定年後“両親の食事”は毎日「ご飯・みそ汁・残り物」と聞き驚き! 母は「料理が趣味」でしたが、年金は「月20万円」くらいもらえるはずなのに余裕がないのでしょうか? 年金生活の実態とは
毎月、手取りで20万円程度の年金支給を受けている高齢者夫婦の世帯でも、生活に余裕は生まれないのでしょうか。公的な統計データをもとに、老後の年金収入と生活費の実態を見ていきましょう。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
年金は、夫婦で平均いくらもらえる? 厚生労働省のデータから算出
「年金は夫婦で月20万円くらいもらえる」というイメージは、実際に正しいのでしょうか。厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、平均的な受給額を確認してみましょう。
日本の年金制度は、現役時代の働き方によって受け取る年金の種類と金額が大きく変わります。ここでは、現在のシニア世代に多いと思われるモデルケース、「夫が長年会社員として働き(厚生年金)、妻が専業主婦または扶養内パートだった(国民年金のみ)」という夫婦を想定します。
夫(厚生年金):月額15万1142円(※基礎年金を含む全国平均額)
妻(国民年金):月額5万9431円
夫婦合計:月額21万573円
実際はここから所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)の4項目が天引き(特別徴収)されますので、受け取る年金の手取り額は、夫婦合計で19万~20万円程度になりそうです。「現代の高齢夫婦の年金受取額は、月額で20万円程度」というイメージは、ほぼ正しいと言えるでしょう。
老後の生活費の実態とは
それでは、月額20万円程度の年金額で、余裕ある老後生活は送れるのでしょうか。実際に定年後の高齢夫婦が、毎月いくら程度の生活費を使っているか、総務省のまとめた「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとにシミュレーションしてみましょう。
上記の資料によれば、65歳以上の「夫婦のみの無職世帯」における平均的な家計収支は以下のようになっています(図表1)。
実収入(年金などの社会保障給付を含む):月額25万4395円
消費支出(食費、光熱費、娯楽費など):月額26万3979円
非消費支出(税金や社会保険料など):月額3万2850円
支出合計:月額29万6829円
図表1
総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
平均的な老後夫婦の生活費や税金の支払いを合わせると、「月に約29万円(税金・社会保険料を抜くと約26万円)」の支出があるため、仮に夫妻の税引き後手取り収入が受給年金の「月20万円」のみだった場合、毎月約6万円、年間で約72万円の赤字が発生する計算になります。
この不足分は、現役時代に貯めた預貯金などを毎月取り崩すか、無理のない範囲でアルバイトなどをして補てんしていくしかありません。
両親が「ご飯・みそ汁・残り物」といった質素な食事をしているのは、決して大げさな節約ではなく、「限られた年金と貯蓄の中で、老後資金の枯渇を防ぐための防衛策」だと言えるでしょう。近年は特に食料品などを中心としたインフレの影響もあり、食費や光熱費を無意識のうちに切り詰めざるを得ない状況なのではないでしょうか。
ただ、高齢の両親の食生活が質素だからといって、金銭の仕送りをするべきかどうかとは別の問題です。加齢により消化能力が落ちて、「粗食」で十分になっているだけかもしれませんし、毎月の家計は赤字でも、じゅうぶんな老後資金を持っているために、子世代からの援助が必要ないことも考えられるからです。
両親に金銭的な支援をしたいと考えている場合は、一度きちんと話し合いの機会を作り、お互いに納得をして決めていくようにしましょう。
まとめ
定年後の両親が質素な食事をしているのを見ると心配になるでしょうが、加齢によって食生活に変化が起きているだけかもしれません。また、両親の家計が毎月赤字でも、生活していくにじゅうぶんな老後資金を持っていることもありえます。
「両親がかわいそうだから」と、安易に現金の仕送りをするのではなく、まずはさりげなく両親の家計の状況や健康状態をヒアリングしてみることから始めてみましょう。
本当に家計が困窮しているなら、具体的な援助を検討すべきですが、実際に仕送りをする前には、きちんと話し合いの機会を設け、お互いが納得して気持ちよく生活できるようにしたいものです。
出典
厚生労働省 令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント


