更新日: 2020.02.01 介護
介護と仕事の両立は諦めるしかないの?諦める前に、介護支援制度を知っておこう
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
介護離職の実態
介護と仕事を両立したいと考える人の多くが不安を抱えている、という現状があります。
現状、実際に介護している人の8割が、40代から60代です。また、40代と50代の正社員を対象としたアンケート結果によると、「介護と仕事を両立できるか非常に不安である」、または「不安である」と答えた人の割合が、男性は約75%、女性は約80%となっています(厚生労働省)。
メディアからの知識で、介護は大変だという認識はあり、見えない不安におびえている様子が明らかとなっています。
各種制度の実態を知る
まずは、現状としてどういった介護支援制度が存在するか知ることから始めましょう。制度には主に以下のものがあります。
●介護休業(育児介護休業法)
●介護休暇(育児介護休業法)
●介護休業給付の支給(雇用保険)
●時間外労働・深夜業の制限(育児介護休業法)
●勤務時間の短縮等の措置(育児介護休業法)
勤務先も知らないことが多いので、勤務先と話をし、こういった制度の有効活用に努めましょう。
就業規則の内容を知る
勤務先の就業規則をご覧になったことはありますか。勤務先によっては、従業員への福利厚生の一環として、介護や子育てに関して、独自の制度を持っていることがあります。そういうことを知っておくのに就業規則は役立ちます。
原則として就業規則は、従業員がいつでも見られるところに置いてあるはずです。その中に勤務先独自の介護と仕事の両立支援制度の内容が記載されています。一度確認しておきましょう。
民間保険も有効です
介護に関する民間保険とは、一般的に自分自身が介護状態になったときに、かかる介護費用に備えて契約をします。
ところが昨今、勤務先の福利厚生の一環で、団体割引を適用して安い保険料で、従業員の親が介護状態になった場合に保険金を受け取れる保険があります。そうした内容の保険の有無も、勤務先に確認してみるのも良いでしょう。
相談窓口を確認しておこう
介護と仕事とを両立しようと、ひとりで何もかもしようとすると無理が生じます。そのため、万一のときは、地域の助けを借りるのも手です。
介護状態になったときに頼りになるのが、地域包括センターです。地域包括センターとは、介護・医療・保健・福祉などの相談窓口です。各市区町村に設置されているので、困ったときは、利用しましょう。
介護と仕事の両立を目指して
今は介護だけに限らず、病気等も含め、大変な状況下で仕事をしている人は多いです。勤務先に事情を打ち明けずに有給休暇を使い、また遅刻や早退を繰り返し、最終的に退職せざるを得なくなったという人も少なくありません。
そうならないためにも、法的な制度について調べておき、また勤務先の福利厚生制度も確認しておきましょう。万一の状態になってからでは、間に合わないこともあります。頭の片隅にでも置いておくことをお勧めします。
【参考文献】厚生労働省「平成27年度 仕事と介護の両立支援事業 企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士