再雇用後も「残業」や「休日出勤」の日々なのに、給料は現役時代のなんと半分。「嫌なら辞めれば?」と言われていますが、会社の指示を受けいれるしかないのでしょうか?
しかし、会社がいくらでも残業や休日出勤を命じられるわけではありません。36協定、割増賃金、労働条件の明示、不合理な待遇差などを確認する必要があります。
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再雇用で給料が下がること自体はあり得る
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、大企業の男性フルタイム労働者の賃金(※)は、55〜59歳の53万3200円に対し、65〜69歳では31万7900円(約59.6%)まで低下しています。
賞与の減額等も含めると、年収ベースで現役時代の5割~7割程度になることがあります。
※令和7(2025)年6月分として支払われた所定内給与額の平均
定年後の再雇用は、定年前と同じ雇用契約がそのまま続くとは限りません。多くの場合、嘱託社員や契約社員として新しい労働条件を結び直します。その際、勤務日数、勤務時間、役職、責任範囲が変われば、賃金が下がることはあります。
厚生労働省は、65歳までの雇用機会を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」、「希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入」、「定年制の廃止」のいずれかの措置が必要だと説明しています。
再雇用制度は、その継続雇用制度の一つです。また、70歳までの就業機会の確保についても、令和3年4月より施行されています。
ただし、再雇用だから低賃金で何でもさせてよいわけではありません。現役時代と同じ業務、同じ責任、同じ残業量なのに、合理的な説明なく大きく待遇が下がっているなら、会社に理由を確認するべきです。
厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」に沿えば、同じ企業内で正社員と有期雇用労働者などの間に待遇差がある場合、その待遇差が不合理かどうかが問題になります。
定年後再雇用という事情は考慮されますが、会社は待遇差の内容や理由を説明できるようにしておく必要があります。
残業や休日出勤には36協定と割増賃金が必要
給料が半分になっても、残業や休日出勤をした分の割増賃金を受け取る権利はあります。再雇用者だから、残業代が不要になるわけではありません。
労働基準法では、法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間以内です。これを超えて働かせるには、会社が労働者側と36協定を結び、労働基準監督署へ届け出ている必要があります。
厚生労働省も、時間外・休日労働には36協定が必要で、法定労働時間を超える部分には割増賃金が支払われると説明しています。休日についても、毎週1回または4週で4日以上の休日が必要です。法定休日に働かせた場合は、休日労働の割増賃金が必要になります。
「嫌なら辞めれば」と言われても、違法な残業や未払い残業代を受け入れる必要はありません。タイムカード、業務メール、シフト表、休日出勤の指示、給与明細を保存し、実際の労働時間と支払われた賃金を確認しましょう。
会社と話す前に契約書と勤務実態を整理する
まず確認したいのは、再雇用時の労働条件通知書や雇用契約書です。そこに、勤務日数、勤務時間、残業の有無、休日、賃金、手当、業務内容がどう書かれているかを見ましょう。
契約では短時間勤務のはずなのに、実際には毎日フルタイムで残業もしているなら、契約と実態が合っていません。責任の重い仕事を続けているのに、役職手当や職務手当がなくなった場合も、説明を求める余地があります。
会社へは、感情的に「給料を戻してほしい」と言うより、「再雇用後の業務内容と賃金、残業指示の範囲を確認したい」と伝えると話し合いやすくなります。残業を減らしたいのか、賃金を見直してほしいのか、自分の希望を整理しておきましょう。
会社が聞き入れない、残業代が払われていない、休日出勤が常態化している場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。辞める前に、記録をそろえて相談することが大切です。
まとめ
再雇用後に給料が下がること自体はあり得ます。しかし、残業や休日出勤をしたのに割増賃金が払われない、36協定なしに長時間働かされる、現役時代と同じ責任なのに説明なく待遇だけ大きく下がる場合は、会社の対応に問題がある可能性があります。
「嫌なら辞めれば」と言われても、違法な働かせ方を受け入れる必要はありません。まずは雇用契約書、給与明細、勤務記録、残業指示の証拠を整理しましょう。
そのうえで、業務内容、残業の範囲、賃金の理由を会社に確認してください。改善されない場合は、労働基準監督署や労働局へ相談できます。再雇用でも、働いた時間に応じた正当な扱いを求めることは当然の権利です。
出典
厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン
厚生労働省 確かめよう労働条件 時間外・休日労働と割増賃金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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