60歳、退職金は2000万円、iDeCoは1000万円。両方とも一時金で受け取る場合は、税金をいくら払う必要あるのでしょうか
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士
外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。
退職金とiDeCoを同じ年に受け取る場合
退職金を一時金で受け取る場合ですが、いくら税金がかかるのでしょうか。次のステップで計算をしていきます。
(1) 退職所得控除額を算出する
(2) 課税退職所得の金額を算出する
(収入金額[源泉徴収される前の金額]-退職所得控除額)×1/2
(3) 所得税を算出する
国税庁 No.2260 所得税の税率を参照
(4) (3)で算出した所得税に復興特別所得税を加える。
所得税および復興特別所得税 = 所得税×1.021
(5) 住民税を算出する。
課税退職所得×10%
(6) 退職金にかる税金 = (4)+(5)
Aさんの場合は、退職金(2000万円)のほかにiDeCo(1000万円)もあります。例えば、Aさんが、勤続年数35年(25歳~60歳)でiDeCoの加入が、15年(45歳~60歳)で、退職金とiDeCoを両方とも同じに年に受け取とったとします。
勤続年数とiDeCoの加入期間のどちらか長いほうの期間で計算されますので、今回は35年で計算します(重複している部分は、合算されます)。具体的には次の計算方法になり、退職金に払う税金は129万7500円です。
(1) 800万円+70万円×(35年-20年)=1850万円
(2) {(2000万円+1000万円)-1850万円}×1/2=575万円
(3) 575万円×20%―42万7500円=72万2500円
(4) 72万2500円× 1.021=73万7672円
(5) 575万円×10%=57万5000円
(6) 72万2500円+57万5000円=129万7500円
退職金よりもiDeCoを後に受け取る場合
Aさんが、退職金を先に受け取り、iDeCoを後に受けとる場合の課税退職所得はどうなるのでしょうか。例えば60歳で退職金を2000万円受け取り、iDeCoを65歳まで運用をして1000万円を受け取ったとします。
計算方法は、次のようになります。
■60歳時点 退職一時金受け取り
(1) 800円+70万円×(35年―20年)=1850万円 退職金控除額
(2) (2000万円―1850万円)×1/2=75万円 75万円に対して課税されます。
■65歳時点 iDeCo受け取り
本来であれば40万円×20年=800万円の控除があります。しかし◎退職金の受け取りから19年以内※◎加入期間20年のうち15年間は、退職金の勤続期間と重複しています。したがって、重複しない5年間についてのみ控除を使うことができます。計算方法は、(1) 5年×40万円=200万円が退職所得控除で(2) (1000万円-200万円)×1/2=400万円が課税退職所得です。
※19年ルール・・・退職金を受け取った後にiDeCoを受け取る場合は、前年以前19年の以内の退職金は調整の対象です
退職金よりもiDeCoを先に受け取る場合
先ほどとは逆にAさんがiDeCoを先に受け取って退職金を後で受け取った場合は、どうなるのでしょうか。例えば60歳で、iDeCoを受け取った後、65歳まで働き続けて退職金を受け取ったとします。
計算は、次のようになります。
■60歳時点
1 加入期間15年
2 退職所得控除 40万円×15年=600万円
3 課税退職所得額 (1000万―600万円)×1/2=200万円
■65歳時点
本来の退職所得控除額は、勤続40年なので、(1) 800万円+70万円×(40年―20年間)=2200万円ですが、60歳の時点でiDeCoをすでに受けとっており、◎iDeCoの受け取りから9年以内※◎勤続年数40年のうち15年間は、iDeCoの加入期間と重複しています。
重複する15年間の控除が調整されます。15年間の控除額は、(2) 40万円×15万円=600万円 したがって、退職金で使える退職所得控除額は、(3) 2200万円-600万円=1600万円となり、(4) 課税退職所得額は、(2000万円-1600万円)×1/2=200万円です。
※10年ルール・・・iDeCoを受け取った後に退職金を受け取った場合は、前年以前9年以内のiDeCoは調整の対象です
まとめ
会社の退職金とiDeCoを一時金とした受け取る場合は、退職所得控除を使えます。ただし、同じ年に両方を受け取る場合は、重複していた部分は合算して計算されます。
受け取るタイミングをずらす場合は、(2) 退職金が先で、iDeCoが後の場合は、19年ルール(3) iDeCoが先で退職金が後の場合は10年ルールがあり、それぞれの年数が経過するまでは、退職所得控除をフルには利用できないので注意が必要です。
出典
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者 : 篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士





