「老後の不安を相談したい」誰に相談するのが一番いいのだろう

配信日: 2019.06.28 更新日: 2019.07.01

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「老後の不安を相談したい」誰に相談するのが一番いいのだろう
朝日新聞(5月23日)の朝刊一面に、「人生100年、蓄えは万全?「資産寿命」、国が世代別に指針 細る年金、自助促す」という記事が掲載されました。
 
この記事をもとに、メディアなどを通して評論家やコメンテーターが喧々囂々(けんけんごうごう)意見をしている姿をご覧になった方も多いでしょう。
 
今年6月3日に金融庁が出した報告書の中で、筆者が特に気になった点は別のところにあります。それは、報告書の中で「個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在が重要である。」と記載されているところです。
 
ここでふと疑問が浮かんできました。「そもそも、「老後のお金」のことを誰に相談したらいいの?」という疑問です。みなさんは、「老後のお金」、誰に相談しますか?
 
廣重啓二郎

執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)

佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。

現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。

本当に「老後のお金」を相談できるアドバイザーは少ない

「老後のお金」に限らず、お金の問題はできれば自分で解決したいのが消費者の本音かもしれません。自分の収入や貯蓄額を人に話したくないことも理解できます。
 
しかし、今回のように、「老後資金は、2000万円必要です」。このように具体的な数字を出されたら、消費者は戸惑ってしまうのではないでしょうか。「老後のお金」のことを相談しようと思った場合、ファイナンシャルプランナー(FP)が選択肢の一つに挙げられます。
 
しかし、日本FP協会(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)の「AFP・CFP認定者 業種別属性・年代別属性データ」によると、FPの有資格者の半数以上が証券会社・銀行・保険会社の金融機関に勤務する者です。FP事務所などコンサルティングを生業にしているFPは7%程度です。
 
また、FP事務所と謳っていても、収益の柱を保険などの商品販売に頼っているケースもあります。そのようなFP事務所に相談する際は、消費者はコンサルティング(アドバイス)がしっかり受けられるかを判断しなければなりません。
 
なぜ、コンサルティング(アドバイス)中心のFPは、圧倒的に少ないのでしょうか?
 

相談にはお金を出さない?

某大手旅行代理店の一部の店舗の窓口で、相談が有料化されることが話題となりました。有料化には批判があることも理解できます。銀行や保険会社(代理店)など金融機関では、相談が無料というところも存在します。
 
しかし、無料相談をうける従業員にも同じように人件費はかかります。相談が無料の代わりに、商品の販売手数料などで利益を得ようと、より会社の利益につながる商品をすすめてくることもありえます。
 
そう考えると、有料の相談においては相談の時点で利益が発生しますので、より相談者の希望に沿った提案をしてくれる可能性が高まるのではないでしょうか。しかし、相談にお金を払ってもいいと思う消費者はまだまだ少ない印象です。
 
ビジネスとして成り立たなければ、そこで活動するFPが少ないことも納得できます。コンサルティング(アドバイス)中心のFPがわずかしかいない背景には、消費者の意識の問題もあるかもしれません。
 

「充実したアドバイザー」の見極め方

相談する相手を選ぶ際、何を基準にすればいいのでしょうか。今回は、逆に選んではいけないアドバイザーを考えてみました。
 
選んではいけないアドバイザー
 
・自分の立場を開示していない
FPが相談を受ける場合、自分の立場を明らかにする必要があります。商品の販売をするのかしないのか。商品の販売をする場合は、金融機関からどの程度のバックマージンをもらっているかを開示する必要があると思います。
 
・コンサルティングより商品説明する時間が長い
商品の販売を目的としている金融機関などは、必然的に商品の説明にかける時間が長くなります。当然、消費者は、商品を購入することが目的ではなく、その商品を購入することで、その後の人生がどのように変化して行くかを知りたいはずです。
 
・平均値をもとにアドバイスをする
金融機関などのパンフレットには、わかりやすく平均値が出されているケースがあります。 平均値は消費者にとってもわかりやすく、売り手にとっては好都合なのかもしれません。しかし、平均値だけで考えてしまうと、今後の自身の生活に必要な資金について、判断を誤ってしまうかもしれません。
 
・元本割れや手数料など相談者のデメリットを十分開示していない
金融商品には、元本割れや手数料負担など消費者のデメリットになるケースがあります。このような消費者のデメリットになる点をしっかりと説明を受けて、判断することが必要です。
 
安心して相談できるアドバイザーを見つけることは大切です。しかし、自ら金融リテラシーを身につけることが、より一層大切なことは付け加えておきたいと思います。
 
出典:朝日新聞デジタル「人生100年、蓄えは万全? 「資産寿命」、国が世代別に指針 細る年金、自助促す」
   金融庁『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」令和元年6月3日 P33』
   日本FP協会(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)「データで見るFP資格」
 
※2019/07/01 内容を一部修正させていただきました。
 
執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)
ファイナンシャルプランナー、DCアドバイザー、相続支援士
 

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