更新日: 2021.04.13 その他年金

60歳以降も働くと年金にどのような影響がある?

60歳以降も働くと年金にどのような影響がある?
昨今、新聞などで「定年延長」が話題になっています。そこで、60歳以降も定年を延長して働くと年金にどのような影響があるかについて解説します。
伏見昌樹

執筆者:伏見昌樹(ふしみ まさき)

ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後公認会計士試験や簿記検定試験にチャレンジし、公認会計士試験第二次試験短答式試験に合格や日本商工会議所主催簿記検定1級に合格する。その後、一般企業の経理や県税事務所に勤務する。なお、ファイナンシャル・プランナーとして、2級ファイナンシャル・プランニング技能士・AFP合格した後、伏見FP事務所を設立し代表に就き今日に至る。

働き方に合わせて年金制度も変わります

以前は60歳に定年を迎えて、年金を主な収入減として余生を送りたいと考えていた方も多いと思います。
 
しかし、最近は「人生100年時代」といわれており、60歳で定年を迎えても、まだ人生の折り返し地点にすぎないことになります。また、健康寿命も延び、60歳を過ぎても、まだ現役で働きたいと思うようになった人も多いと思います。
 
こうした要望を受け、2020年5月29日に「年金制度改正法」が成立して、2022年4月に施行されることになりました。これにより、前述したような社会変化に対応できるようになります。
 
この年金制度改正法には、年金にまつわる、さまざまな改正がなされていますが、その中でも、60歳以降も働いた場合に影響が出る改正について解説します。
 

改正点その1 在職老齢年金の基準額の見直し

改正前の在職老齢年金制度の適用となる基準額は、60~64歳と65歳以上に差が生じておりました。
 
具体的には、60~64歳の人は、賃金と年金月額の合計が28万円を超えると年金額の一部または全部が支給停止となります。これに対して、65歳以上の人は、賃金と年金月額の合計が47万円を超えなければ、年金額の一部または全部が支給停止とならないといった具合です。
 
改正後は、60~64歳の人の年金額の一部または全部の停止額を47万円に引き上げ、65歳以上の人と同額にしました。なお、65歳以上の人は、改正前と変わらず在職老齢年金制度の適用となる基準額は、賃金と年金の合計額が47万円以上となります。
 
この改正は、年金額の減額がされないよう、賃金を減らすために労働時間を調整するといったことを行っていた60~64歳までの人に対し、労働意欲を喚起するために行われたものといえます。
 

改正点その2 在職定時改定の新設

これまでは、70歳時、または退職して1ヶ月後のどちらか早い時期にしか支給される年金額の見直しがなされませんでした。この70歳もしくは退職時に再計算することを「退職時改定」といいます。
 
改正後は、65歳以降毎年10月に年金額が再計算されるようになります。これを「在職定時改定」といい、この制度の新設により早期に年金額が反映されることになります。
 
この制度の新設は、65歳以上で働き続けたいと望んでいる人に対し、早期に年金額が増えることを実感して、勤労意欲を喚起してもらえるようにしたものといえます。
 

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まとめ

2022年4月に施行される「年金制度改正法」は、60歳台のシニア世代の働き方の多様化に対応しようとしています。
 
今後は年金受給開始年齢が引き上げられることもあり得ます。
 
まだシニア世代になるには時間があるという人も、ご自身がどういう働き方、あるいは老後生活を送りたいか考えておくとよいでしょう。
 
執筆者:伏見昌樹
ファイナンシャル・プランナー

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