大企業勤務だった友人が、定年後の再雇用を選ばず退職しました。理由は「安すぎるから」ということですが、大企業でも再雇用後はそれほど下がるものなのでしょうか?
特に60歳以降は、役職定年や定年再雇用により、給与体系が現役時代と別になる会社が多いです。大企業でも例外ではありません。再雇用を選ぶかどうかは、給与額だけでなく、年金、退職金、働き方、健康状態を合わせて判断する必要があります。
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再雇用後は現役時代より賃金が下がることが多い
定年後の再雇用では、正社員のまま給与が継続するとは限りません。多くの会社では、定年前の雇用契約をいったん終了し、嘱託社員や契約社員として新たに雇用契約を結びます。そのため、給与体系も現役時代とは別になることがあります。
再雇用後の賃金は、定年前の役職、職務、勤務日数、勤務時間、会社の制度によって変わります。フルタイムで働いても、定年前の5割から7割程度になるケースもあります。役職手当や管理職手当がなくなり、賞与が減る、または出ない会社もあります。
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」より「企業規模別」のデータを見ると、大企業の男性労働者の場合、55〜59歳の月給は53万3200円であるのに対し、65〜69歳では31万7900円(定年時の約59.6%)まで低下しています。
友人が「安すぎる」と感じたのは、現役時代の給与と比べた落差が大きかったからかもしれません。大企業勤務だった人ほど、定年前の給与や賞与が高かった可能性があります。その場合、再雇用後の給与が世間一般では低すぎなくても、本人にとっては大きな減収に感じます。
また、同じ職場に残る場合、周囲から見ると同じような仕事をしているのに給与だけ下がったように見えることがあります。この不満から、再雇用を選ばず退職する人もいます。
企業には65歳までの雇用確保措置があるが賃金維持とは別
高年齢者雇用安定法により、企業には65歳までの雇用確保措置が求められています。厚生労働省の「令和7年高年齢者雇用状況等報告」では、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%とされています。
ただし、これは「65歳まで働ける仕組みを用意する」という意味であり、定年前と同じ賃金を保証するものではありません。企業は、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年制の廃止などの方法で対応していますが、継続雇用制度では給与が下がることがあります。
大企業でも、再雇用後は嘱託契約となり、職務内容や責任範囲、勤務条件に応じた賃金になることが一般的です。管理職だった人が再雇用後に役職を外れ、後輩のサポートや専門業務に回る場合、給与が下がるのは制度上あり得ます。
一方で、仕事内容が定年前とほとんど同じなのに、賃金だけ極端に低い場合は、不合理な待遇差が問題になることがあります。実際の判断は、職務内容、責任、配置変更の範囲、会社の説明などによって変わります。納得できない場合は、労働相談窓口に相談する方法もあります。
再雇用を選ぶかは収入だけでなく生活全体で考える
再雇用後の給与が下がるとしても、すぐ退職するのが得とは限りません。60歳以降の働き方は、年金、退職金、貯蓄、健康、家族の状況を合わせて考える必要があります。
再雇用で月20万円でも、働き続ければ毎月の生活費を年金や貯蓄だけに頼らずに済みます。社会とのつながりを保てる、生活リズムが整う、健康維持につながるというメリットもあります。一方で、現役時代と同じような負担なのに給与が大きく下がるなら、精神的な納得感を得にくいでしょう。
退職を選ぶ場合は、生活費をどう賄うかが重要です。公的年金の受給開始までの空白期間、退職金の取り崩しペース、健康保険や住民税の負担を確認しましょう。特に退職直後は、前年所得をもとに住民税や国民健康保険料がかかるため、思ったより支出が多くなることがあります。
再雇用を断る前には、勤務日数を減らせるか、短時間勤務にできるか、別部署や専門職として働けるかを会社に確認する方法もあります。給与だけでなく、負担と収入のバランスを見て判断しましょう。
まとめ
大企業でも、定年後の再雇用で給与が大きく下がることはあります。再雇用後は嘱託社員や契約社員として新たな契約になることが多く、役職手当や賞与が減り、定年前の5割から7割程度になるケースもあります。
企業には65歳までの雇用確保措置が求められていますが、これは定年前と同じ賃金を保証するものではありません。そのため、友人が「安すぎる」と感じて再雇用を選ばなかったとしても、珍しい話ではありません。
ただし、再雇用を選ぶか退職するかは、給与だけで判断しないほうがよいでしょう。年金、退職金、貯蓄、健康保険料、住民税、生活費を確認し、働き続けるメリットと負担を比べることが大切です。大企業勤務だったかどうかより、再雇用後の条件が自分の生活に合うかで判断しましょう。
出典
厚生労働省 高年齢者の雇用
厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況
厚生労働省 令和7年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

