父の死後“特養の母の施設代”が「月9万→13万7000円」に増加! 介護度も部屋も“変わってない”のに、なぜ急に「5万円近く」高くなったのですか? 注意が必要な“資産要件”とは

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
父の死後“特養の母の施設代”が「月9万→13万7000円」に増加! 介護度も部屋も“変わってない”のに、なぜ急に「5万円近く」高くなったのですか? 注意が必要な“資産要件”とは
特別養護老人ホーム(特養)に入所する親の介護度や部屋が変わっていないのに、あるとき突然、施設代が大幅に上がったら驚くのではないでしょうか。
 
今回は、ユニット型個室に入所している母親の施設代が、父親の死亡後に月約9万円から約13万7000円へ上がったケースを取り上げます。
 
原因として考えられるのが、低所得者の食費・居住費を軽減する「補足給付」の対象から外れることです。介護度も部屋も変わっていないのに、なぜ施設代が5万円近く上がるのか、具体的に試算しながら解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

特養では「介護サービス費」以外に食費・居住費がかかる

特養に入所すると、介護サービス費の自己負担に加えて、食費や居住費、日常生活費などを負担します。
 
ただし、所得や預貯金等が一定以下の人には「特定入所者介護サービス費(補足給付)」があり、食費と居住費について所得に応じた負担限度額が設定されています。
 
2026年8月以降、第3段階(1)に該当する主な条件は、世帯全員が市町村民税非課税で、「年金収入金額+合計所得金額」が82万6500円超120万円以下、預貯金等が単身550万円以下です。
 
配偶者がいる場合、預貯金等の基準は夫婦で1550万円以下となります。なお、年金収入金額には遺族年金や障害年金などの非課税年金も含まれます。
 

父が亡くなると「夫婦1550万円以下」から「単身550万円以下」になる

ここで、母親の年金収入等が第3段階(1)の所得基準内にあり、父親も市町村民税非課税だったとします。
 
夫婦の預貯金等が合計1000万円なら、父親が存命中は「夫婦1550万円以下」という資産要件を満たしますが、父親が亡くなり、相続などを経て母親の預貯金等が1000万円となった場合、今度は単身の基準である「550万円以下」で判定されることになります。
 
つまり、保有する預貯金等が1000万円のままでも、夫婦なら基準内だったものが、単身になることで基準を超えてしまうのです。その結果、補足給付を受けられなくなる可能性があります。
 

施設代は月約9万円から約13万7000円へ

では、要介護5・1割負担でユニット型個室に30日入所するケースを試算してみましょう。加算や日常生活費などは考慮しないものとします。
 
介護サービス費は1日955単位です。ここでは1単位10円として、1割負担を1日955円、30日で2万8650円と試算します。補足給付の第3段階(1)では、2026年8月以降、ユニット型個室の居住費は1日1370円、食費は1日680円です。
 
2万8650円+(1370円×30日)+(680円×30日)=9万150円
 
一方、補足給付を受けられなくなり、厚生労働省が示す基準費用額で試算すると、ユニット型個室の居住費は1日2066円、食費は1日1545円となります。
 
2万8650円+(2066円×30日)+(1545円×30日)=13万6980円
 
図表1は、父親の死亡前後で特養の費用がどう変わるかをまとめたものです。
 
図表1

図表1

筆者作成
 
差額は4万6830円です。介護度も部屋も変わらないのに、「月約9万円」だった負担が「月約13万7000円」に増える計算になります。
 
なお、補足給付の対象外となった場合の食費・居住費は施設と利用者との契約によって決まるため、実際の請求額は施設によって異なります。
 

まとめ

特養の費用は、介護度や部屋だけで決まるわけではありません。低所得者向けの補足給付を利用している場合、所得や預貯金等、配偶者の有無などによって食費・居住費の負担が変わります。
 
特に注意したいのが、夫婦と単身では預貯金等の基準が異なる点です。父親の死亡後、母親の介護度や居室に何も変化がなくても、補足給付の資産要件を満たさなくなれば、施設代が大きく増える可能性があります。
 
また、高額介護サービス費では食費や居住費などは原則として対象外です。施設から負担額変更の案内を受けた場合は、負担限度額認定の対象から外れていないか、市区町村の介護保険窓口などで確認するとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 介護保険最新情報掲載ページ(介護保険最新情報Vol.1506、令和8年5月29日発出分を参照)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE