万一のためと貯蓄2000万円に手を付けない「75歳の母」…毎日粗食、エアコンは10年以上前のもの…女性の平均寿命は87歳なのになぜお金を使いたがらないのでしょうか?
本記事では、70代の貯蓄額や平均寿命を確認しながら、高齢者がお金を使いたがらない理由について考えます。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
目次
70代で貯蓄2000万円は多い?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、単身世帯と二人以上世帯における70歳代の金融資産保有額は次のとおりです。
・単身世帯:平均値1489万円、中央値500万円
・二人以上世帯:平均値2416万円、中央値1178万円
75歳の母親が一人暮らしなら、貯蓄2000万円は平均値も中央値も上回る水準です。二人以上世帯でも中央値を大きく超えており、比較的高い水準の資産額といえるでしょう。
75歳からの余命はどれくらい?
厚生労働省の令和7年の簡易生命表によると、女性の平均寿命は約87歳です。また、75歳女性の平均余命は15年以上あり、多くの人は90歳前後まで生活する可能性があります。
つまり、75歳になっても、その後10年以上の生活を見据えて資金を管理する必要があるといえるでしょう。
高齢者がお金を使いたがらない理由とは
高齢者が、貯蓄はあっても支出を控える背景には、いくつかの理由が考えられます。まず大きいのは、「長生きしてお金が足りなくなるかもしれない」という不安です。何歳まで生きるかは誰にも分からず、医療費や介護費用がどのくらいかかるかも予測できません。
また、「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちから、できるだけお金を残そうと考える人もいます。さらに、現在の70代は、バブル崩壊や長いデフレを経験した世代です。「ぜいたくは控える」「無駄遣いはしない」という価値観が身に付いている人も少なくありません。
その結果、使えるお金があっても、「いざというときまで取っておこう」と考えるケースも多いでしょう。
元気なうちに使うという考え方もある
一方、「お金は元気なうちに使うことに価値がある」という考え方もあります。旅行や趣味、おいしい食事、住環境の改善などは、健康だからこそ楽しめるものといえるでしょう。
例えば、古いエアコンを省エネ性能の高い機種へ買い替えれば、快適性が向上するだけでなく、電気代の節約につながる可能性もあります。将来への備えは大切ですが、使える時期を逃してしまうと、お金があってもできないことが増えてしまうかもしれません。
子どもとしては親の価値観を尊重することも大切
親がお金を使わない姿を見ると、「もっと楽しめばいいのに」と思うこともあるでしょう。しかし、お金に対する考え方は人それぞれです。無理に使うように勧めるのではなく、「旅行に行ってみない?」「エアコンだけでも買い替えない?」など、生活の質を高める提案をしてみるのも1つの方法です。
また、お金をきっかけに将来の介護や相続について話し合う機会が生まれることもあります。資産状況や希望を共有しておけば、万一の際も家族が対応しやすくなるでしょう。
まとめ
75歳で貯蓄2000万円は、多くの70代と比べても比較的余裕のある水準です。しかし、75歳の女性の平均余命は15年以上あり、「長生きしたらお金が足りなくなるかもしれない」という不安から、お金を使わない人は少なくありません。
一方、健康なうちだからこそ楽しめる旅行や趣味、住環境の改善などにお金を使うという考え方もあります。子どもとしては、「なぜ使わないのか」という親の価値観を理解しながら、将来への備えと現在の生活の充実、その両方を一緒に考えていくことが大切だともいえるでしょう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年
厚生労働省 令和7(2025)年簡易生命表の概況
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
