今度親が入院するのですが高額療養費はいくら戻りますか? 65歳以上だと現役世代より負担は軽くなるでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
今度親が入院するのですが高額療養費はいくら戻りますか? 65歳以上だと現役世代より負担は軽くなるでしょうか?
親の入院が決まると、治療の内容だけでなく、入院費がどのくらいかかるのかも気になるところです。
 
特に医療費が高額になりそうな場合は、「高額療養費でどのくらい負担を抑えられるのか」「65歳以上なら負担は軽くなるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。
 
年齢や所得によって扱いが変わるため、事前に制度の仕組みを知っておくことが大切です。本記事では、親が入院する際に知っておきたい高額療養費の仕組みや、65歳以上の自己負担額の考え方について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高額療養費で戻る金額の考え方

高額療養費で戻る金額は、「窓口で支払った保険診療分の自己負担額」から「所得区分ごとの自己負担上限額」を差し引いて考えます。つまり、医療費そのものが全額戻る制度ではなく、自己負担が一定額を超えた場合に、その超えた分が支給される仕組みです。
 
例えば、保険適用の医療費が100万円かかり、窓口負担が3割で30万円だったとします。親が70歳未満で、年収が約370~770万円の区分に当てはまる場合、令和8年7月診療分までの自己負担上限は「8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%」で計算されます。
 
この例では上限が8万7430円となるため、30万円との差額である約21万2570円が高額療養費として払い戻される目安になります。
 
一方、令和8年8月診療分から令和9年7月診療分までは、同じ所得区分の自己負担上限が「8万5800円+(総医療費-28万6000円)×1%」に見直される予定です。この場合、医療費100万円では上限が9万2940円となり、30万円との差額である約20万7060円が高額療養費として払い戻される目安になります。
 
ただし、入院時の食事代、差額ベッド代、先進医療の技術料、病衣代、文書料などは高額療養費の対象外です。そのため、実際に戻る金額を考えるときは、請求額全体ではなく、保険診療分の自己負担額と自己負担上限をもとに確認しておきましょう。
 

65歳以上でも70歳未満なら負担が軽くなるとはかぎらない

65歳以上は医療費の負担が現役世代より軽くなる、と考える方もいるかもしれません。しかし、高額療養費では年齢だけで一律に負担が軽くなるわけではなく、65~69歳までの人は、原則として70歳未満の区分に当てはめて自己負担上限を計算します。
 
そのため、親が65~69歳の場合は、「65歳以上だから上限が低くなる」と考えず、まずは70歳未満の所得区分に当てはめて確認することが大切です。所得区分を確認するときは、親がどの医療保険に加入しているかも見ておきましょう。
 
会社員やその扶養家族の場合は標準報酬月額、自営業や退職後に国民健康保険へ加入している場合は世帯の所得などをもとに区分が判断されます。標準報酬月額とは、健康保険料などを計算するために使われる給与額の目安です。
 
また前述のとおり、令和8年8月診療分からは、高額療養費の自己負担上限が見直される予定です。入院期間が令和8年7~8月にまたがる場合は、月ごとに使われる上限額が変わる可能性があります。
 
親が65~69歳でこの時期に入院する場合は、加入している健康保険や病院の窓口で、7月分と8月分の扱いを確認しておきましょう。
 

70歳以上になると所得によって自己負担が軽くなる場合がある

親が70歳以上になると、高額療養費の区分は70歳未満とは別になります。一般所得者や住民税非課税の人は、70歳未満より自己負担上限が低くなる場合があります。一方で、収入が高く「現役並み所得者」に当てはまる場合は、一般所得者より上限額が高くなるため注意が必要です。
 
例えば、令和8年7月診療分までは、70歳以上で年収370万円未満の一般所得者の場合、外来のみの上限は個人ごとに1万8000円、外来と入院を合わせた世帯単位の上限は5万7600円です。住民税非課税の区分では、世帯単位の上限が2万4600円または1万5000円とされています。
 
また、令和8年8月~令和9年7月診療分までは、外来のみの上限が2万2000円、外来と入院を合わせた世帯単位の上限が6万1500円になる予定です。住民税非課税の区分では、世帯単位の上限が2万5700円、住民税非課税で所得が一定以下の区分では1万5700円になる予定です。
 
ただし、70歳以上でも現役並み所得者に当てはまる場合は、一般所得者より上限額が高くなります。そのため、親が70歳以上だからといって、必ず負担が軽くなるとはかぎりません。年齢だけで判断せず、所得区分と入院月をあわせて確認することが大切です。
 
なお、入院前にマイナ保険証を利用するか、限度額適用認定証を用意しておくと、窓口での支払いを自己負担上限までに抑えられる場合があります。先に高額な費用を立て替え、その後に払い戻しを待つ負担を減らせるため、入院が決まったら早めに確認しておきましょう。
 

親の入院前に年齢・所得区分・入院月を確認しておこう

高額療養費で戻る金額は、窓口で支払った保険診療分の自己負担額から、所得区分ごとの自己負担上限額を差し引いて考えます。65歳以上でも70歳未満の場合は、年齢だけで負担が軽くなるわけではなく、原則として70歳未満の区分で計算します。
 
一方、70歳以上になると別の区分になり、所得によって自己負担が軽くなる場合があります。ただし、令和8年8月診療分からは上限額の見直しが予定されているため、入院月によって扱いが変わる可能性があります。入院前に加入している健康保険や病院の窓口で確認し、支払いの見通しを立てておきましょう。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について ※令和8年7月診療分まで
厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて(イメージ) ※令和8年8月診療分から令和9年7月診療分まで
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE