年金生活の親に教えたい「年金生活者支援給付金」って何?
配信日: 2019.02.08 更新日: 2019.08.29
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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「年金生活者支援給付金」とは
年金の少ない高齢者等に対し、今年の10月分から、一人あたり最高で月額5,000円の支援給付金が受け取れるようになります。年金は2ヵ月に1回振り込まれますので、初回の振込は10月、11月分の2か月分が12月に振り込まれる予定です。財源は、消費税増税分の5,600億円が毎年充てられる予定です。
対象となるのは、世帯の全員が住民税非課税で、年金などの収入が年間約88万円以下の65歳以上の年金受給者ということになります。具体的には、住民税が世帯全員非課税で、前年の年金収入+その他所得の合計額が老齢基礎年金の満額(約78万円)以下の方です。
なお、上乗せを受けた人の所得が、上乗せを受けない人よりも多くなる「所得の逆転」を生じさせないよう、上記の所得基準を上回る一定範囲の者(年金収入などの合計額が約88万円以下の人)に、上記に準じる補足的給付が行われます。
注意が必要なのは、対象者全員が月額5,000円の支援給付金を受け取れるわけではない点です。つまり、支援給付金は老齢基礎年金の保険料の納付月数によって決まり、480ヵ月より少ない人は5,000円よりも少なくなります。
5,000円を受け取ることができるのは、保険料納付月数が480ヵ月ある方です。240ヵ月の方は2,500円(=5千円×240÷480)しか受け取ることができません。
上記に加えて、保険料免除期間がある方は、その月数に応じた金額が加算されます。具体的には、老齢基礎年金の満額×(保険料免除期間÷6÷480)÷12で計算した金額になります。
例えば、年金の満額が77万9300円(平成30年度)で、保険料納付月数が360ヵ月、保険料全額免除期間が120ヵ月の場合の金額を計算してみましょう。
給付金は、3,750円(=5,000円×360÷480)、免除期間の加算分は2,706円(=77万9,300円×120÷6÷480÷12)となりますので、このケースでは毎月6,456円もらえるということになります。
なお、障害・遺族基礎年金受給者に関し、障害年金生活者支援給付金は月額5,000円(障害等級が1級の場合は6,250円)、遺族年金生活者支援給付金は月額5,000円です。
注:計算例は執筆時点での情報をもとに計算しています。将来、変わる可能性があります。
支援給付金を受け取るためには手続きが必要です。日本年金機構から案内が来ると思いますので忘れずに手続きを行いましょう。
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65歳以上の介護保険料さらに軽減
65歳以上の介護保険料の基準額は、平成30年度から全国平均で月額5,869円となっています。市区町村によって基準額は大きく異なり、3,000円~9,800円と大きな差があります。
市区町村では、1ヵ月当たりの保険料は、基準額に所得の段階別の割合を乗じた額で決めています。65歳以上の保険料は標準的には9段階ですが、15段階など市区町村によって大きな差があります。
このうち世帯全員が、住民税非課税世帯の人たちの保険料が消費税10%の増税に合わせて最大70%軽減されます。
具体的には、本人の年金収入などが80万円以下の人は、基準額の30%、80万円~120万円以下であれば50%、120万円超であれば70%に軽減されます。なお、この軽減幅は国の基準ですので、市区町村によって異なる可能性があります。
一方、40歳~64歳(第2号被保険者)の大企業に勤める人が支払う介護保険料は上がります。第2号被保険者の介護保険料は、勤務先加入者から徴収されて、国に介護納付金として納付されます。
この納付金は、加入者の集団ごとの人数に応じて保険料が決められていましたが、平成29年8月から段階的に報酬額に応じた額(総報酬割)となりました。総報酬割の比率は平成29年8月から50%、平成31年度は75%、平成32年度は100%になります。総報酬割では、年収の高い人が多い集団ほど保険料の負担が大きくなります。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー