高齢の父が「通帳より現金のほうが安心」と言って、年金を少しずつタンス預金しています。もし認知症になったら、どのようなリスクがあるのでしょうか?
ただし、年金を少しずつタンス預金していると、認知症になったときに思わぬ問題が起こることがあります。そこで本記事では、タンス預金のリスクと、家族が今からできる対策を解説します。
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目次
タンス預金は本人には安心でも、認知症になると管理しにくくなる
タンス預金とは、現金を銀行口座に預けずに自宅で保管することです。封筒や引き出し、金庫などにしまっておくケースが多く、本人にとっては「目に見える安心感」があります。
ただし、認知症になると、その管理が難しくなる場合があります。例えば、どこに現金をしまったか忘れたり、何度も別の場所へ移したりすることがあります。
本人は「確かにここに置いた」と思っていても、実際には別の場所に移しているかもしれません。その結果、「お金がなくなった」「誰かに取られた」と感じ、家族を疑ってしまうこともあります。家族としては悪意がなくても、疑われることで関係がぎくしゃくしてしまうでしょう。
また、自宅で保管している現金は、火災や盗難、詐欺の被害に遭いやすい財産でもあります。銀行口座であれば入出金の記録が残りますが、現金の場合は、なくなった後に「いつ、どこで、何に使ったのか」を確認しにくくなります。本人が安心のために置いていた資金が、将来は不安やトラブルの原因になることもあるのです。
現金が見つからない・使途が分からないと家族間トラブルにつながる
タンス預金で特に注意したいのは、家族が金額や保管場所を把握しにくい点です。本人が元気なうちは問題なくても、認知症が進むと「どこに、いくらあるのか」を説明できなくなることがあります。
また、家族が後から現金を見つけた場合も、扱いに迷いやすくなります。介護費や医療費に使ってよいのか、本人の口座に入れるべきなのか、一時的に家族が預かってよいのか、判断が難しい場面が出てきます。
ここで大切なのは、父の現金はあくまで父の財産だということです。管理しやすいからといって、子どもの口座に入れると、他の家族から「勝手に使ったのではないか」と疑われかねません。たとえ介護費に充てた場合でも、領収書やメモが残っていなければ、後から説明するのが難しくなるでしょう。
また、タンス預金は相続財産にも含まれます。亡くなった後に現金が見つかれば、相続人同士で分け方を話し合う必要があります。相続税の申告が必要な家庭では、現金も含めて申告しなければなりません。税務調査で発覚すると、重加算税や延滞税といったペナルティーを受ける可能性があります 。
そのため、現金を見つけたときは一人で判断せず、金額や日付、保管場所を記録し、関係する家族に共有することが大切です。もし、使う場合も領収書を残しておけば、後から説明しやすくなるでしょう。
認知症になる前にできる現金管理の見直し方
父がまだ自分で判断できる状態なら、早めに管理方法を見直すことが重要です。ただし、「タンス預金は危ないからやめて」と強く伝えると、本人は否定されたように感じるかもしれません。
そこで、まずは「普段使う分だけ手元に置いて、残りは口座で管理しよう」と伝えるとよいでしょう。例えば、日常の買い物や急な支払いに使う数万円だけを自宅で保管し、それ以外の現金は本人名義の銀行口座に入れる方法があります。
本人名義の口座で管理すれば、通帳に入出金の記録が残ります。入出金の流れが分かるため、家族も説明しやすくなります。
あわせて、年金の入金口座、公共料金の引き落とし、保険料、医療費などを一覧にしておくと、入院や介護が必要になったときにも慌てにくくなります。また、銀行口座やキャッシュカードの保管場所、暗証番号も確認しておくとよいでしょう。
将来の管理が心配な場合は、成年後見制度の利用も選択肢です。成年後見制度は、認知症などで判断が難しくなった人の財産管理や契約を支える制度です。ただし、手続きや費用がかかるため、必要になってから調べるより、早めに地域包括支援センターや専門家に相談しておくと安心です。
父の安心感を尊重しながら、家族で現金の管理方法を整えよう
タンス預金は、高齢の父にとって安心感のある保管方法です。ただし、認知症になると、父が現金の保管場所を忘れたり、別の場所へ移したことを思い出せなくなったりするリスクがあります。その結果、家族を疑ってしまい、関係がぎくしゃくすることにもなりかねません。
対応としては、父の考えを否定せず、生活に必要な少額だけを手元に残し、それ以外の現金は本人名義の口座で管理することが大切です。元気なうちに家族で話し合い、将来困らない形に整えておきましょう。
出典
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
厚生労働省 成年後見はやわかり 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
