年金だけで暮らす父から「生活費を少し援助してほしい」と頼まれました。私にも住宅ローンがありますが、子どもには親を経済的に支える義務があるのでしょうか?

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年金だけで暮らす父から「生活費を少し援助してほしい」と頼まれました。私にも住宅ローンがありますが、子どもには親を経済的に支える義務があるのでしょうか?
年金だけでは生活が苦しい父から援助を求められると、「子どもなら自分の生活を削ってでも仕送りしなければならないのか」と不安になるでしょう。民法上、親と子のような直系血族には互いに扶養する義務があります。
 
ただし、父から頼まれた金額をそのまま払わなければならないという意味ではありません。実際の扶養額は、父の収入や資産だけでなく、子どもの収入、住宅ローン、教育費などの生活状況も踏まえて考えます。
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子どもには親を扶養する法律上の義務がある

民法877条では、直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると定められています。
 
親と子は直系血族なので、子にも親を扶養する法律上の義務があります。ただし、「親の年金が足りない分は子どもが全額補う」と決められているわけではありません。
 
たとえば父の生活費が月15万円必要で、年金が月10万円しかないからといって、不足する5万円を子ども一人が必ず払わなければならない、という単純な仕組みではありません。
 
父に預貯金などの資産があるか、ほかに扶養義務を負う兄弟姉妹がいるか、子ども側にどの程度の経済的余裕があるかなどを確認します。
 
裁判所も、扶養について話し合いがまとまらない場合の扶養請求調停では、各扶養義務者の経済状況や生活状況、扶養を受ける人の意向などを考慮すると案内しています。そのため、「子どもなのだから月5万円出して」と言われたからといって、その金額が法律上自動的に確定するわけではありません。
 

住宅ローンや教育費など自分の家計事情も考慮される

今回のように、自分にも住宅ローンがある場合は、その事情も重要です。
 
たとえば手取り月30万円の人が、住宅ローン12万円、子どもの教育費4万円、食費や光熱費などを負担しており、ほとんど余裕がないとします。その状態で父から毎月10万円の援助を求められても、現実的に支払うことは難しいでしょう。
 
扶養について家庭裁判所で話し合う場合も、扶養する側の経済状況や生活状況を踏まえて検討されます。このことは、民法879条(扶養の程度又は方法)に規定されています。
 
したがって、「親のためなら住宅ローンを払わず仕送りしなければならない」というものではありません。
 
兄弟姉妹がいるなら、一人だけで抱え込まず話し合いましょう。たとえば3人のきょうだいがいる場合、それぞれの収入や家庭事情に応じて分担する方法もあります。
 
また、金銭援助だけが支援ではありません。食料品を届ける、行政手続を手伝う、利用できる福祉制度を調べるなど、別の方法もあります。
 

自分が援助できない場合は公的制度も確認する

父の年金が少なく生活が成り立たない場合は、家族からの仕送りだけで解決しようとせず、公的制度も確認しましょう。
 
年金以外に利用できる給付制度がないか、市区町村の福祉窓口などへ相談する方法があります。生活そのものが維持できない場合には、生活保護の相談も選択肢になります。
 
厚生労働省は、扶養義務者による扶養が生活保護に優先するとしつつも、「同居していない親族へ相談してからでなければ生活保護を申請できない」という仕組みではないと明確に案内しています。
 
つまり、「子どもが援助できないなら生活保護も申請できない」ということではありません。
 
自分の住宅ローンや子育て費用で余裕がないなら、その事情を正直に伝えればよいでしょう。
 
父と金額を決める場合も、「毎月いくら必要?」と聞くだけではなく、年金額、家賃、医療費、光熱費などを一緒に確認するのがおすすめです。固定費を見直すだけで不足額を減らせる場合もあります。
 
なお、実際に家庭裁判所へ扶養請求調停の申立てをする場合、費用は「収入印紙1200円分(扶養権利者1人につき)」「連絡用の郵便切手(郵便料は裁判所により異なる)」「申立てに必要な戸籍謄本の取得費用」にて行うことができます。
 
必要な戸籍謄本は基本的に「申立人と相手方」のものですが、兄弟姉妹を相手方として調停を行う場合は、その兄弟姉妹や扶養権利者(父)の戸籍謄本も必要になります。
 

まとめ

子には、民法上、親を扶養する義務があります。しかし、親から求められた生活費を無条件で全額支払わなければならないわけではありません。
 
扶養額を考える際には、父の年金や資産だけでなく、子どもの収入、住宅ローン、教育費、ほかの扶養家族なども考慮されます。話し合いで決まらなければ家庭裁判所の扶養請求調停・審判を利用する仕組みもあり、そこで個々の生活状況を踏まえて判断されます。
 
住宅ローンがあるのに無理な金額を約束すると、自分の家庭まで生活が苦しくなります。まず父の家計を確認し、自分が無理なく出せる範囲を話し合いましょう。それでも生活が成り立たない場合は、福祉窓口などへ相談し、公的制度も組み合わせて考えることが大切です。
 

出典

e-Gov 法令検索 民法
裁判所 扶養請求調停
厚生労働省 生活保護を申請したい方へ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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