更新日: 2020.12.04 老後

おひとり様が増える中での老後資金の不足額は

執筆者 : 吉野裕一

おひとり様が増える中での老後資金の不足額は
2019年に金融審議会市場ワーキング・グループが発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」によって、老後の2000万円の不足を不安に思われている方が依然として多くいるように見受けられます。この2000万円は2人以上世帯での不足分ですが、昨今は「おひとりさま」といわれる単独世帯も増加傾向にあります。
 
働き方や生き方も多様化している中で、「おひとりさま」の老後資金はどれくらい必要なのか考えてみました。
 
吉野裕一

執筆者:

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている

http://moneysmith.biz

吉野裕一

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2040年には高齢世帯のおひとりさま4割に

厚生労働省の国民生活基礎調査(2019年)によると、65歳以上の人がいる世帯のうちで世帯員が1人だけの単独世帯は全体の28.8%、親と未婚の子のみの世帯が20.0%となっています。現在の単独世帯が約3割程度に対して、将来的に単独世帯となる可能性がある世帯が2割、さらに現在は夫婦2人で住まわれている世帯(32.3%)も将来は単独世帯になると思われます。
 
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」では、2040年に65歳以上の単独世帯が40.0%という見通しになっています。また、75歳以上の単独世帯は42.1%とさらに高くなっています。
 
これからは、高齢になって配偶者を亡くされて「おひとりさま」になる方だけではなく、結婚をせずに「おひとりさま」となる方も増えてきて、単独世帯が占める割合もより増加する可能性が出てきているのではないでしょうか。
 

現在の高齢の方の生活費は?

総務省統計局が公表している「家計調査報告(家計収支編)」では、2019年の高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の無職世帯の家計収支について年金など含めた可処分所得(手取り収入)が20万6678円、消費支出が23万9947円となっています。毎月の赤字を3万3269円として65歳から30年間の生活を考えた場合、約1200万円の不足と老後2000万円問題に比べて800万円も少ない結果です。
 
しかし、金融審議会 市場ワーキング・グループの報告は将来の年金水準の低下も加味しているのかもしれません。
 
それでは「おひとりさま」の高齢世帯の収支を見ていきたいと思います。単身世帯の統計では60歳以上の世帯のデータが出ており、2019年の高齢単身世帯の家計の収支は可処分所得(手取り収入)が11万2649円、消費支出は13万9739円、毎月2万7090円の不足となっています。これが30年続くと975万2400円となり、約1000万円が不足すると計算できます。
 
ただ、先ほどのように将来の見通しとしては年金水準の低下や物価の上昇なども考えないといけないので、約1000万円の不足分以上の準備が必要な場合もあるでしょう。
 

元本確保の準備で大丈夫か

現在30歳の方が35年後までに1000万円を貯めるには、金利の付かない単純な積み立てで毎月2万3810円を貯めることになります。未婚で自由に使えるお金がある方にとっては難しい額ではないでしょう。
 
しかし、仮に年率1%の運用利回りが期待できる投資信託などの金融商品で老後の資金を準備することができれば、毎月2万円の積み立てで35年後に1000万円の準備が可能となります。
 
さらに、年率3%の運用利回りが期待できる商品では毎月約1万4170円となり、運用せずに積み立てを行うよりも約1万円も少なくて済みます。例えば、もっと高利回りの5%で運用できるとすれば、約9170円と1万円足らずの積み立てで1000万円を用意することが可能になってきます。

NISAやiDeCoの活用も考えながら

上記の運用で出た利益に対しては現在、20.315%の税金が課せられることになっています。仮に3%で運用した結果に現行の課税がされた場合、積立額約595万円から増えた405万円に対して20.315%の税率となるので、約82万2758円が税金として引かれてしまいます。そうなると、せっかく1000万円を作ったとしても税金分の不足が出てしまいますね。
 
現在は、自助努力による老後に向けた資産形成を後押しする税制優遇を国も行っています。NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用すれば運用益が非課税になったり、掛け金が所得控除となるほか、受取時にも優遇税制があります。同じ利回りで運用するにしても、こういった制度は活用したいですね。
 

まとめ

ファイナンシャルプランナーとしては、2019年の老後2000万円問題よりも以前から3000万円は準備をしましょうということを伝えてきました。しかし、老後2000万円問題はテレビでも大きく取り上げられたことから、多くの方が意識するようになってきているのではないでしょうか。
 
実際には「おひとりさま」と呼ばれる方が増えているように、個人個人で生き方や生活水準も違いますから、目安となる金額が全ての方に当てはまるわけではありません。
 
ただ、将来的には老後資金が不足する方が増加してくかも分かりませんので、今後のライフプランを考えて自分自身はどれくらい老後資金が必要かをシミュレーションして、不足分をカバーできるような準備を早いうちから始めましょう。
 
出典
厚生労働省 「2019年 国民生活基礎調査の概況」
国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018年推計」
総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編) 2019年(令和元年)平均結果の概要」
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー


 

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