定年間近で「退職金1500万円」受け取る予定の父。「一時金より年金で75万円×20年で受け取るほうが得」だそうですが、実際“税金を引いた手取り”はどちらが多いのでしょうか? 金額を試算

配信日:
この記事は約 3 分で読めます。
定年間近で「退職金1500万円」受け取る予定の父。「一時金より年金で75万円×20年で受け取るほうが得」だそうですが、実際“税金を引いた手取り”はどちらが多いのでしょうか? 金額を試算
定年が近づいた親から「まとめて受け取ると税金で持っていかれる」「年金で分けたほうが得らしい」と聞かされ、そういうものかと思う人もいるのではないでしょうか。退職金の受け取り方は、勤め先の制度によって一時金と年金から選べる場合があります。
 
ただ、どちらが多く残るかは受け取り方で変わってきます。税金の計算のしかたが違うからです。ここでは勤続38年で退職金1500万円のケースを取り上げ、それぞれの手取りを計算式で並べてみましょう。
高橋祐太

2級ファイナンシャルプランナー技能士

受け取る総額が同じでも、税金のかかり方は同じではない

まず、受け取る金額そのものを見ておきます。
 
・75万円×20年=1500万円(年金で受け取る場合の総額)
 
総額は一時金と変わりません。違うのは、一時金が退職所得、年金が雑所得として扱われる点です。
 
一時金には、退職所得控除が使えます。勤続20年を超える場合の控除額は800万円に、20年を超えた年数1年につき70万円を足した金額です。勤続38年なら次のようになります。
 
・800万円+70万円×18年=2060万円(退職所得控除額)
 
退職金1500万円は、控除額の2060万円内に収まります。この場合、退職所得は0円となり、所得税も住民税もかからず、1500万円がそのまま手元に残ります。
 

年金で受け取ると、20年でいくら引かれるのか

一方、年金で受け取る分は、公的年金等の雑所得になります。厚生年金基金や確定給付企業年金も公的年金等控除の対象で、65歳以上で年金額が330万円以下なら控除額は110万円です。
 
老齢年金を月15万円、つまり年180万円受け取っている人で比べてみます。


・180万円+75万円=255万円(年金で受け取る場合の公的年金等の収入)
・255万円-110万円=145万円(雑所得)
・180万円-110万円=70万円(一時金を選んだ場合の雑所得)

差は75万円で、企業年金の分がまるごと所得に上乗せされる形です。所得税と住民税を合わせた税率が15%だとすると、次のようになります。


・75万円×15%=11万2500円(1年あたりの税額)
・11万2500円×20年=225万円(20年分)
・1500万円-225万円=1275万円(年金で受け取った場合の手取り)

一時金の1500万円と比べると、差は225万円です。さらに国民健康保険料や介護保険料も前年の所得をもとに決まるため、年金で受け取る20年間は保険料の負担が増えます。
 

それでも年金で受け取るほうが有利になるのは、どんなときか

今回の結果がひっくり返る条件は2つあります。1つは、退職金が退職所得控除を上回るときです。勤続年数が短い人や退職金が2000万円を超える人は、一時金にも税金がかかります。
 
もう1つは、年金の受取総額が一時金を上回るときです。企業年金は受け取りを始めるまでの期間にも利率がつくため、総額が1500万円より増える制度もあります。今回はその上乗せがない前提で比べました。
 
まずは勤め先の退職金の資料で、年金にした場合の総額と自分の勤続年数を確かめてみてください。制度によっては一部を一時金、残りを年金にする分け方も選べます。
 

まとめ

退職金1500万円を勤続38年で受け取る場合、退職所得控除は2060万円あるため、一時金なら税金はかかりません。年金で20年に分けると、老齢年金と合算されて課税され、手取りは1275万円ほどになる計算です。
 
ただし、退職金の額や勤続年数、老齢年金の額、年金受取の上乗せがあるかどうかで結果は変わるため、一律にどちらが得とは言い切れません。勤め先の資料と、ねんきん定期便の見込み額を並べて確かめるとよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士

  • line
  • hatebu

LINE