父に“退職金2000万円”から「税金100万円近く引かれた」と聞き驚き!「退職金は非課税」のはずですが、私も勤務先で“1500万円”受け取る予定です。全額は受け取れないのでしょうか?

配信日:
この記事は約 3 分で読めます。
父に“退職金2000万円”から「税金100万円近く引かれた」と聞き驚き!「退職金は非課税」のはずですが、私も勤務先で“1500万円”受け取る予定です。全額は受け取れないのでしょうか?
退職金は長年働いたことへの功労金というイメージが強く、非課税だと思っている人もいるでしょう。しかし、中には「退職金から税金が引かれていた」と驚く人もいます。
 
将来1500万円の退職金を受け取る予定がある場合、全額を非課税で受け取ることはできるのでしょうか。ここでは、退職金にかかる税金の仕組みを分かりやすく解説します。
仲千佳

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

退職金は完全に非課税ではない

退職金には、税金がかかります。ただし、給与や賞与とは異なり、大きな負担にならないよう特別な優遇制度が設けられており、その代表が退職所得控除です。
 
退職金を受け取った場合、まず退職所得控除額を差し引き、その残額のさらに2分の1を退職所得として計算します。そのため、同じ2000万円を受け取った場合でも、給与所得として受け取る場合に比べて税負担は大幅に軽減されます。
 
この優遇措置があるため、「退職金は非課税」と誤解されがちですが、実際には一定額を超えると所得税や住民税の対象です。
 

退職所得控除はいくらになる?

退職所得控除額は、勤続年数によって決まります。計算式は次のとおりです。


・勤続20年以下:40万円×勤続年数 ※最低80万円
・勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、勤続35年の場合は800万円+70万円×15年=1850万円となり、退職所得控除額は1850万円です。仮に退職金が2000万円だった場合、2000万円-1850万円=150万円となります。
 
さらに退職所得はその半分で計算されるため、150万円÷2=75万円が課税対象です。この金額に対して所得税と住民税が課税されるため、退職金全額に税金がかかるわけではありません。
 

退職金1500万円なら非課税になる可能性もある

勤務先から1500万円の退職金を受け取る場合、勤続年数によっては税金が発生しないケースがあります。
 
例えば、勤続30年の場合の退職所得控除額は、800万円+70万円×10年=1500万円です。退職金が1500万円であれば、退職所得控除額と同額になるため課税対象額は0円です。つまり、所得税や住民税は発生しません。
 
一方、勤続年数が短い場合は控除額も小さくなるため、同じ1500万円の退職金でも課税対象になる可能性があります。退職金の税額は、受取額だけでなく勤続年数によっても大きく変わります。
 

なぜ退職金から税金が天引きされるの?

退職した父親が「退職金から税金が引かれていた」と話していた場合、勤務先で源泉徴収が行われた可能性があります。
 
通常、「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出していれば、退職所得控除を適用したうえで税額が計算されるため、必要以上の税金が引かれることはありません。
 
しかし、申告書を提出していない場合は、退職金額に対して一律の税率で源泉徴収されるため、本来より多く税金が差し引かれます。適正な退職金を受け取るためにも、退職時には会社から渡される書類をしっかり確認しましょう。
 
なお、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合でも、確定申告を行うことにより過大に徴収された税額は還付されます。
 

老後資金として受け取る前に確認したいポイント

退職金は、多くの人にとって老後生活を支える重要な資金です。受取額だけではなく、実際の手取り額や税金の仕組みを理解しておきましょう。退職金を一時金として受け取るか、企業年金などで分割受取するかによって税制上の扱いが異なる場合もあります。
 
今後退職を控えている人は、自分の勤続年数で退職所得控除額がいくらになるのかを事前に確認しておくと安心です。
 

まとめ

退職金は「完全非課税」ではありませんが、退職所得控除という優遇制度があるため、給与所得よりも税負担が大幅に軽減されています。例えば、勤続35年で退職金2000万円の場合、課税対象となるのは一部です。
 
また、勤続30年で退職金1500万円なら、退職所得控除額の範囲内となり、税金が発生しない可能性もあります。退職金の税額は受取額だけでなく勤続年数によって決まるため、退職前に制度を理解し、自分のケースを確認しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
 
執筆者 : 仲千佳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

  • line
  • hatebu

LINE