更新日: 2021.07.20 年金

歩合給などにより毎月の給与額が一定でない場合、年金保険料はどうなる?

執筆者 : 新井智美

国民年金保険料は収入に関係なく一律ですが、厚生年金保険料については収入に応じた標準報酬月額を用いて決定します。では、その標準報酬月額とはどのようにして計算されるのでしょうか。
 
特に、歩合給制度を取り入れている企業にお勤めの場合、自分の厚生年金保険料がどのように計算されるのか気になる方もいらっしゃるかと思います。今回は厚生年金保険料の決定方法について解説します。
 
新井智美

執筆者:

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

新井智美

執筆者:

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

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厚生年金保険の保険料

厚生年金保険の保険料は、毎月の収入を基準として求める標準報酬月額と、賞与を基準として求める標準賞与額に保険料率を掛けたものによって決まります。そして、決定した保険料は労使折半となり、従業員側は半額を払えば良いことになっています。
 

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、毎月の収入を一定の金額に応じて等級分けした報酬月額に当てはめて決定されます。現在の報酬月額は1等級から32等級まであり、その詳細は以下のとおりとなっています。
 

(出典:日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和2年度版)」(※1))
 

標準報酬月額の決定方法および改定方法

標準報酬月額は、原則として「定時決定」方式を用いています。厚生年金保険加入時や収入の増減および育児休業終了時などでは、それぞれ異なった方法で計算し、改定を行います。
 

■定時決定とは

毎年7月1日時点で使用される事業所において、その年の4月から6月の報酬の総額をその期間の総月数で割ったものを報酬月額として標準報酬月額を決定します。この定時決定で決まった標準報酬月額は、9月から翌年8月まで適用されます。
 

■随時改定とは

歩合給をはじめ、昇給や減給などで定時決定後に収入が変わった場合は、継続して受けた3ヶ月の報酬総額を3で除して得た額が、従前の標準報酬の基礎となった報酬月額に比べて著しい差が生じた場合において、厚生労働大臣が必要だと認めた時に改定されます。具体的には、等級が2等級以上変わった場合に適用されることとなっており、事業主が手続きを行います。
 

■転職などで給与が変わった場合の決定方法

このような場合には、「資格取得時の決定」の規定により標準報酬月額が決定されます。決定方法は以下のとおりです。
 

●固定給の場合:その月の収入をその期間の日数で割り、それに30を掛けたもの
●請負もしくは出来高などで固定ではない場合:その前月において同様の仕事に従事し同様の報酬を受けた人の報酬額の平均値

 
(出典:日本年金機構「厚生年金保険の保険料」(※2))
 

固定給でない場合の保険料の算定

固定給でない場合は、毎月の収入に変動があるのが一般的です。したがって、事業主は定時決定で計算した標準報酬月額から変動がないかどうかをチェックする必要があります。継続した3ヶ月間の報酬月額が大きく変動した際には、随時改定という方法で保険料が変更されます。
 

育児休暇終了時の取り扱い

毎月の収入の変動幅によっては、保険料が変更されることになるのは上記で述べたとおりですが、育児休暇終了時にも同様の取り扱いがあります。それが育児休業等終了時の改定といわれるものです。
 
基本的に、育児休業を終えて復帰した際の標準報酬月額は、育児休業に入る前の標準報酬月額が適用されます。しかし、育児休業から復帰した後というのは、短時間勤務の制度を利用することが多く、報酬月額も休業前と比べると下がるケースも見られます。
 
そのために、育児休業終了後については、復帰した日の翌日を含む月から3ヶ月間の報酬平均額に基づいて標準報酬月額を計算し直し、その翌月から適用することとなっています。この場合の判定基準は、育児休業前と比べて1等級以上の差が生じた場合に適用され、事業主が日本年金機構に届け出を行うことになっています。
 

保険料率はどのくらい?

厚生年金保険の保険料率は、従来は段階的に引き上げられていました。しかし、平成29年9月をもって引き上げが終了し、現在では18.3%で固定されています。
(出典:厚生労働省「厚生年金保険料率の引上げが終了します」(※3))
 

まとめ

厚生年金保険料の算定基準となるのは報酬額です。そして報酬額には基本給や通勤手当以外にも、会社が寮を提供している場合や食事代を提供している場合はそれらを現物給付とみなして報酬に組み入れます。
 
この現物給付の額は「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」として算定され、その種類と都道府県で金額が異なることも覚えておきましょう。
 
例えば、東京都で寮が提供されている場合、畳1畳につき住宅で支払われる報酬として2830円が加算されます(令和3年4月分より)。また、歩合給でなくても、年末年始などで業務量が大幅に増え、残業などで収入が増えた場合などでも随時改定により保険料が変わることもあります。
 
基本的には定時改定で決定した額が適用されますが、その時の状況に応じて保険料が改定される制度があり、年間の保険料が必ずしも一定額で続くわけではないことに注意が必要です。
 
(出典:日本年金機構「全国現物給与価額一覧表」(※4))
 
出典
(※1)日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和2年度版)」
(※2)日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
(※3)厚生労働省「厚生年金保険料率の引上げが終了します」(平成29年8月31日)
(※4)日本年金機構「令和3年4月から現物給与の価額が改正されます」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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