退職金「1000万円」で自宅をリフォームする予定です。水回りや外壁補修などで合計「700万円」ほどかかると言われましたが、年金生活を考えると使いすぎでしょうか…?
特に水回りや外壁は、先送りすると暮らしに直結するため、老後を考えるにあたっても不可欠な支出になり得ます。一方、退職金は老後の生活に必要な大きな柱であるのも事実です。
そこで、退職金1000万円のうち700万円をリフォームに充てるという事例を基に、退職金でのリフォームについて考えてみます。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
退職金1000万円のうち700万円をリフォームに回すのは使いすぎ?
まず単純に計算すると、退職金1000万円からリフォーム費用700万円を支払えば、手元に残るのは300万円です。
700万円という金額だけを見ると大きく感じます。1000万円あった退職金が残り300万円にまで減ってしまうと考えればなおさらです。
しかし、水回りの交換、外壁補修、屋根や給湯器の更新などをまとめて行う場合、内容次第ではありますが、高すぎるとは言い切れません。
その点を踏まえると、本当に気にすべきなのはリフォームにかかる金額そのものよりも、それが老後の生活に与える影響です。
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の可処分所得は月22万1544円、消費支出は月26万3979円でした。つまり平均的には、毎月4万円ほどの不足が出る計算です。
これは、1年間で48万円ほどの赤字が出る計算になります。すると、手元に残る300万円では、単純計算で約6年分しか生活費を賄うことができないことが分かります。
もちろん、就労を続けたり、生活費を見直したりすることで家計の状況が変わる可能性はあります。しかし、家計調査の結果を見ると、退職金が300万円しか残らない場合、老後資金への影響は決して小さくないことが分かります。
使う前に「優先順位」をつける
退職金をリフォームに使う場合において不安であれば、一気に契約してしまわないことが重要です。
一気に700万円も支払うことになると、確実にその分、手元資金が薄くなります。後々老後資金が圧迫されていることに気づいたり、病気やけが、その他突発的な支出が起こったりしたときに困ってしまう可能性もあります。
また、考えが変わったり生活スタイルが変わったりして、リフォームのうち不要な部分が出てくるかもしれません。
そう考えると、退職金を使ってのリフォームは、一気に行わず優先順位の高いものから少しずつするのが安心です。
特に水回りや外壁補修などは一通りのリフォームが必要だとしても、その他の部分を含めてすべてを同時に行う必要があるとは限りません。
例えば、雨漏りや外壁のひび割れ、給湯器の故障、浴室の寒さや段差など、生活の安全や建物の維持に直結する工事は優先度が高いといえます。
一方で、キッチンのグレードアップや、機能面には不便はないがきれいにすることを目的とした内装の変更などは比較的優先度が低いケースもあります。
少なくとも数年分の生活費は残すべき
年金生活では、毎月の収支だけでなく、突発的な支出に備えるお金が必要です。例えば、家電の買い替え、医療費、介護費、冠婚葬祭、車の修理など、突発的かつまとまった支出はいくらでも発生し得ます。
そういった可能性を考えると、万一のことがあっても生活を立て直すことができるよう、今までの貯金とリフォーム後に残った退職金を合わせて、数年分の生活費相当額の貯金を通常の老後資金とは別に残すべきでしょう。
もし、リフォームに700万円使うとそれが不可能だという場合は、数年分の生活費相当額が確保できるようにリフォーム費用を抑えることが必要だといえます。
まとめ
退職金1000万円のうち700万円を自宅リフォームに使うことは、金額だけを見て使いすぎと断定できるものではありません。ただし、1000万円あった退職金が残り300万円になる点は重く見ておく必要があります。
年金生活では、毎月の赤字補てんだけでなく、医療費、介護費、家電の買い替えなど突発的な出費に備えることも必要です。
もし、退職金を使ったリフォームに悩んでいるのであれば、まずはリフォーム内容に優先順位をつけ、数年分の生活防衛資金を残せる範囲で行っていくことが望ましいでしょう。

