会社の福利厚生で契約したサービスを退職後も使っていたところ、「利用分を返金してください」と連絡が来ました。知らずに使っていた場合も支払う必要がありますか?
退職後もサービスを利用できていると、そのまま利用してよいと考えることもあるかもしれませんが、後から会社に返金を求められる場合があります。
本記事では、退職後に福利厚生サービスを利用して返金を求められた場合の考え方や、確認しておきたいポイントについて解説します。
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目次
退職後の福利厚生サービスはどのように扱われるのか
退職によって福利厚生サービスの利用資格を失っていたにもかかわらず、その後もサービスを利用した場合、会社から利用相当額の返還を求められる可能性があります。
民法703条では、法律上の原因がないまま他人の財産や労務によって利益を受け、そのために相手に損失を与えた場合、その利益が残っている範囲で返還する義務を負うと定められています。
これは、一般的に「不当利得」と呼ばれる考え方です。例えば、退職後の利用が認められていない福利厚生サービスで、1回5000円の補助を受けられる宿泊サービスを退職後に3回利用したとします。
この場合、会社が合計1万5000円を負担していれば、その金額の返還を求められる可能性があります。
重要なのは、利用者に不正利用の故意があったかどうかだけで返還義務が決まるわけではない点です。たとえ退職後は利用できないことを知らなかったとしても、利用資格のないサービスを利用して実際に利益を受けていれば、返還義務が生じる可能性があります。
退職後は利用できないと知らなかった場合に確認したいポイント
退職後に利用できないことを知っていたかどうかは、返還する範囲を判断するうえで重要です。
民法では、返還義務があることを知らずに利益を受けた場合と、それを知りながら利益を受けた場合とで、返還の範囲が異なります。返還義務があると知っていた場合には、受けた利益に利息を付けて返還することなどが定められています。
そのため、「退職したら利用できなくなるという案内を受けていなかった」「退職後も通常どおりログインできた」といった事情は、利用時の状況を確認するうえで大切です。
こうしたケースは、利用資格がないことを認識しながら故意に利用していた場合とは状況が異なると考えられます。
ただし、会社側がアカウントを停止し忘れていたことだけを理由に、それだけで支払い義務がなくなるとはかぎりません。利用できる状態だったことと、利用する権利があったことは別の問題だからです。
会社から返金を求められた際は、退職時の案内や利用規約なども確認し、自分が利用資格を失った時期や当時の状況を整理しておくとよいでしょう。
福利厚生サービスの利用分について返金を求められたときの対応方法
会社から返金の連絡を受けた場合は、すぐに請求額を支払う前に、まず利用条件を確認しましょう。
まず、退職日や退職日の翌日など、いつの時点で利用資格を失うのかが、就業規則や福利厚生サービスの利用規約などに記載されているかを確認します。また、退職時に会社から説明や通知があったかどうかも確認しておくとよいでしょう。
あわせて、「いつからいつまでの利用について、いくらの返還を求めているのか」という請求額の内訳も確認します。
例えば、自分が5000円で利用したサービスの通常価格が1万円だったとしても、必ず差額5000円全額が会社の損失や返還額になるとはかぎりません。会社が実際に負担した金額やサービスの契約内容などによって、返還を求められる金額は変わる可能性があります。
その際、利用履歴や会社から届いたメール、退職時にもらった書類などは捨てずに保管しておきましょう。請求額に疑問がある場合は、「利用日」「サービス名」「会社負担額」「返還額の計算方法」など、請求の根拠を会社に示してもらうことが大切です。
退職後の利用資格がないと知らなかった場合でも、まず請求内容を確認しよう
退職によって福利厚生サービスの利用資格を失っていた場合、知らずに利用していたとしても、会社から返金を求められる可能性があります。
ただし、返還義務の有無や返還額は、退職時の案内内容や利用規約、利用資格を失う時期、会社が実際に負担した金額などによって異なります。
会社から請求を受けた場合は、内容をよく確認したうえで対応することが大切です。疑問が残る場合は会社に根拠を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家や厚生労働省の総合労働相談コーナーなどに相談しながら適切に対応しましょう。
出典
デジタル庁 e-Gov 法令検索 民法 第七百三条(不当利得の返還義務)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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