更新日: 2021.04.18 その他年金
50歳からパートを開始! 年金はどれくらい増やせる?
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
厚生年金が適用される働き方とは
70歳未満の方が、厚生年金に加入している事業所で正社員として働くことで厚生年金の被保険者となることができます。
そして、パートタイマーでも1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である方も被保険者となることができます(※1)。
また、パートタイマーで、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満、1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3未満、またはその両方の場合でも、次の要件を全て満たす場合は被保険者になります(※1、2)。
(1) 週の所定労働時間が20時間以上あること
(2) 雇用期間が1年以上見込まれること
(3) 賃金の月額が8万8000円以上であること
(4) 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること
そして、その適用範囲は、下表のとおり従業員数の基準が段階的に拡大され、2022年10月からは101人以上、2024年10月からは51人以上に拡大されます。また、雇用期間は、2022年10月からは2ヶ月を超えた場合に適用されるようになります(※1、2、3)。
従って、同じパートタイマーとして働く場合でも、厚生年金が適用される事業所で厚生年金の被保険者として働くことができれば、厚生年金の年金額を増やすことができます。
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老齢厚生年金の年金額は
厚生年金の被保険者として働いた方が、65歳以降に受給できる老齢厚生年金の額は以下の式から求められ、被保険者として働いた期間(月数)とその間の平均の報酬額で決まります(※4)。
ここで、平均標準報酬額とは、被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、被保険者期間の月数で割って得た額です。
ところで、標準報酬月額とは、被保険者が受け取る給与月額を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定されます。また、標準賞与額とは、税引き前の賞与の額から1000円未満の端数を切り捨てた額となります。
50歳から働いたらいくら増やせる?
それでは、50歳からパートタイマーとして働いた場合に、老齢年金がいくら増えるのか見ていきましょう。簡易的に、平均標準報酬額相当額と勤務年数を用いて計算すると、増加する年金額は下表のとおりとなります。
ここで、平均標準報酬月額相当額とは、1年間の給与月額と賞与額を合わせた年収を12月で除した値になります。
例えば、50歳から60歳までの10年間、年収120万円で働いた場合は、老齢厚生年金の額を6万5772円増やすことができます。さらに、65歳まで15年間働くことができれば、老齢年金を約10万円増やすことができます。
まとめ
厚生年金の被保険者となるパートタイマーとして、50歳から60歳までの10年間、月額10万円の給与で働くことができれば、老齢年金を約6万6000円増やすことができます。
今後、厚生年金の被保険者となるパートタイマーの適用範囲も拡大されますので、働き方を工夫しながら老齢年金を少しでも増やして人生100年時代に備えましょう。
出典
(※1)日本年金機構 適用事業所と被保険者
(※2)日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
(※3)厚生労働省 社会保障審議会年金部会における議論の整理
(※4)日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士