60代、長年連れ添った妻から「離婚したい」と言われました。もうすぐもらえる退職金も、財産分与されてしまいますか?

配信日: 2026.04.01
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60代、長年連れ添った妻から「離婚したい」と言われました。もうすぐもらえる退職金も、財産分与されてしまいますか?
60代で離婚を考える場合、気になるのが「退職金も財産分与の対象になるのか」という点です。
 
長年働いてきた退職金は自分だけのものと思いがちですが、婚姻期間中に形成された財産は夫婦共有財産として扱われる可能性があります。本記事で、離婚時の財産分与の考え方や退職金の扱いについて確認しましょう。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

離婚時の「財産分与」とは何か

離婚の際には、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を分ける「財産分与」という制度があります。これは民法 第768条に規定されており、離婚した場合、当事者の一方は他方に対して財産の分与を請求できます。
 
財産分与の対象になるのは、婚姻期間中に形成された共有財産です。例えば、預貯金、住宅、不動産、株式などが含まれます。一方、結婚前から持っていた財産や相続・贈与で取得した財産は、原則として対象外とされます。
 
また、近年の実務では、夫婦が協力して形成した財産については「2分の1ずつ分ける」という考え方が一般的です。これは、裁判例の積み重ねにより、広く採用されている考え方です。
 

退職金は財産分与の対象になるのか

退職金については、必ずしも自動的に財産分与の対象になるわけではありません。ただし、一定の条件を満たす場合には、財産分与の対象とされることがあります。
 
裁判実務では、退職金は「将来受け取る予定であっても、支給の蓋然(がいぜん)性が高い場合」には共有財産として扱われることがあります。
 
特に定年が近い場合や、退職金制度が明確である場合などは、婚姻期間に対応する部分が分与対象と判断されることがあります。ただし退職金のすべてではなく、婚姻期間に対応する部分が対象になる可能性があるという理解が一般的です。
 

分与の対象になるのは「婚姻期間に対応する部分」

退職金が財産分与の対象になる場合でも、全額が分けられるとはかぎりません。通常は、勤続期間のうち婚姻期間に対応する部分が対象です。
 
例えば、勤続40年のうち婚姻期間が30年であれば、退職金の30/40が共有財産として評価されるという考え方が一般的です。そのうえで、夫婦それぞれの貢献度を考慮して分与割合が決まります。
 
また、まだ退職していない場合は、以下などの方法がとられることもあります。


・将来受け取る退職金を見込んで金額を算定する
・他の財産で調整する

実際の金額の算定は、退職金規程や勤務年数などの事情によって大きく変わるため、個別判断になるケースが多いのが実情です。
 

年金分割も重要なポイント

60代での離婚では、退職金と並んで重要なのが「年金分割」です。厚生年金に加入している場合、婚姻期間中の保険料納付記録を夫婦で分割できる制度があります。分割割合は、最大で2分の1です。
 
年金分割は将来の年金額に直接影響するため、退職金だけでなく老後資金全体の設計を考えることが重要です。
 

まとめ:退職金だけでなく老後資金全体をとらえることが重要

妻から離婚を求められた場合、「退職金が分与されるのか」は大きな関心事ですが、制度上は条件によって分与対象になる可能性があります。
 
ただし対象となるのは、一般的に婚姻期間に対応する部分です。さらに、60代の離婚では退職金だけでなく、年金分割、住居、生活費など、老後の資金計画全体を見直す必要があります。
 
退職金は老後生活を支える重要な資金ですが、同時に長年の婚姻生活の中で形成された財産と評価されることもあります。
 
感情的な判断に流されるのではなく、制度や数字を確認しながら冷静に整理することが大切です。離婚は人生の大きな転機ですが、財産分与や年金分割の仕組みを正しく理解して、将来の家計運営を計画していきましょう。
 

出典

デジタル庁 e-Gov 法令検索 民法768条 財産分与
法務省 財産分与
日本年金機構 離婚時の年金分割
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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