退職金“2000万円”をもらったら税金はいくら? 手取りで残る金額を簡単に試算

配信日: 2025.10.03 更新日: 2025.10.21
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退職金“2000万円”をもらったら税金はいくら? 手取りで残る金額を簡単に試算
「退職金で老後は安心」と思っていても、実際には退職金にも税金がかかります。特に2000万円といった大きな金額になると、「どのくらい差し引かれて手元に残るのか?」は、気になるポイントでしょう。
 
本記事では、退職金を一時金として受け取る際にかかる税金の仕組みを整理し、具体的な試算を交えて“手取り額”を解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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退職金にかかる税金の仕組み

退職金は、「退職所得」として優遇された課税方式が適用されます。
 
特に、退職所得控除の存在は非常に大きく、勤続年数に応じて、以下の計算式で「控除額」が決まります。
 

・勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
・勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 
参考までに、勤続30年の方の場合、退職所得控除は下記のようになります。
 
・800万円+70万円×(30-20)年=1500万円
 
そして、課税対象となる退職所得の範囲は、上記の退職所得控除を引いた額に、さらに2分の1をかけたものになります。
 
そのため、勤続年数が長ければ長いほど退職金は手取りが大きくなる仕組みです。中には定年まで勤めあげたとき、退職金が非課税だったという人も少なからず存在します。
 
ではなぜ、退職金はこのような優遇を受けているのでしょうか。それは、退職金が一般的には労働の対価として定期的に受け取る給与とは異なり、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであるためなどとされています。
 

退職金2000万円の場合の試算

退職金を2000万円もらった際の税額は、勤続年数によって大きく変わります。勤続年数次第で税金を0にすることもできるでしょうし、想像以上に大きな額になる可能性もあります。
 
参考までに、定年退職と考え、30年勤続した場合で試算してみましょう。その場合、退職所得控除額は先述のとおり1500万円になります。
そして、課税対象となる退職所得の額は、2000万円-1500万円に2分の1をかけて、250万円となります。
 
退職所得にかかる税金、すなわち所得税と住民税を計算すると、所得税の額は250万円に10%をかけて9万7500円を控除した額になるので、15万2500円となります。復興特別所得税は所得税額に2.1%をかけた額なので、3202円です。
 
さらに、住民税所得割も10%と計算すると25万円となり、均等割を5000円とすると25万5000円になります。合計で41万702円となりますので、手取りは1958万9298円です。
 
実際には勤続年数によって大きく変わるので一概にはいえませんが、よほど短期間で大金の退職金をもらうような場合でない限り、退職金にかかる税金を過度に心配する必要もないでしょう。
 

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勤続年数が短くなるとどう変化する?

では、もし勤続年数が10年と、比較的短い期間であったらどうなるでしょうか。変化を見てみましょう。
 
この場合、勤続年数が20年以下ということで、退職所得控除の計算式が40万円×勤続年数となるため、400万円となります。
 
すると、課税対象となる800万円に23%の所得税率と控除額63万6000円、2.1%の復興特別所得税、加えて住民税所得割の10%の税率をかけて均等割額5000円を足すと、最終的な税額は203万4284円となり、手取り額は1796万5716円となります。
 
このように、勤続年数が比較的短期ですと、同じ退職金額でも手取りが160万円以上減ってしまうことになります。
 

まとめ

退職金は「退職所得控除」と最終的な課税範囲を2分の1とする計算式のおかげで、例えば2000万円を受け取っても、勤続年数が長く30年ほどであれば、実際の税負担は40万円前後と、比較的軽く済む可能性があります。
 
ただし、勤続年数が短い場合などでは、税額が増えることもあります。退職金は老後の生活資金の柱となるため、控除や制度を正しく理解して受け取り方を検討することが、手取り額を最大化するポイントといえるでしょう。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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