更新日: 2021.04.06 その他年金

ねんきん定期便で最低限見ておきたい4つのポイント

執筆者 : 新井智美

ねんきん定期便で最低限見ておきたい4つのポイント
忘れた頃に届く「ねんきん定期便」。ハガキで届く人もいれば、封書で届く人もいます。その違いは何なのでしょうか。また、ねんきん定期便で最低限チェックしておきたいポイントについても併せて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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ねんきん定期便とは?

ねんきん定期便は、毎年、誕生日月に日本年金機構より送られてきます。通常はハガキが多いですが、封書で届く場合もあります。その違いはその時の年齢です。
 

■ねんきん定期便は年齢によって内容が変わる

ねんきん定期便の送付は、「節目年齢」というものがあり、35歳、45歳、59歳の方が該当します。この節目年齢の誕生日月には、封書で送られてきます。そしてそれ以外の年齢の誕生日月にはハガキで送られてきます。
 
節目年齢に送られてくるねんきん定期便には、「年金加入記録回答票」と返信用の封筒が同封されており、年金加入記録に「もれ」や「誤り」がある場合には、回答票に必要事項を記入し、返送することで確認や訂正を依頼できます。
 

ねんきん定期便の見方

ねんきん定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」と「年金見込額」が記載されており、さらに、ハガキの場合は「直近1年間における納付状況」が、そして封書の場合は「全期間の年金通帳記録」が記載されています。
 
<ハガキタイプ(表)のサンプル>


(引用:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和2年度送付分)」(※))
 
「お客様へのお知らせ」欄には、年金加入状況に応じた年金に関する情報が記載されていますので、きちんと確認するようにしましょう。
 

ねんきん定期便のチェックポイント

ねんきん定期便ではいくつかの情報が確認できますが、ぜひ押さえておきたいチェックポイントは以下の4つです。
 

■月別納付状況

月別の納付状況は、国民年金と厚生年金保険とで分かれています。国民年金の納付状況は、納付済みであれば「納付」、未納であれば「未納」と記載されています。また、免除制度を受けている場合は、その種類によって「全額免除」「半額免除」などを記載されています。猶予制度を受けている場合は「猶予」、学生納付特例制度の適用を受けている月は「学特」と表示されています。
 
国民年金の納付状況は、その月の状況に間違いがないかどうか確認しておくことが大切です。特に「未納」と記載されている場合には、そのままにしておくと将来受け取れる年金額が減少することにつながります。したがって、未納期間の保険料は必ず納付するようにしてください。
 
厚生年金保険の場合は、その月の「標準報酬月額」「標準賞与額」「保険料納付額」が記載されており、加入している厚生年金保険の区分についても表示されています。厚生年金保険の保険料は、事業主が支払うことから誤りは少ないかもしれませんが、入社時期や離退職の時期にズレがないかどうかを確認しておきましょう。
 

■年金の見込額

60歳未満の方は、現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入したと仮定したうえでの、65歳から受け取れる年金見込額が記載されています。
 
60歳以上65歳未満の方は、ねんきん定期便の作成時点の年金加入実績に応じて、65歳から受け取れる年金見込額が記載されます。
 
65歳以上の方は、65歳時点の年金加入実績にもとづき計算された額が記載されます。
 
この年金見込額は、50歳未満の方と50歳以上の方で記載方法が異なっており、50歳以上の方の場合はかなり詳しく記載されています。その違いは以下の図のとおりです。
 
<50歳未満の方のねんきん定期便(ハガキタイプ)>


 
<50歳以上の方のねんきん定期便(ハガキタイプ)>

(引用:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和2年度送付分)」(※))
 
50歳以上の場合であれば、受給開始年齢に応じた細かい年金見込額が確認できるようになっています。
 
老齢厚生年金については、本来の受給開始年齢は65歳からですが、厚生年金保険の加入期間が12ヶ月以上あり、かつ受給資格期間が120ヶ月以上ある場合は、生年月日に応じて60歳から64歳までの老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)を受け取ることができます。
 
受け取った方は、自分の生年月日に応じて60歳から64歳までの老齢厚生年金が受け取れるのかどうか、そして受け取れるのであればいくら受け取れるのかを確認できます。
 
老齢基礎年金の見込額は、国民年金の第1号被保険者期間(未納月数を除く)、第3号被保険者期間および厚生年金保険・船員保険の被保険者期間の月数をもとに、本来の受給開始年齢である65歳で計算されています。なお、老齢基礎年金の見込額には、付加年金の金額も含まれます。
 

■受給開始年齢

現在のねんきん定期便には、制度上受取開始年齢については60歳から70歳までの間で選択可能と記載されています。ただし、2022年4月からは60歳から75歳までの間で選択できます。
 

■年金加入期間

国民年金および厚生年金保険の加入期間がまとめて記載されています。国民年金と厚生年金保険、および船員保険の加入期間を足したものが年金加入期間合計として算出され、そこに合算対象期間等を足したものが受給資格期間として表示されています。合算対象期間等は、受給資格期間としてみなされますが、保険料を納めていないため年金額には反映されませんので注意が必要です。
 

アクセスキーを確認しておこう!

ねんきん定期便の内容に不明な点がある場合には、ハガキに記載されている「お問い合わせ番号」に問い合わせることができます。その際には、自身の年金番号ではなく、ハガキもしくは封書内に記載されている「照会番号」を伝えるようにしましょう。
 

■アクセスキーとは

ハガキもしくは封書には、「アクセスキー」が記載されています。このアクセスキーを用いてねんきんネットを利用できます。
 
ただし、アクセスキーは「ねんきん定期便」到着後3ヶ月という有効期限がありますので注意が必要です。ねんきんネットを利用する時に、ねんきんネットのユーザーIDを取得する必要がありますが、その際に利用するのがこのアクセスキーです。このアクセスキーを使用してユーザーIDの発行の申し込みをすると、即時にユーザーIDが取得できます。
 
マイナンバーカードをお持ちであれば、マイナポータルからねんきんネットが利用できます。
 

■ねんきんネットを利用するメリット

ねんきんネットを使うことで、24時間いつでも、パソコンやスマートフォンから自分の年金情報を確認できます。確認できる内容は、自分の年金記録や将来受け取れる年金見込額のほか、電子版の「ねんきん定期便」の閲覧を行うことができます。ただし、利用できるのは基礎年金番号を持っている方に限られ、昭和61年4月以前に年金受給権が発生した老齢年金受給者の方は、利用できません。
 

まとめ

ねんきん定期便の中身を、じっくりと確認したことがないという人もいらっしゃるかもしれません。しかし、確認を怠ったことで将来受け取れる年金額が少なくなったり、追納の機会を失ったりする可能性もあります。
 
特に転職時や退職時など、年金加入の内容が移動した年のねんきん定期便については、きちんと確認し、内容に相違があったらすぐに修正の手続きを行うようにしましょう。
 
(※)日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和2年度送付分)」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
 

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