定年後の“再雇用”で「月収60万→35万円」に下がりショック! その分「社会保険料が安くなる」なら、残る手取りは“意外と多い”ですか? 手取り額・受けられる給付を確認

配信日: 2026.05.24
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定年後の“再雇用”で「月収60万→35万円」に下がりショック! その分「社会保険料が安くなる」なら、残る手取りは“意外と多い”ですか? 手取り額・受けられる給付を確認
定年再雇用で給与が大幅に下がる人は少なくありません。再雇用後の給与額を見て「もう定年だし、働き方も変わるから仕方ないか」と納得しながらも、「でも、こんな給料で暮らせるんだろうか?」と不安になる人もいるのではないでしょうか?
 
本記事では、再雇用で給与が下がった場合を想定し、社会保険料の目安や定年後の給付などについて説明します。
橋本典子

特定社会保険労務士・FP1級技能士

再雇用後の給与は?

定年後も、再雇用契約により同じ会社で働き続ける人は少なくありません。再雇用後の処遇は、会社により、また従業員によりさまざまです。
 

給与は下がることが多い

一般的に、再雇用後は給与が下がる人が多いものです。低下率はさまざまで、従前の80%くらいの人もいれば、50%くらいになるケースもあります。
 
しかし、ただ給与だけが下がるわけではなく、職務内容、労働日数や労働時間なども、同時に見直されるケースが多いようです。
 

給与の低下により社会保険料も下がる

給与が一定以上下がれば、社会保険料も下がります。通常は、給与が下がっても社会保険料はすぐには下がりません。しかし、定年再雇用の場合には「同日得喪」という制度があります。この制度が適用されれば、再雇用後すぐに社会保険料が軽減されます。
 
なお、再雇用後に労働時間や労働日数が大きく減った場合は、会社の健康保険や厚生年金保険等の対象から外れることもあります。その場合は、給与から社会保険料は控除されなくなります。
 

高年齢雇用継続給付が受給できる人も

再雇用で一定以上賃金が下がり、要件を満たした人は、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給できます。
 
この給付は、雇用保険被保険者期間が5年以上ある人で、かつ再雇用後の各月の賃金が従前の75%未満に低下した人が受けられるものです。給付額は月ごとに決定・計算され、最大で「支払われた賃金×10%(2025年4月以降の場合)」になります。
 

再雇用初年度は住民税が高め

再雇用で給与は下がっても、社会保険料が下がり、給付金もあるため「まあいいかな」と思う人もいるかもしれません。ただし、住民税については、少し事情が違います。
 
なぜなら住民税は、前年の所得をもとに課税されるからです。つまり、定年になる前の「高かった給与や賞与」をもとに計算されるため、再雇用初年度は少々負担が大きいことがあります。
 

再雇用後の手取り額はどのくらい?

今回の「60万円から35万円になった」人について考えてみましょう。
 

社会保険料はいくら?

月給60万円(標準報酬月額59万円)から月給35万円(同36万円)になった場合、社会保険料の負担はどのくらい変わるでしょうか?
 
変更前後の健康保険料、介護保険料、子ども・子育て支援金、厚生年金保険料、雇用保険料の合算額は下記のとおりです(協会けんぽ所属の東京都の会社で、2026年5月に再雇用された場合)。
 

・再雇用前…9万1500円
・再雇用後…5万5750円

 
差額は「3万5750円」ですから、社会保険料の負担はかなり軽くなるといえるでしょう。
 

所得税はいくら?

非課税通勤手当なし、扶養なしで計算した所得税は、以下となります。
 

・再雇用前…2万9170円
・再雇用後…7720円

 

高年齢雇用継続給付はいくら?

月給60万円の人が再雇用され、再雇用後のある月の給与(総支給額)が35万円とします。この場合、賃金低下率は約58%で要件を満たすため、高年齢雇用継続給付が受給できます。
 
賃金低下率が64%未満であるため、高年齢雇用継続給付は給与の10%で、下記の額となります。
 
・総支給額35万円の場合、1ヶ月3万5000円
 

手取り額はどのくらい低下する?

上記の条件で、社会保険料と雇用保険料、所得税を差し引き、高年齢雇用継続給付を加算した最終的な手取り額は、次のとおりです。
※なお、ここでは、住民税は考慮していません。
 

・再雇用前…47万9330円
・再雇用後…32万1530円

 
再雇用により、給与が60万円から35万円になった場合、住民税を除いた手取りは約67%となりました。
 
なお、前記のとおり、再雇用初年度は住民税負担が大きいため、実際の手取り額は、さらに低くなります。それに伴い、再雇用後の賃金低下率も、上記より大きくなると考えられます。
 

まとめ

定年再雇用で給与が下がると、社会保険料や雇用保険料、所得税も下がります。また要件を満たせば、高年齢雇用継続給付を受給できます。定年再雇用で労働条件が変わるときは不安があると思いますが、再雇用後について収入と支出を確認しておくと安心です。
 

出典

厚生労働省 令和7年4月1日より高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
全国健康保険協会 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
 
執筆者 : 橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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