再雇用になった夫が「年収が半分になっても退職するよりマシ」と話しています。通勤や食費もかかるので、思ったより手元に残らない気も。老後は働き続けたほうが本当に得なのでしょうか?

配信日: 2026.05.23
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再雇用になった夫が「年収が半分になっても退職するよりマシ」と話しています。通勤や食費もかかるので、思ったより手元に残らない気も。老後は働き続けたほうが本当に得なのでしょうか?
「働き続けたほうが必ず得」とは限りません。大切なのは「額面年収」ではなく「実際に増える手取り」(=手取り給与-働くための追加支出)と「将来の年金額」で判断することです。
 
ここを見ないと、実は「思ったより残らない」ことがよくあります。ここでは、再雇用で年収300万円の場合、実際に「働いたほうが本当に得か」という視点で分かりやすく解説します。
水上克朗

ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー

再雇用の現状

ジョブズリサーチセンターが実施した2023年の調査によると、継続雇用後の給料割合は以下の通りとなっています。
 

・25%未満:5.0%
・25~50%未満:21.4%
・50~75%未満:43.3%
・75~100%未満:16.3%
・100%以上:14.1%

 
再雇用も含む継続雇用の場合は、大半のケースで定年前よりも収入が下がり、定年前の給与に対して25%~75%未満の方が64.7%を占めています。よって再雇用で、年収が50%前後まで下がるケースが多いと言えます。
 

再雇用年収300万円の場合の手取りはいくら?

年収300万円ですと、月額では、300万円÷12ヵ月=月25万円です。
 
まず、60~64歳で厚生年金・健康保険加入の会社員を前提にすると、概算の手取りは、所得税、住民税、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料を差し引いて、扶養家族や自治体によって多少変わりますが、月約20万~21万円前後が一つの目安となります。年間では、約240万円~252万円程度が一般的です。
 
次に、通勤費・昼食代を差し引いた実質手取りを見てみましょう。
 
例えば毎月、通勤費自己負担1万円(通勤費は会社負担(非課税支給)が一般的ですが、勤務地や雇用条件によっては自己負担が発生するケースもあります。
 
ここでは、自己負担1万円として試算しています)、昼食代2万円、仕事関係雑費5000円、合計3万5000円かかるとすると、月の実質手取り=21万円-3万5000円=17万5000円です。年間では、約210万円が家計に残る計算です。
 

働き続けるメリットは?

働き続けるメリットは、何でしょうか?
 
まず、厚生年金が増えることです。
 
目安として、1年間(12ヶ月)働いたことによる、厚生年金の増加分は年収300万(月25万円)で年約1万6000円(=25万円×5.481/1000×12ヶ月)です。
※厚生年金の計算式:平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
 
さらに、60歳~65歳まで5年間(60ヶ月)働いたことによる、増加分は年約8万2000円(=25万円×5.481/1000×60ヶ月)となります。
 
65歳から10年受け取れば累計約82万円、20年受け取れば累計約164万円増となります。
 
なお、年金との関係ですが、2026年4月から、在職老齢年金の基準額は月65万円に引き上げられています。
 
年収300万円(月25万円)であれば、仮に、年金繰り上げや特別支給の老齢厚生年金の年金月額が15万円であっても、25万円+15万円=40万円ですので、この水準であれば、一般的には年金は減額されない範囲に収まります。これはかなり大きなメリットです。給与月25万円、老齢厚生年金月15万円なら、減額されずに、月40万円の収入になります。
 
一方、仮に退職して生活する場合、生活費が25万円とすると、収入が何もない場合は、毎月25万円の不足となり、年間300万円を貯蓄から取り崩す必要があります。
 
次に、お金以外の価値について、見てみましょう。生活リズム、社会とのつながり、健康・認知機能維持という面で、定年後就労は、大きなメリットがあります。これは非常に大きいです。老後は「お金+健康+生きがい」の3つのバランスで考えることが重要です。
 

まとめ

年収300万円の再雇用は、金銭面ではかなり有利です。特にご主人が、健康面に問題はない・通勤が過度に負担でない・ストレスが強すぎないのであれば、65歳までは働いたほうが家計面ではかなり得と言えます。加えて、厚生年金加入により将来の年金も少し増えます。
 

出典

ジョブズリサーチセンター「シニア層の就業実態・意識調査2023-個人編60~74歳」P25
日本年金機構「報酬比例部分」
日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
 
執筆者 : 水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー

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