。
 

定年後の「キャリア」対策については「十分できている」と回答した人は全体のわずか1%

ところが、こんなに「定年後も働きたい」とする人が多いのに、定年後の「キャリア」対策については「十分できている」と回答した人は全体のわずか1%でした。
 
『前述の通り「定年後も働きたい」と思っている人が多数派であるにも関わらず、そのための準備ができている人はごく少数派であり、その意向と行動の間には大きなギャップがある』と同調査では分析しています。
 
また同調査では、定年後の「お金」の対策についてたずねていますが、「十分できている」と回答したのは全体のわずか3%ということです。『その理由は、「目の前の仕事で精一杯だから」という声が最も多く、現業に忙殺されて定年後のことを考える余裕がないという人が多数派である』としています。
 
おそらくはこの辺が本音のところで、「心配だけど何だかバタバタしてるうちに日々が過ぎていく」ということではないのでしょうか。
 

せめて定年1年前ぐらいから具体的活動を

実際に定年後起業を果たした人に取材すると、「定年1年前ぐらいから具体的に行動をはじめた」という声を多く聞きます。
 
「定年になる何年も前から着々と準備をしている」という人はほんとにレアで、そういう人は定年前に早期退職して、もっと早く50代半ばで起業していることが多いようです。まだ、体力に不安が少ないからというのもあるでしょう。
 
しかし、実際は「定年後のことは定年後に考えよう」という人が大勢を占め、いったん失業手当をもらいながら情報収集を始めるという姿が現実的です。
 
しかしそうすると、会社を退職してから、半年以上ブランクができてしまいます。その半年は、今までのように会社や、会社の同僚から情報は入ってきません。
 
つまり、流れに取り残されたような状態になります。そうすると、再就職するにしても、独立・起業するにしても、そこからイチから始めることになり、正直、形になるのはもっと先になるでしょう。
 
「定年の1年ぐらい前から具体的に行動をはじめた」という人に伺うと、“自治体の創業スクールに通い始めた”とか、“自分でコワーキングスペースを借りて勉強を始めた”などと、1年前から具体的なインプットを取り入れ始め、定年後、すぐ行動を起こせるようにしている人が多いです。せめて、1年前には何か準備を始めたいものですね。
 
※ファイナンシャルアカデミー、男女386名を対象に「定年後のキャリア」に関する意識調査を実施
 
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家