勤続40年で「退職金2000万円」受け取った直後、妻から「離婚したい」と告げられた! 働いて得た“貯金・退職金”は「妻と折半」することに!? 財産分与の対象になるものを確認
もし長年苦楽を共にしてきた夫婦が夫の定年後に熟年離婚の道を選んだ場合、この退職金は「夫婦の共有財産」となるのでしょうか。本記事では、離婚時の財産分与の基本と、退職金の扱いについて、わかりやすく解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
離婚時の財産はどのように分けられる?
離婚の際には、「財産分与」という制度があります。財産分与とは、結婚生活の中で夫婦が協力して築いた財産を分けるという仕組みです。
離婚の原因や夫婦それぞれの収入の差にかかわらず、どちらも配偶者に財産分与を求める権利があります。婚姻関係中に築いた財産は、たとえそれが夫の就労によって得られたものであっても、夫婦で協力して増やしたお金という扱いになるため、原則として2分の1ずつに分けるという考え方が実務上の目安とされています。
また財産分与の対象になるのは、預貯金、自宅や車などの資産、保険の解約返戻金などです。ただし、結婚前から持っていた財産や、相続でもらったお金などは「特有財産」と呼ばれ、分与の対象外となります。
つまり、すべてが半分になるわけではなく、「結婚期間中に増えた分」が対象になると考えると理解しやすいでしょう。なお、厚生年金については、財産分与とは別に年金分割の制度があります。
退職金2000万円は財産分与の対象になる?
退職金も、基本的には財産分与の対象になります。ただし、全額が対象になるとは限りません。ポイントは、「どの期間に対応する退職金か」です。退職金は、長年の勤務に対する報酬の積み重ねですが、財産分与に関わるのは、「結婚していた期間」、つまり「夫婦の協力で形成された財産」に当たる部分です。
たとえば、勤続40年のうち、結婚期間が30年で、退職金2000万円の場合、このうちの30年分が対象となるので、
2000万円×(30年÷40年)=1500万円
この1500万円が財産分与の対象となり、その半分である約750万円を分ける、ということになるでしょう。つまり「2000万円すべてを折半」というわけではなく、結婚期間に応じて計算されることになるのです。
ただし実際の分与割合は、夫婦の収入状況や貢献度などによって変わる可能性もあります。
トラブルを避けるための注意点
離婚協議はどうしても感情的になってしまいがちです。特に退職金をめぐる財産分与は、金額が大きいので離婚時にトラブルになりやすくなるでしょう。そうならないためにも、話し合いの際には、冷静に「どこまでが対象か」を整理することが大切です。
また、税金についても理解しておきましょう。退職金には「退職所得」として一定の控除はあるものの所得税・住民税がかかるので、実際の手取りは額面よりも少なくなるのが一般的です。分与を考える際は「手取りベース」も考慮に入れるようにしましょう。
さらに、話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所での調停を利用することもできます。どうしても冷静な話し合いができない時や、どちらも自分の主張を譲らない場合は、第三者を交えることで、穏便な解決につながる可能性もあります。
まとめ
熟年離婚によって夫婦がお互い新たな人生のスタートを始めるにあたり、財産分与は今後の生活の大切な基盤となるため、どちらも自分の主張を通したくなるでしょう。
退職金も離婚時の財産分与の対象になる可能性がありますが、すべてが折半されるわけではなく、結婚期間に該当する部分のみが対象となることが一般的です。また、金額や分与割合は個別事情によって変わります。「どこまでが共有財産か」を正しく理解し、冷静に話し合うようにしましょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
法務省 財産分与
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
