父が「年金を繰り下げて、その間は失業手当を受けたほうが得かも」と話しています。受給額が増えるなら魅力的ですが、失業手当との関係まで考えると本当に有利なのでしょうか?

配信日: 2026.05.25
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父が「年金を繰り下げて、その間は失業手当を受けたほうが得かも」と話しています。受給額が増えるなら魅力的ですが、失業手当との関係まで考えると本当に有利なのでしょうか?
老齢年金は、受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選ぶと、将来受け取れる年金額が増える制度です。そのため、「働けなくなったら年金を後回しにして、その間は失業手当を受けたほうが得では? 」と考える人も少なくありません。
 
確かに、年金を繰り下げれば受給額は増えます。しかし、失業手当との関係や、実際にどれくらい得になるのかを理解しないまま判断すると、思ったほどメリットを感じられない場合もあります。
 
この記事では、年金の繰下げ受給の仕組みや、失業手当との関係、判断する際の注意点についてわかりやすく解説します。
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年金の「繰下げ受給」とは?

老齢基礎年金や老齢厚生年金は、原則65歳から受け取れます。ただし、希望すれば受給開始を66歳以降に遅らせることができ、これを「繰下げ受給」と呼びます。
 
繰下げ受給をすると、1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%増えます。例えば、65歳から5年間繰り下げて70歳から受け取る場合、年金額は42%増加します。
 
仮に65歳から年間180万円の年金を受け取れる人なら、70歳まで繰り下げることで、年間およそ255万円になります。長生きするほど受給総額が増えやすくなるため、「老後資金を手厚くしたい」と考える人には魅力的な制度です。
 
ただし、繰り下げ期間中は年金を受け取れません。その間の生活費をどう確保するかが重要になります。そこで候補として挙がるのが失業手当です。
 

失業手当を受けながら年金を繰り下げることは可能?

65歳未満で退職した場合、一定の条件を満たせば、雇用保険の失業手当(基本手当)を受け取れます。失業手当は、再就職までの生活を支える制度です。
 
一方で、65歳以降に退職した場合は、通常の失業手当ではなく「高年齢求職者給付金」の対象になります。こちらは一時金として支給され、65歳未満の失業手当とは仕組みが異なります。
 
ここで注意したいのが、65歳前後では年金との調整ルールが変わる点です。
 
65歳未満の場合、特別支給の老齢厚生年金を受け取りながら失業手当を受給すると、年金の一部または全部が停止されることがあります。つまり、両方を満額でもらえるわけではありません。
 
しかし、65歳以降の本来の老齢年金については、失業手当との同時受給による停止は基本的にありません。そのため、「年金を繰り下げながら失業給付を受ける」という考え方自体は可能です。
 
ただし、失業給付の支給期間には限りがあるため、それだけで長期間生活費をまかなえるケースは多くありません。受給期間にも限りがあり、一般的には90日から150日程度です。会社都合退職など特別な事情があれば長くなる場合もありますが、それでも永続的な収入にはなりません。
 

本当に「得」になるかは寿命や生活状況で変わる

繰下げ受給が有利かどうかは、「何歳まで生きるか」で大きく変わります。
 
例えば、65歳から年180万円を受け取る人が70歳まで繰り下げた場合、70歳からは約255万円受け取れます。しかし、65歳から69歳までの5年間は年金を受け取れません。この間に受け取らなかった総額は約900万円です。
 
増額後の年金でこの差額を回収するには、おおむね82歳を超えるあたりまで長生きする必要があるとされています。長生きするほど有利になりやすい制度ですが、逆に早く亡くなった場合は、総受給額が少なくなる可能性があります。
 
また、繰り下げ期間中に病気や介護で大きな支出が発生するケースもあります。年金を増やすことだけに注目すると、手元資金が不足するおそれもあるため注意が必要です。
 
さらに、税金や社会保険料への影響もあります。年金額が増えると、所得税や住民税、健康保険料などが上がる場合があります。単純に「42%増えるからその分得」とは言い切れません。
 

繰下げ受給は「生活資金」と「健康状態」を踏まえて判断しよう

年金の繰下げ受給は、老後の収入を増やせる魅力的な制度です。特に、十分な貯蓄があり、長く働ける見込みがある人には向いている場合があります。
 
一方で、「失業手当を受けながら待てば得」と単純に考えるのは危険です。失業手当の支給期間は限られており、生活費を長期間まかなえるとは限りません。また、繰り下げによるメリットは、長生きすることで初めて大きくなります。
 
そのため、現在の貯蓄額や毎月の生活費、健康状態、今後の働き方などを総合的に考えることが大切です。家計に余裕がない状態で無理に繰り下げると、かえって生活が苦しくなる可能性もあります。
 
迷った場合は、日本年金機構のねんきんネットなどで将来の受給額を試算したり、年金事務所で相談したりすると安心です。自分に合った受給タイミングを選ぶことで、老後の生活設計をより安定させやすくなるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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