両親は「老後が不安」と言って、年金も貯蓄もほとんど使いません。70代で貯蓄「2000万円」あっても安心できないものなの? 高齢世帯の生活費を確認
本記事では、高齢世帯の生活費や年金収支の実態をもとに、「70代で貯蓄2000万円あっても不安な理由」を解説します。
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高齢夫婦世帯の平均消費支出は月約26万4000円
「2000万円もの貯蓄があるのに、なぜ両親はあんなに慎ましく暮らしているのだろう」と不思議に思う方もいるかもしれません。しかし、最新の統計データを見ると、その背景には高齢世帯が抱く切実な「生活コストへの危機感」があることが分かります。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月平均の消費支出は、約26万4000円です。近年は物価高が続いており、収入の少ない高齢世帯にとって、日々の食料品や光熱費の値上がりは、現役世代以上に家計を圧迫する要因となっています。
このような状況下では、たとえ2000万円の蓄えがあったとしても、将来の物価がさらに上がることを見越して、財布の紐を固く締めるのは合理的な判断といえるかもしれません。
65歳以上無職世帯は毎月4万円以上の赤字? 老後の不足分を計算
次に、公的年金などの収入と実際の支出のバランスを確認してみましょう。同じく家計調査報告にある「65歳以上の無職世帯の家計収支」を見ると、高齢世帯の経済的実態が浮き彫りになります。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、「可処分所得(手取り)」は、平均して月額約22万2000円です。これに対し、前述した通り、消費支出は約26万4000円となっているため、差し引きで毎月およそ4万2000円の不足が発生している計算になります。
年間で換算すると、約50万円が貯蓄の取り崩しによって賄われていることになります。もし70歳から90歳までの20年間、このペースで取り崩しが続けば、それだけで1000万円が必要です。これに加えて、住宅のリフォーム費用や予期せぬ医療費、介護費用などを考慮すると、2000万円という数字は決して余裕があるとはいえません。
8割が老後に不安を感じている! 高まる資産形成への意識
お金を「使う」ことへの不安からか、近年はお金を「守る・増やす」ことへの意識も高まっています。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、「リスクを伴うが収益性が高い」とされる金融商品を「保有しようと思っている」割合は年々増加しています。背景には、将来への不安から「少しでもお金を増やしておきたい」と考える人が増えていることがあるのでしょう。
「老後の生活への心配」に関する調査では、実に8割近くの人が不安を感じています。理由としては、「年金が十分ではない」「物価上昇への不安」「現在の生活にゆとりがない」などが挙げられています。
まとめ
70代で2000万円の貯蓄があっても、老後への不安を感じる人は少なくありません。実際には、年金だけでは毎月の生活費を賄いきれず、貯蓄を取り崩して生活している高齢世帯も多く存在します。さらに、物価上昇や医療・介護費用への備えを考えると、「できるだけお金を使わない」という行動は自然な防衛意識ともいえるでしょう。
一方で、不安から過度に節約しすぎると、生活の満足度を下げてしまう可能性もあります。老後資金は「残すこと」だけでなく、「安心して使うこと」も大切です。家計状況や将来の支出を整理しながら、自分たちに合ったお金との向き合い方を考えていく必要があります。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(二人以上世帯調査)(6、10ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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