勤続40年の“ベテラン会社員”が、定年後「再雇用で月収20万円」に…新卒は「初任給25万円」らしく“報われない”と感じますが、仕方ないことでしょうか? 不条理な「賃金逆転のカラクリ」
本記事では、再雇用後の賃金の実態や初任給の上昇状況を整理しながら、なぜこのような現象が起こるのか解説します。
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再雇用後、給料はどれくらい下がる?
まず、60歳以降の給与水準を見てみましょう。国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は55~59歳で約572万円と、全年齢の中でピークとなっています。しかし、その後は大きく下がり、60~64歳では約473万円、65~69歳では約370万円です。
また、リクルートの「シニア層の就業実態・意識調査2023」によると、同じ会社で再雇用された人のうち、「定年前と比べて給与が減らなかった」と回答した人は14.1%にとどまっています。「給与が半分未満になった」と答えた人は26.4%存在しています。
このように、多くの人は再雇用後に大幅に収入が減っているといえるでしょう。
新卒の初任給は上昇している
近年は、新卒の初任給が大きく上昇しています。一般財団法人労務行政研究所の東証プライム上場企業205社を対象にした「2026年度 新入社員の初任給調査」によると、大卒の初任給平均は26万5708円で、多くの企業が前年度よりも引き上げています。
企業によっては30万円程度の初任給を提示するケースもあり、「新卒のほうが再雇用社員よりも月給が高い」という状況は、数字上はそこまで珍しいものではなくなっています。例えば、再雇用後に月20万円となった場合、単純比較では新卒以下になることが多いでしょう。
なぜ賃金逆転が起きるの?
それでは、なぜこのような現象が起きるのでしょうか。まず大きいのが、再雇用後は役割や責任が変わるという点です。再雇用された場合、定年前と同じ仕事を続けるケースもありますが、管理職から外れたり、業務内容が限定されたりすることが少なくありません。
その結果、責任の重さに応じて賃金が見直されるケースが多々あります。また、近年は深刻な人手不足を背景に、新卒採用競争が激化しています。企業側としては、若手人材を確保するために、初任給を引き上げざるを得ない状況になっているのです。
つまり、「再雇用者の賃金が急に低くなった」というより、「新卒の待遇が急上昇している」という側面があります。
雇用維持を優先している?
さらに背景として、高年齢者雇用安定法の存在も考えられます。この制度では、企業は希望する65歳までの雇用を確保しなければなりません。そのため、多くの企業が再雇用制度を導入しています。
一方、企業側には人件費負担の問題があります。その結果、「雇用は維持するが、賃金は抑える」という形になっているケースもあるかもしれません。
つまり、再雇用制度は、働き続けられる安心がある一方で、賃金面では厳しくなる可能性があるということです。
どう考えるべき?
こうした状況を見ると、再雇用後に給料が新卒を下回り、「40年働いたのに報われない」と感じる人もいるかもしれません。ただ、現実としては、定年後の収入減は多くの人に起こりうるものです。そのため、定年前から準備しておくことが重要になります。
例えば、NISAなどを活用した資産形成、副収入の確保、定年後を見据えた支出の見直しなどは、老後の安心につながります。また、再雇用後は収入を最大化するのではなく、無理なく長く働くという価値観に切り替えるのもよいでしょう。
まとめ
再雇用後の月給が20万円なのに、新卒の初任給が25万円を超えるといった現象は、多くの企業で起こり得ます。背景には、再雇用後の役割変更や、人手不足による初任給の上昇、高年齢者雇用安定法による雇用維持など、さまざまな要因があります。
重要なのは、定年後の収入変化を前提に、早めに備えていくことです。早めの資産形成や支出管理も含めて考えることが、安心した老後につながるといえるでしょう。
出典
国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
株式会社リクルート ジョブズリサーチセンター シニア層の就業実態・意識調査2023―個人編60~74歳-
一般財団法人労務行政研究所 2026年度 新入社員の初任給調査
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など

