退職金「1000万円」の受け取り方で税金が大きく変わる!? 勤続30年なら「一括」で税金ゼロになるのに、「分割」を選ぶと年金と合算されて税負担が激増するって本当ですか? 損をしないためにはどうすべきでしょうか?
特に退職金が1000万円ある場合、勤続年数やほかの年金収入によって、手取り額に差が出ることがあります。そこで本記事では、一括受け取りと分割受け取りの税負担の違いを見ていきます。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
退職金1000万円は一括で受け取ると税金がいくらかかる?
退職金を一括で受け取る場合、原則として「退職所得」として税金を計算します。退職所得には、長く働いた人の負担を軽くするための仕組みがあり、その中心になるのが「退職所得控除」です。
退職所得控除は、勤続年数によって決まります。勤続20年以下の場合は「40万円×勤続年数(最低80万円)」、20年を超える場合は「800万円+70万円×20年を超えた年数」で計算します。さらに、控除後の金額を2分の1にしてから税金を計算するため、給与などに比べて税負担が軽くなりやすいのが特徴です。
例えば、勤続20年で退職金1000万円を一括で受け取る場合、退職所得控除は800万円です。1000万円から800万円を引くと200万円となり、その半分の100万円が課税対象になります。この場合、所得税と住民税を合わせた税負担は、約15万円が目安です。
一方、勤続30年の場合、退職所得控除は1500万円になります。退職金1000万円は控除額の範囲内に収まるため、課税対象は0円です。このように、同じ1000万円でも勤続年数によって税金が大きく変わる点は押さえておきましょう。
退職金1000万円を分割で受け取ると税負担はどう変わる?
退職金を分割で受け取る場合、年金形式として扱われることがあります。この場合、一括受け取りのような退職所得ではなく、「公的年金等に係る雑所得」として税金を計算するのが一般的です。
分割受け取りで使えるのが、公的年金等控除です。65歳以上の場合、公的年金等控除は110万円とされています。例えば1000万円を10年に分けて、毎年100万円ずつ受け取るケースを考えてみましょう。ほかの年金収入が少なければ、受け取る金額が控除の範囲内に収まり、税金がほとんどかからない可能性があります。
ただし、分割受け取りでは、老齢年金などと合算して税金を計算する点に注意が必要です。すでに厚生年金や国民年金を受け取っている人が、退職金の分割分を受け取ると、その年の年金収入が増えます。収入が増えれば、所得税や住民税の負担が重くなることも考えられます。
例えば、老齢年金が年間250万円あり、退職金の分割分として年間100万円を受け取ると、年金収入は合計350万円になります。
この場合、退職金の分割分だけで判断せず、合計の350万円の年間収入をもとに負担を確認しておくことが大切です。受け取る金額によっては、翌年の住民税や保険料にも影響するため、手取り額を想定してから選ぶと安心できるでしょう。
一括と分割はどちらが得? 判断するときの注意点
税金だけで見ると、退職金1000万円は一括受け取りが有利になりやすいです。特に勤続年数が長い人は、退職所得控除が大きくなるため、税金がかからない、または少額で済む可能性があります。
一方、勤続年数が短い人は、一括受け取りでも課税対象が大きくなる場合があります。例えば、勤続15年の場合の退職所得控除は600万円で、退職金1000万円から600万円を引き、その半分の200万円が課税対象です。この場合、所得税と住民税の合計は、他の所得や控除の有無によって変わりますが、概算では30万円前後が目安となります。
なお、税負担だけでなく、受け取った後の管理のしやすさも判断材料になります。分割受け取りは、毎年一定額を受け取れるため、老後の生活費として管理しやすいことから、まとまったお金を一度に使いすぎる心配がある人には向いているでしょう。
ただし、老齢年金と合算されることで、所得税や住民税に加え、国民健康保険料や介護保険料が上がる可能性もある点に注意が必要です。
また、会社の制度によっては、分割受け取りに運用利息がつく場合があります。一方で、途中で受け取り方を変えられないケースもあるため、退職前に会社の退職金規程を確認しておきましょう。
退職金1000万円の受け取り方は老後の収入全体で考えよう
退職金1000万円は、一括で受け取ると退職所得控除を使えるため、税負担を抑えやすい傾向があります。勤続30年の場合は税金がかからない可能性があり、勤続20年でも税負担は約15万円が目安です。
一方、分割で受け取ると公的年金等控除を使えますが、老齢年金などと合算されるため、所得税や住民税、社会保険料が増える場合があります。
受け取り方を選ぶ際は、勤続年数や年金収入、生活費の使い方をまとめて考えることが大切です。まずは一括受け取りの税額を確認し、分割で受け取った場合の年間収入も見ておきましょう。
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 高齢者と税(年金と税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

