最終更新日:2019.01.10 公開日:2018.07.25
年金

iDeCoの定期預金、その金融機関が破たんしたらどうなるの?

ちょっと古いデータとなりますが、国民年金基金連合会のiDeCo公式サイト内資料「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」によれば、2017年3月末時点の加入者、約43万人の運用商品に占める預貯金の割合は約3割となっており、生損保商品も含めた元本確保型の割合は約56%です。第1位の投資信託が約43%であり、預貯金はそれに次ぐ割合となっています。
 
加入経路別でみると、運営管理機関(以下、運管)の業態に左右されているようで、強いていうなら労働金庫・信用金庫・銀行経由において、運用商品に預貯金を選ぶ傾向が高いことがわかります。
 
指定運用方法(デフォルト商品)をバランス型の投資信託とする運管が出てきているなかで、NISAなどの積立投資の普及などもあり、この比率が多少は変わってきそうですが、「とりあえず投資信託」という流れにすぐになるわけもなく、依然として定期預金へのニーズは低くないと想定されます。
 
また、受給開始可能年齢の60歳が近づくにつれ、各加入者においても定期預金のニーズが高まりそうです。
 
「まさか」が起こらないとも限りませんし、その定期預金の金融機関が破たんした場合について確認しておきましょう。
 

iDeCoの定期預金はペイオフ対象

iDeCoの定期預金は預金保険制度の対象となり、1金融機関につき預金者1人あたり元本 1000 万円までとその利息等が保護されます。
 
iDeCo加入者の個人別管理資産(個人の確定拠出年金口座の残高)としての定期預金は、実際には信託銀行(資産管理機関)名義ですが、個人別管理資産額相当額を加入者の預金に係る債権とみなして、預金保険制度の保護対象としています。
 
ただし、その定期預金を提供している銀行などにそれ以外の預金などがあるときは、その預金などがiDeCoの定期預金に優先され、合計で元本1000 万円とその利息が保護範囲となります。定期預金間での保護優先順位の優劣はありません。
 
実際にその定期預金を提供する金融機関が破たんした実例がないため、iDeCoの受付金融機関である各運管では、システム対応などのより詳細な対応方法などは、ヒアリングしてみても明確には伝えられる情報が基本的にはまだないようです。
 

iDeCoの定期預金の仕組み

取り扱っている定期預金の種類などは、各運管によって異なりますが、ここでは1年ものの定期預金についてご紹介します。


預入時の約定金利を、1年を365日として日割りで計算した固定金利を満期日まで適用し、運用します。
 
利払い方法は、満期日・自動継続時に一括して利息をつけ、元加(利息を元本に組入れ)して、同一期間で自動継続し、期中での利払いはありません。また確定拠出年金の制度上、その利息に対しては非課税です。
 

中途解約利率ってなに? ペナルティがかかるの?

満期日前にスイッチングなどにより一部あるいは全部を解約する場合は、中途解約利率(小数点第4位以下は切捨)が適用されます。手数料はかかりません。ただし、実際の預入期間に応じて中途解約利率がかかります。
 


●預入期間 6 カ月未満:解約日時点の普通預金利率
●預入期間 6 カ月~ 1 年未満:約定金利の50%
 
通常、定期預金の利息は普通預金利率よりも高くなりますので、通常であれば受け取る利息より、中途解約利率のほうが高くなるということは考えにくいですので、それによりマイナスになることは基本的にはありません。
※実際には、満期年数や商品によって変わりますので、各確定拠出年金向け説明資料をご覧ください
 

ペイオフって結局なんなの?

金融機関が破たんした場合、預金保険機構によって預金者へ一定額だけを払い戻す制度です。元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護されますが、主力金融商品のなかでは、外貨預金が対象外ですので注意してください。
 
預金保護の仕組みには2種類あり、どちらの方式でも保護される預金の範囲は同様です。
 

●資金援助方式

破綻した金融機関の事業一部またはすべてを、他の健全な救済金融機関が承継し、預金保険機構が必要コストを救済金融機関に資金援助し、預金等の保護を行う方法です。破たんの混乱を最小限にするため、この資金援助方式が優先されています。
 

●保険金支払方式

預金保険機構が預金者に対し直接保険金を支払い、預金等の保護を行う方法です。
 

iDeCoにおいて定期預金をオススメできない理由

非課税メリットを最大限に活かすため、成長性の乏しい定期預金はiDeCoに向かない、合理的でないという意見が多々あります。
 
また、このように60歳までは受給できないiDeCoにおいて、運管や運用商品によっては定期預金の残高を増やしすぎてしまうのは、他の金融資産とのバランスや合算額を考えると、好ましくないケースも出てくる可能性があります。
 
ただし、自身の意志で選択することを伴わない「とりあえず投資信託」という意見に対しては、筆者は否定的です。
 
中小企業にて、金融教育を担当させてもらっている側からすれば、定期預金に代表される元本確保型か、投資信託に代表される(デフォルト商品としての投資信託を含む)元本変動型か、どちらかだけでも選択していただきたいということです。選択なき運用は絶対にオススメできません。
 
自身のペースで金融について勉強してもらえれば良いですが、生活スキルとしての金融教育はその性質上、活用の仕方しだいで本業のビジネスにもきっと活かせる部分があるはずです。研修やセミナーだけではなく、マンガや映画、あるいはiDeCoやNISA。きっかけは何でも良いですので、ちょっとずつ興味を持ってもらえるのなら幸いです。
 
Text:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP、確定拠出年金創造機構代表

野原亮

執筆者:野原亮(のはら りょう)

確定拠出年金相談ねっと認定FP

確定拠出年金創造機構代表
https://wiselife.biz/fp/rnohara/
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、公的年金や資産運用のアドバイスも。2017年、DVD「一人社長・夫婦経営の社長のための確定拠出年金」を出版
(https://www.amazon.co.jp/dp/B073JFYMQV)



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