更新日: 2019.06.13 介護

親の介護を考えよう 40代から考える介護費用

親の介護を考えよう 40代から考える介護費用
40歳になると介護保険の被保険者となり、健康保険料に合わせて介護保険料を徴収されますが、介護保険制度について理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで、40歳になったあなたに、親の介護に最大限利用したい介護保険について詳しく解説します。
 
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして導入された介護保険

介護保険は、高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など、介護ニーズがますます増大する一方で、核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況が変化したことから、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして平成12年に導入されました。
 
その際、おおむね40歳くらいから自らが初老期の認知症や脳卒中によって要介護状態になる可能性が高くなることと、自らの親も介護が必要となる可能性が高くなることから、世代間連帯によって介護を支え合うという制度の目的にのっとり、介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と医療保険に加入している40~64歳の第2号被保険者に区分されました。
 
第1号被保険者は、原因の如何にかかわらず、要介護等状態になった場合に介護保険のサービスを受けることができます。
 
第2号被保険者は、末期がんや関節リウマチなど加齢に起因する特定疾病により要介護等状態になった場合は、介護保険を利用することができます。したがって、40歳になったら介護保険を学んでその利用法を理解しておきましょう。
 

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介護保険を利用するには介護認定が必要

健康保険と介護保険ではその利用方法に大きな違いがあります。健康保険では、病院の窓口に健康保険証を提示すればいつでも治療等を受けることができますが、介護保険は、65歳になると手元に届く介護保険証を提示するだけでは介護保険のサービスを受けることはできません。
 
介護保険は、要介護認定されて初めてサービスを利用することができます。要介護認定は、本人や家族等が申請書等を地域包括支援センターに提出して申請します。
 
その後、下図のとおり認定調査等が行われ、要支援1~2または要介護1~5と認定されると、介護度に応じたサービスを受けることができます。
 
この認定で、非該当と判定されると介護保険を利用することができませんが、地方自治体等が実施している地域支援事業を利用することができます。
 

 
なお、地域包括支援センターは、全国くまなく配置されていますので、この機会に親の居住する地域を担当する地域包括支援センターを確認しておくと良いでしょう。(※2参照)
 

要介護度に応じて利用できる介護サービス費の限度額がある

親の介護に直面した時に、はじめに、介護を在宅で行うのか、介護施設を利用するのか選択する必要があります。そして、要介護度に応じて利用できる介護サービスが異なります。
 
例えば、介護施設を利用する場合、多くの人が利用する介護保険老人施設(特養)は要介護3以上でなければ利用することはできません。また、在宅で介護する場合に利用する訪問介護や訪問看護等の在宅介護サービスは、要介護度によって下表のとおり利用できる限度額が決まっています。
 

 

介護サービス費の自己負担割合と高額介護サービス費

介護保険に基づき介護サービスを利用した際には、利用者は所得に応じて下表のとおり利用額の1~3割の自己負担額を支払う必要があります。
 

 
なお、健康保険に高額療養費制度があるように、介護保険にも月々の介護サービス費の自己負担が、世帯(個人)合計で下表の限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される高額介護サービス費制度があります。
 

 
40歳になったら、介護保険の第2号被保険者となることを認識し、親の介護に備えて早めに介護保険について理解しましょう。
 
出典
(※1)公益社団法人 国民健康保険中央会 「介護保険制度」
(※2)厚生労働省 「地域包括支援センターの業務」
(※3)厚生労働省 「介護事業所・生活関連情報検索」
 
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
 

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